税理士松尾ブログ
ロマンとソロバン
2024-10-30
先日はあおばセミナー「ホールディング経営のポイント」をハイブリッド形式で開催させて頂きました。
経営にはロマンとソロバンが必要、と言われるところです。
大きなロマンを掲げつつ、もう片方の手ではソロバンを持っていなければならない、といったようなことです。
ホールディング経営を導入するかどうかに際しても、ロマンとソロバンと同じように、理念と株券という視点をご紹介させて頂きました。
自社の
・理念・・・事業の舵取り役
・株券・・・会社資産の承継
を今後どうつないでいくか、という視点でまずは考えてみましょう、とセミナーの最後に申し上げた次第です。
どうつないでいくか、の一つの選択肢としてホールディング経営があり、その移行や設計には税制が必ず絡みます。
節税の視点から語られるケースが多いホールディングですが、まずは「理念と株券」の観点からスタートし、各種税制・節税面を検証する流れが本来的だと考えております。
日ごろからホールディングを含む様々な経営管理体制を念頭に置きながらコミュニケーションを取らせて頂ければと思います。
また、その少し前ですが、偶然にも、吸血型M&Aとして、現金や換金性の高い資産のみを抜き取り、それ以外は契約を履行しない悪質な買い手が問題となっているという報道に接しました。
「吸血型M&A」の報道(NHK)
買い手が悪質なのは当然ですが、マッチング相手の検索のみに重きを置きすぎている仲介業者にも一定の責任があるように思います。
M&Aは様々な段階を踏むものの、最終的には契約書です。
財務的な論点だけではなく弁護士と連携して最終的に契約書へ様々な内容を盛り込み、買い手・売り手双方の経営者の人間関係のもと、契約内容の落としどころを探っていくのが原則的な流れです。
その結果、契約まで至るケース、至らないケース様々ですが、売り手としては売り急がず相手の組織風土を見極め、買い手であってもとにかく慎重に、時間をかけて、売買代金も分割払いでいいくらいだと思います。
そのような事業承継に関するものも含め、奈良県独自の補助金も公表されています。
デジならキャンペーン補助金
saasサービスの費用の一部を補助するもので、専用サイトも公表されています。
国の施策としての省力化投資補助金の奈良県独自の上乗せ措置になります。
山の辺の道はハイシーズン。
夕暮れ、
借入しても資金繰りが厳しくなるケース
2024-10-07
テーマ:セミナー報告
コロナ融資に加え、その後も追加・追加、で複数の新規融資を受け続けた結果、かえって月々の返済負担が大きくなり、そういった金融機関の姿勢に疑問を感じることがあります。
さらにそれが事業承継時点で残っていたりすると、継ぐ側にもその返済ペースが重くのしかかります。
金融機関側としては、制度融資で金利が安いから、とか、〇〇万円なら早めに手続きできるから、、、といった理屈があるようですが、本数を増やすと、借りた直後はいいものの、やはり後々になって企業側の資金繰りは悪化してしまいがちです。
そしてすでに本数が多くなっていた場合に何本かを一本化(借換え)するときは、その借換えの意義を表現するため、借換え前と借換え後の資金繰り表を作成するのが実務的なポイントです。
しかしまずは、本数を極力増やさないという心がけ、
そして、
・メインバンクであることの認識を自社と金融機関とで一致させる
・メインバンクであることの認識を債権者間(金融機関どうし)で一致させる
その上でメイン行に対しては適切な情報開示をしてコミュニケーションを取っておく、ということが重要だと思われますので、もし新規融資の申し出があったような際には、メイン行でなければ基本的に不要の方向、次に借換えの方向で実行して頂ければと思います。
そういった原理原則や、旬な情報をお客様にお伝えするためにあおばセミナーを開催しています。
次回(10月17日(木))は「ホールディング経営のポイント」。
中小企業でも導入が増えてきている親会社・子会社形式での経営形態、いわゆるホールディング経営のポイントを具体例をまじえて取り上げます。
かつては、
・アメーバ経営
・事業部制
・カンパニー制
など、様々な経営形態がありました。
ホールディング経営が中小企業でも導入がはじまったきっかけは税制改正にあります。
・兄弟会社だったものを親子会社にする
・子会社をつくる
・新しく親会社をつくる
その際、資産負債も移転する際は、譲渡(株や関係資産の売買)と考えて課税関係が発生するのが原則ですが、
一定の条件をもとに、ホールディング化の時に課税関係を生じさせない(繰り延べる)税制改正が入り、一気にホールディング化が進むことになります。
当然ですが、ホールディング化することが目的にはありませんので、
・ホールディング化することで得られる効果
(経営と株主の分離、教育効果、株価抑制)
・ホールディング化に向いている状態
(多業種展開、後継者の状況、予算管理が習慣化されている等)
を深掘りしていければと思います。
今後は、「株主=経営者=同族関係者」とはならないケースが増えることも考えられますので、予備知識としても位置付けて頂ければと思います。
日時は10月17日(木)16:00~16:50、場所は奈良県コンベンションセンター101会議室、ハイブリッド形式で開催します。
お客様向けですのでお申込みの書類は今月発行のの弊社会報誌に封入しておりますのでご確認頂けますと幸いです。
週末は母校の野球の応援。
公立なのに見事に県大会の決勝進出。
決勝は天理と智辯学園の勝者。言わずと知れた超強豪。
結果、決勝は1対11で負けたけど、本当によく頑張った!
