税理士松尾ブログ
節税保険にメス「指南書」発覚の3社に金融庁が報告徴求命令
2022-02-21
テーマ:経営を守る情報
というニュースがありました。
全額損金になるなど損金性の高い生命保険は課税の繰延べに関しては絶大な効果があります。
一方で節税効果は無いにもかかわらず、解約時に収益計上されるタイミングにあわせて退職金支給など大きな損金を計上することで「節税」できる、との販売姿勢が以前から問題視されてきました。
節税とうたう根拠は、退職所得に対する課税方式が給与に比べて著しく有利になっているためで、それは保険に入っていてもいなくても退職金として受給すればそのメリットを受けることが可能です。
特に経営者への退職金については
・いくらまで退職金を支給できるか、
とのご質問が多いのですが、実務的には
・本当に退職できるか、するのか、
の方が重要です。
いくら退職金名目で支給したとしても、その後も
・役員会に頻繁に出席していたり
・高額な設備投資の判断をしていたり
・資金繰りを担当していたり
・社内で何らかの重要な決裁権をもっていたり
すると、実質的には退職していないとして賞与扱いとなるケースがあります。
賞与扱いとなると損金にならないばかりでなく、所得税住民税、法人税、さらにはそのタイミングで株を移転していたりすると贈与税にも影響してきます。
また、多額の退職金を支給できたとしても、結果として個人の相続財産を形成しますので個人の資産承継も視野に、果たして個人に多額の資金をお支払いするのが本当にいいのか、という点も視野に入れなければなりません。
保険の解約による益金対策としてはもちろん「何もしない」というのも大きな柱ですし、(4割が損金になる保険などに)新たに入り直すというのは年を重ねて条件が悪くなっているのでお勧めできませんし、そのため、昨今はシンプルに投資をお考えになるケースも多いように感じます。
参考:音声のみ動画⇒保険の解約返戻率ピーク!対処法は?
投資の中でも、新事業や社内業務の合理化に関するものについては「事業再構築補助金」や「IT補助金」も準備されており、令和4年予算案も22日に衆議院を通過予定ですので現時点の情報から大きな変更はないと思います。
メルナガバックナンバー:給付金・補助金3選
新事業への取組みについては事業再構築補助金や事業承継補助金、経理総務の合理化・標準化の際にはIT導入補助金を考慮する必要があります。
特に経理業務については、長年の慣習に基づいて実施されていることが多く、クラウド会計ソフトを活用して「合理的な業務に」そして「引き継げる業務に」していくことが重要です。
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