税理士松尾ブログ

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インボイス導入ガイド⑦~R5.10.1以降、免税事業者が消費税を受け取ったらどうなるの?~

2021-08-19

テーマ:消費税

 

課税事業者(消費税を納める義務のある事業者)にとってインボイス(適格請求書)とは、

支払先も消費税を納めていることの証明書、という性質を帯びることとなります。

 

したがって、インボイスの登録番号が記載されていないなど「適格」ではない請求書や領収書を受け取ったとしても、課税事業者においては消費税を支払わなかったものとして納税額を計算します。

 

インボイスに係る登録番号を記載した請求書や領収書を発行することが出来るのは課税事業者に限られ、免税事業者(消費税を納める必要のない事業者)は発行することはできません。

 

とすれば、インボイスの登録番号が書いていないなど「適格」ではない請求書なり領収書を発行するということは、免税事業者(預かった消費税を納める義務がない)であるということが対外的にも明白となります。

 

しかしながら、現時点では、自身が消費税を納める必要があるとないとに関わらず、売上代金を計算するときには本体価格に消費税を付して請求し、代金を受領するのが現実の商取引かと思います。

 

インボイス導入後は、代金や消費税を支払う側にとっての消費税負担に直接関係してきてしまうため、免税事業者が受け取る消費税についてどうしても着目されてくると推察します。

 

では、免税事業者がインボイス制度が導入されるR5.10.1以降も、現行のまま消費税相当を付して代金を請求することは可能なのか?

 

令和5年10月1日以降、消費税法57条の5というのが付け加わり、

・適格請求書発行事業者以外の者(⇒主に免税事業者を指します)は

・適格請求書発行事業者が発行した適格請求書、適格簡易請求書に

・誤認されるおそれのある表示をした書類

を交付・提供してはならない、という趣旨の規定です。

(罰則規定あり)

 

この点、

現実の商取引に与える影響、そして免税事業者にとっては今まで受け取っていた消費税相当額が実質値引き(しかも本体価格の10%もの値引き)のような性質を帯びるがゆえに資金繰りに与える影響も非常に大きく、今後の周知、価格設定、消費税を納める義務のある事業者をあえて選択するかどうか、が非常に重要です。

インボイス導入ガイド③~免税事業者がやるべきこと

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インボイス導入ガイド⑥~インボイス発行事業者の義務とは~

2021-08-19

テーマ:消費税

 

インボイスを発行する事業者に義務付けられることとしては、


・インボイスを交付する義務

・記載事項に誤りがあった場合には修正したものを交付する義務

があります。


 

とはいえ、

・自動販売機での購入のように領収書や請求書が発行されないケースや

・スーパーなど不特定多数の個人を相手とした業種

もありますので、その場合にはインボイスの交付義務が免除されたり適格簡易請求書で足りるケースも措置されています。

インボイス導入ガイド⑤~適格請求書の様式~

 

 

現時点で課税事業者か免税事業者かに応じて、それぞれにやるべきことを検証し、対応すべきは対応し、

その後は請求書や領収書の様式をR5.9.30までに整えれば、過大な混乱は防げると思います。

インボイス導入ガイド③~免税事業者がやるべきこと~

インボイス導入ガイド④~課税事業者がやるべきこと~

 

 

ただ、ふと我に返って、この場合はどうなるのだろう?

と思ったのが「口座振替」のケースです。

 

税理士や弁護士などの士業、そして定額制のサービスの場合、最初に契約書を交わしてその後は請求書や領収書を発行しないケースが多くあります。

実際、弊社でも原則として月々の料金を頂戴する場合は口座振替でお願いをしております。

 

この場合でも原則どうり「インボイスの記載事項」に立ち戻って考えなければなりません。


<インボイス(適格請求書)の記載事項>

①適格請求書発行事業者の氏名又は名称と登録番号

②取引年月日

③取引内容

④税抜き金額または税込み金額を税率ごとに合計した金額

⑤④に対する消費税額および適用税率

⑥請求書の受領者の氏名又は名称


 

少なくともこの記事を書いているR3年現在も有効な契約については、その契約書に①の「登録番号」の記載はないと思いますし、

⑤の「適用税率」の記載もないケースが多いのではないか、と考えられます。

 

②については引き落とされている通帳や、毎月振り込みの場合には振込金受取書などによってカバーできます。

③については現行の契約書に記載されているでしょう。

④については、現行の契約書における記載のされ方について確認が必要です。

⑤については、特に賃貸借契約書で昔からのものなど、適用税率の記載の有無がポイントになります。

⑥は契約書に記載されていると思います。

 

上記のようにインボイスとして必要な「記載事項」に立ち戻って検証していくこととなります。

 

もし不足の記載事項があるようであれば、


・契約書を巻き直す

・毎回、記載事項を網羅した請求書や領収書を発行するようにする

・不足の事項を改めて通知してもらう

の対応が必要となります。


 

お店を賃借して多店舗で展開されている業種などは時間と手間がかかるかもしれません。

参照Q&A(問76)

 

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