相続対策の順序と鉄則
2024-09-13
処暑(暑さがおさまる)
白露(しらつゆが草に宿る)
どちらも過ぎたものの、、、この猛残暑。
いずれにせよ、お客様とのお話の中で「年末」という言葉も登場するようになりました。
年末にかけては、「相続対策」や「今年の生前贈与」の検討の時期にもなります。
相続税や贈与税においては「評価」という用語を使いますが、それはすなわち「それぞれの財産の課税対象の金額」という意味あいです。
普通預金であれば、残高が100万円であれば評価もまた100万円ですが、
土地や建物となると、買った値段や一般的な価値と相続税の評価には差が生まれます。
相続税の評価を下げるということで、不動産投資や不動産の小口化商品の販売も盛んにおこなわれているところです。
相続対策といっても選択肢は複数ありますが、
相続対策のうち、「評価を下げる」対策において重要なのは、
・評価を下げる対策実行時
・実際の相続の時
の期間が短い方が対策効果を発揮する、という点です。
したがって、年齢が一定に達していてキャッシュが潤沢にある場合には、(不動産投資などで)評価の下がった分だけ個人の純資産が圧縮され効果を発揮します。
反対に、まだ年齢がお若いなど、対策実行時点と実際の相続時点の時間軸に間が空く場合には、せっかく対策を講じても、その後利益が蓄積され、評価減額の対策効果は限定的となってしまいます。
あくまで相続対策の順番は
・納税資金の確保
・遺産の分割対策
・生前贈与
・評価の上昇スピードを抑える
・評価の減額
となります。
生前贈与ひとつとっても、方策は複数ですし、渡す側・受け取る側の年齢や意思も絡みますので、個別事情に応じて実行に移さなければなりません。
もう一つ、相続対策で相続対策で生命保険を活用する際は終身保険が鉄則です。
定期保険や養老保険だと、相続までに満期が来てしまうためです。
また、その終身保険については、保険各社がドル建ての高い利回りでの一時払いの商品を発売しており、
私どもも、外貨建て終身保険の場合は為替リスクを考慮すると必然的にドル建てのものを選択することになるものと考えています。
活用にあたっては、保険種類(終身保険、定期保険、養老保険etc.)のほか、もう一つ重要な論点は(終身保険の)受取人で、受取人を孫にしているケースも散見されます。
恐らく、一世代飛ばした方が有利だという判断からだと推察されます。
しかし、終身保険の受取人を孫とすることで、受取人の相続税が2割増しとなってしまう他、その孫に対してした生前贈与のうち一定の範囲のものは相続財産に取り込む必要が出てきてしまいます。
無用の課税は避けるため、
・終身保険の受取人は子
・孫に対しては通常の生前贈与で対応
が原則となります。
生命保険契約の契約者を変えると課税上の問題が生じますし、
被保険者を変えることは出来ませんが、
受取人を変えることは事務的な手続きのみですので、
もし万が一、終身保険で受取人が孫になっているケースには再検証が必要かと思われます。
台風一過の散歩道。
やさしく光る、山の辺の道。
マイ畑に芝生を貼ってみる
2024-09-09
テーマ:
Warning: Invalid argument supplied for foreach() in /home/mrri05/aoba-atm.com/public_html/wp-content/themes/wp-aoba/archive-matsuo_blog.php on line 39
畑の空きスペース。
前日は弊社創立20周年イベント。
その翌日、芝生を貼ろうと思い立ち、
表面の土を掘り起こす。
9月なのに35度ってどういうこと?
