税理士松尾ブログ
資金繰り改善の順序(最近の傾向から)
2022-06-20
テーマ:税理士@松尾
先日は「骨太の方針」の公表がありました。
教育や外交安全保障など、国家としての当面の政策の方向性が網羅的に公表されており、中小企業施策と税制についても記載があります。
【中小企業施策】
コロナ禍にあってはとにかく「資金繰り支援」を最優先にされてきたように思いますが、今回の骨太の方針においては事業再構築という言葉が幾度となく登場し、原料高等への緊急対策は講じつつも、基本的考え方が
・収益力改善(ものづくり補助金や経営改善計画策定事業)
・再構築支援(再構築補助金や経営者保証の見直し)
へ、グッと重点を移したように感じます。
コロナ融資は金利が圧倒的に有利とはいえ、猶予期間を経て返済がスタートすると返済のピッチが早くなりがちです。
実務上の対応策としては、
1.当座借越枠の設定または増額の要請
2.短期融資の活用
3.コロナ融資以外の借換え
4.資本性ローン(政策公庫または保証協会)
5.追加融資
6.条件変更
の順に考えていくべきと思います。
優先順位が高いものほど実務的な活用難易度は上がります。
しかし、どの対応策が良いかの判断材料は兎にも角にも「月次試算表」です。
当社も「資金の先行き」を見える化した上で、金融機関とも連携し財務的なサポートを着実にさせて頂きたいと考えております。
【税制】
骨太の方針における表現は
・再分配機能の向上
・格差の固定化防止
・多様な働き方に中立
ということで大きな流れに変わりはありません。
その表現を実務に影響が大きな項目に置き換えると、
・金融所得課税
・退職所得への課税強化
・相続税と贈与税の一体化
ということになると思います。
今回の「骨太2022」においては「骨太2021を踏まえ」と書かれ、
「骨太2021」を見ると「骨太2020を踏まえ」と書かれ、
「骨太2020」を見ると「骨太2019を踏まえ」と書かれ、
世論を見ながら水面下で長期的な議論が続いている状況と感じます。
上記の3点は「経営の出口」で避けることのできない論点となりますので、引き続き原理原則を大切にして、地域企業の継続と経営者のハッピーリタイヤの実現を目指していきたいと思います。
さかのぼること2019年、当社の「あおばセミナー」の第100回目の記念セミナーで講師としてお招きをさせて頂いた一般社団法人国際教養振興協会の東條代表と久々に食事をし、その時にサプライズとして感謝状をいただきました。
東條様に気づきを頂いた「しめ縄づくり体験会」を私の地元に落とし込み、継続して開催をしてきたことに対してのものです。恐縮。
昨年は地元小学校の授業の一環に取り入れていただき、
まずは「しめ縄づくり」の気づきを頂いたこと、
年末の忙しい中でもスタッフとして集まってくれる仲間たち、
逆に私が感謝しなければならないところ感謝状とは「いや~循環するもんだナァ」としみじみ感じつつ、こちらの活動も継続していきたいと考えています。
ミニマム法人税と税務調査
2022-06-06
昨年OECD加盟各国間で「ミニマム法人税(国際的な最低法人税率の導入)」に関する合意があったことから、中長期的には法人税率が上昇傾向にあると考えられます。
私ども税理士法人あおばが所在する奈良県のような地方においては特に、雇用を支えているのは中小企業であり、その中小企業を経営の3本柱である「人づくり・客づくり・財務」のうちの財務面からサポートさせて頂くのが最大のミッションと考えて私どもも事業展開しています。
ミニマム法人税の流れや私どもの基本的考えをふまえ、中小企業が有効活用すべき制度として
「企業型選択制確定拠出年金」という制度があります。
個人で入るイデコとは違って会社が就業規則等を改訂して導入するもので、
・役員も加入でき、
・掛金は会社の損金で、かつ所得税の課税対象にならず、
・社会保険料の節減にもなる
というものです。
また、会社の借入を個人保証しているケースがほとんどだと思いますが、確定拠出年金の受給権は差し押さえが禁止されており、公的保証のない経営者にとって隠れた、そして大きなメリットといえます。