と思っているうちに江戸時代のものと思われるお金も出土、、、。
地面を均し、
小石を取り除き、
堆肥を注入し、
水をまく。
いよいよ芝を貼りつめ、
目砂をかけて完成。
あとはコツコツ毎日2回の水やりをして
青々とするのを待つのみ。
税制を切り口としたアメリカ大統領選挙
2024-08-27
減税を政策の中心に据える、ということで、
どのようにそれを実現しようとしているのか?
と興味を持っていた、トランプ大統領候補の政策。
お盆休みをいただいていたこともあり、トランプ元大統領の共和党候補者の受託演説の映像を、遅ればせながら見ました。
(7月19日実施)
『トランプ氏 共和党大統領候補指名受託演説』 ──(日テレNEWS LIVE)
同時通訳だけが頼りですが、全体的な流れは下記のようなものと思います。
喫緊の解決すべき課題として、
・インフレ
・不法移民
の2点を据える。
それら課題の解決法として、
後者の「不法移民」については、国境の壁を完成させることで解決を図る。
そして前者の「インフレ」については、その原因を
・戦争
・資源高
・国内投資の促進
に求める。
戦争については外交により停戦を実現し、
資源高については国内での資源掘削を進めることで落ち着かせ、
最後の国内投資促進の部分で、関税の引き上げとともに減税の話が出てきます。
この演説で具体的な減税策を説明している訳ではないですが、演説において主に念頭に置かれていると思われるのが、単純な税率引き下げではなく、
主には過去にもブログで取り上げた「リパトリ減税」となります。
参考:円安は是正されるか?
アメリカから見ての国外関連会社に留保される利益へ課税するが、
もし本国へ資金を還流させるのであれば優遇税率を適用することとし、
本国への資金還流を促し、
本国での雇用や投資の増大を促すという策となります。
単純に考えると還流を促せばインフレ要因となってしまいますが、戦争抑止や資源採掘もセットで考えているのだと思います。
そして、トランプさんの演説を見たからには、、、ということで対するハリスさんの方も気になっていたところ、経済政策がようやく公表されたとのこと。
両陣営、共通しているのは「インフレ」にスポットを当てているところです。
やはり、アメリカの物価上昇率は落ち着いてきているとはいえ、実生活においては相当の負担増になっているものと推察されます。
で、ハリスさんの経済政策におけるインフレ対策として、トランプ陣営は
・戦争停止
・資源採掘
・減税
でもって対処しようとしているのでは?と書かせて頂きましたが、
上記の新聞記事によると、ハリスさん陣営は見事といえるほどに対照的で、実生活を圧迫している物価そのものを直接的に抑えようと考えているように思えます。
本来は企業の裁量にゆだねられるべきはずの価格決定について、政策的に食料品の価格を抑制するなんて具体的にどうするんだろう?と素朴に疑問に思いますが、
いずれにせよ、
・企業へは規制強化
・一方で生活者への支援を重点的に
といったところでしょうか。
個人的には、国際社会を巻き込む戦争が2つ同時に起こり、しかも長期化しているという異常事態をまず回復させたうえで、企業に対しての税負担を最小限に設定したらインフレはどうなるのか?を見てみたい気がしています。
2024年は各国で重要な選挙が相次ぐ選挙イヤーだと言われてきましたが、結局のところ日本への影響も甚大なのは年末のアメリカ大統領選挙だと思われます。
日本においても「これからはインフレ」という認識が徐々に広がりつつありますが、その意味で、両陣営のインフレへの取り組み方もまた、注目していきたいと考えております。
収穫がひと段落し、
2週間ほど畑に出なかっただけで一面の夏草(ただの雑草)。
草刈り機で1時間格闘。
まだ終わらん。
でもいったん帰って休憩してたらそのまま大リーグ中継に見入ってしまう、、、日曜日。
失敗の本質
2024-08-07
今年から新たに入社してくれている若手社員には月に一冊、私の独断と偏見で今まで印象深かったビジネス書を課題図書としてお渡しするようにしています。
来週からもまた新たに2人の若者が来てくれますが、最初はちょっと戸惑うことでしょうけれど、こちらもめげずに継続していきます(笑)
これまでお渡しした書籍には、稲盛和夫さんの書籍や、奈良市立一条高校の校長だった藤原和博さんの書籍、福沢諭吉さんの学問のススメなどジャンルは様々です。
今後、課題図書とするかもしれない書籍リストの中に、経営学者の野中郁次郎氏の名著である「失敗の本質」という書籍があります。
そこでは、旧日本軍の分析を企業経営に投影する試みがなされています。
「失敗の本質」の中で旧日本軍の失敗の本質は「環境に適応しすぎた」ことにあると結論づけられています。
企業は環境適応業と言われることを考えると、逆説的な結論です。
旧日本軍の場合、特定の戦略を突き詰めすぎて自己否定ができず、また、自己否定ができる仕組みも構築できず、パラダイム、つまりはそもそもの「ものの見方」を変えることが出来なかった、という分析になります。
コロナ禍による行動制限が解かれたこともあり、ここ最近は起業される方も多くなっていますが、起業後、月々で試算表が出るようになると、弊社のチャート式試算表にある「損益計算書の原則」の話題になります。
そこでは、利益獲得の順序として
1,固定費
2,変動費
3,客数増
4,単価増
の順で検証していきましょう、と記載しています。
起業間もなくてもそうでなくても、自己否定と原理原則を忘れることなく経営にあたらねばなりません。
特に固定費については、「パーキンソンの法則」というものがあります。
これは、もともとはイギリスの政治学者が行政機構を研究する中で見出した法則のようですが、人や企業に置き換えることもできると思っています。
【支出は収入に達するまで膨張する】
人でいうなら、収入が増えれば増えるほど生活費の水準もまた上がってしまう。
企業に置き換えるなら、売上が増えるにつれて原価(仕入・外注・運送費用など)が上がるのはある程度やむを得ないものの、交際費や消耗品などそれ以外の固定費も上がってしまう、といったところかと思います。
コロナ禍のような不況期は当然として、
・コロナ禍が明けても収入が思いのほか戻らない
・集中的な投資がひと段落した
・売上が順調に伸びつつある、、、等
どんな場合であっても、今、原点に戻って固定費の見直しに着手されるケースが多々あります。
収入が増えるにつれて費用も増えるのであれば、収入を増やすのではなく資産を増やさねばなりません。
設備、人材など収入を増やす資産を増やし続ける意識が重要となります。
内部的には、決裁権(その経費を払っていいか)と予算化の両輪により、パーキンソンの法則などはね返していきたいところです。
真夏の夕方6時半。
西日が照らす三輪山と散歩中の私。
諸行無常。あおばらしく。
2024-07-19
テーマ:
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毎年末の税制改正大綱は必ず目を通すほか、
税制改正大綱とともに、毎年6月の骨太の方針、そして5年に一度の年金制度の健康診断である財政検証もまた、要注目の資料として捉えています。
7月の連休、ようやくという感じで7月3日に厚労省から公表された「将来の公的年金の財政見通し(財政検証)」レポートを読みました。
メディアでも報道がありましたが、年金の受け取り額に着目した記事が多く、年金の特別勘定(積立金)に触れた記事はどこか少なかったように感じます。
例:年金水準「経済成長なら6%減、横ばいで2割減」 政府試算(日経新聞)
しかし実際のレポートを見るとけっこう衝撃的、、、。
まず試算の前提として30パターン以上が用意されていますが、今より出生率が上がる場合や高成長率を実現した場合、と現実的ではないものが多く、
一番現実的なのは
・出生率が低位
・経済成長率を過去30年の実績を投影
のケースかと思います。
そうなると、130ページを超すレポートではありますが、肝心なところは
・P36、37:機械的に給付水準の調整を進めた場合
・P39、40:所得代替率50%を維持した場合
となります。
特に後者の「所得代替率50%を維持した場合」には、国民年金の積立金は2095年に底をついてしまいます。
厚生年金の方も、2095年に今の半分以下の水準まで落ち込んでいます。
しかも、今後しばらく毎年16.4万人の外国人が入国超過で、その人たちも厚生年金保険料を負担するという前提条件のもとで、、、。
今は円安で、積立金の運用をするGPIFの運用益が多額に計上できた、というような記事も散見されますが、その運用原資である積立金自体が激減する格好です。