もちろん60歳まで引き出せないなどデメリットはありますが、それを上回るメリットがあると判断しており、当社でも導入しています。
会社としては「枠」を用意するのみで、そのあとは「選択制」ですので役員及び従業員の加入判断に任せることになります。
損金性や社会保険料の節減効果があり、経営者・従業員の退職金積立に資するにも関わらず中小企業には周知がほとんどされていないのが現実です。
先日、まずはオンラインセミナーにて制度を周知させて頂きました。
スタジオをお借りしているフリーアナウンサーの清水健様にもセミナーの最後に登場いただき、聞き手の立場から素朴な疑問をいただき、和気あいあいと開催することが出来ました。
あおばオンラインセミナー、今後も有用と確信する情報を発信していきます。
また経営環境の一つとしてwithコロナが本格化する中で、税務調査をはじめとして税務当局との接触も増えてきています。
こちらも、税理士法人あおばとしては税務調査対策ありきではなく、まずは「経営を守る」ことを最重要視し、それを実現するために「内部統制」の効いた組織づくりを最大論点にお客様と日々接しています。
結果として税務調査で右往左往しない強い会社となります。
最初から不正を疑うわけではなく、
・人は誰しも間違えるもの
・どんな人も体調を崩すこともある
・自分は体調万全でも家庭事情によって仕事が第一じゃなくなる時期も当然ある
そういった事態にも対応でき、かつ「粗利益」「在庫」「資金見通し」など財務上の重要な指標をタイムリーに経営者が適切に把握できる仕組みを総合して「内部統制」と考えています。
中小企業のなかでも規模の大小に関わらず考えておくべきテーマになります。
先日、法人の税務調査の立会時に調査官と交わした会話の中で、「現在、印紙の非違の指摘が少ない状況で、良く見てくるようにと言われてるんですよね」というような発言がありました。
こちらからすると知らんがな、という話なんですが、確かに過去に結んだ契約書にまでチェックが及んでいないことは可能性として考えられます。
そもそもこれだけネットでの取引や申請が普及している中で、時代遅れの税金であることは確かなのですが、しかしそれでも印紙税収は毎年1兆円ほどであり、貴重な安定収入になっていることも事実です。
実務的には印紙税で言うところの「請負に関する契約書」に該当するかどうか、というのが多くのケースでは最初の論点になります。
印紙税が必要かどうかの判断においては、取引相手と交わす書類のタイトルはさほど関係ありません。
例えば当社においてもお客様と「委任契約書」を交わしますが、請負に関する契約書として印紙を貼っています。
そこでの記載が月々の顧問報酬のみであれば、委任契約ですので印紙税の課税対象外ですが、顧問報酬の記載の他に「決算」の記載もあることが通常ですので、請負の要素も含んでいることになり、タイトルは委任契約書ですが印紙税が必要となります。
いずれにせよ法人税の調査とは言え、印紙税やさらには源泉所得税も含めて網羅的にチェックされる傾向にありますし、印紙の貼り付けがなかった場合のペナルティも過去複数年度となると大きくなるので普段から気を付けてチェックしてければと思います。
日も長くなり、夕刻などには自宅の周りを散歩するのが気持ちいい季節。
しかし確実に空き家の増加をヒシヒシと感じます。
また、子供のころはここは○○屋さんだったな、もう商売やめちゃったんだな、というのを目にすることも。
そしてその目線の先にはコンビニや大手回転すしチェーンの看板。
やはり、地域に根付く中小企業はその地域の風景そのものであり、それがなくなると日本の地方は同質化してしまいます。
地産地消ではなく地産外商。
軸足をそのままに、常に研鑽を続け、中小企業を真にサポートできる、より良きチーム(会社)づくりを進めていきたいと思います。
(二上山と崇神天皇陵)
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