下部に記載のある「完全な賦課方式」というのは、年金給付の原資を積立金の運用によらず、「保険料と国庫(税金)」のみで賄うことを指しますので、給付を維持しようとすれば保険料を上げるか増税か、というのが当然の流れです。
年金財政は「100年安心」という名のもと、5年ごとに100年計画を見直していく方針で、2019年の前回から円安で少しは改善されているとはいえ、財政的な懸念は残されたままと言えます。
厚生年金保険料を負担する個人として法人として、何ができるか深く考えて行かねばなりません。
そんな中、中小企業でも十分に活用できる、企業版確定拠出年金制度(DC)は有用であると考えており、このブログを書いている今日も、お客様1社が導入を決められました。
そして、6月の下旬には「骨太の方針」。
現政権を象徴するかのような、非常に曖昧で総花的な表現が多く散りばめられたものになった感があります。
経営者の皆様の「経営の出口」に対する課税である退職所得への課税方式につき、2023年の骨太の方針には「見直しを行う」と断言する表現があり懸念していたものの、結局のところ2024の今回は「税体系全般の見直しを推進する」との表現にとどまっています。
一方、個人的に着目していたライドシェアも期限の明示なく「議論を進める」との言及のみで、最終的にはトーンダウンするという点においては同様の結果になったものと見受けられます。
国家財政として円安メリットを享受している今だからこそ、規制緩和に踏み込んでおかなくては、と思うのですが、、、。
その他、中小企業に関連するものとしては
・最低賃金につき、全国加重平均1,004円になったことを踏まえ、2030年代半ばまでに1,500円を目指す
・短時間労働者への被用者保険の適用拡大、ならびに、常時5人以上の個人事業所の非適用業種の解消について2024年末までに結論を得る
・教育訓練給付の給付率の引き上げ(70%から80%へ)
・教育訓練休暇中の生活を支えるための新たな給付金の創設
・リ・スキリングの対象に経営者を追加
・中小企業を念頭においたマッチングプラットフォームを20204年度中に運用開始
といったものが挙げられます。
資金繰りについては「コロナ禍以前の水準に戻す」と明記され、事実、柔軟に使えた「伴走支援」と呼ばれるコロナ借換保証は先月末をもって終了しました。
※セーフティーネットの前提となる認定時の緩和要件(売上減少等を実績のみで判断せず見込みの要素も入れることができる)は継続される模様です。
また、2023年の骨太の方針には「中小企業等の事業再構築・生産性向上・円滑な事業承継の支援」と記載があり、それに対応する制度として「事業再構築補助金・ものづくり補助金・IT導入補助金・事業承継補助金」があり、活用頻度が高い制度となっています。
しかし今回の2024年版にはそういった表現がなくなっており、これら今まで身近だった補助金の継続性にも注意を払っておかなければなりません。
やはり、中小企業庁としてメインと位置付けているのは、過去にも取り上げた省力化投資補助金で、先日受付も開始されました。
参考:新設。省力化投資補助金
一様に、中小企業にはなかなか厳しい、もしくは影響の少ないものであるように感じます。
円安は中小企業と一般消費者にはマイナス。今こそ地域に根付いた専門職ワンストップサービスを、
ということで7月1日は恒例の経営計画発表会。
「諸行無常。あおばらしく、挑戦する勇気をもって進んでいきましょう。」
↑
経営計画書(松尾よりメッセージ)より抜粋。
数字を経営に活かす3ステップ
2024-06-17
3月決算5月申告のお客様の申告業務が終わってひと段落となる6月。
弊社6月決算につき、たいていは弊社の経営計画書を仕上げる1か月となります。
計画書データと毎日毎日にらめっこして6月を過ごします。
本当に本当に有難いことに、過去10年間で200社を超えるお客様と新たに顧問契約を頂戴しておりますが、今期の1年間は、その中でも一番多くの契約を頂戴した年度でもありました。
そのすべてがいわゆる「紹介」で、「事業承継を契機に」もしくは「月次決算プラスご提案を」というケースがほとんどになります。
事業承継に関しては、税制改正にとって毎年末の税制改正大綱と同様に重要な位置づけとなる「骨太の方針」において、下記のような報道がありました。
要件を満たせば贈与税負担がゼロで株の移転ができる新事業承継税制ですが、その要件が緩和される方向で検討されているとのこと。
ただ、内容はと言うと、株の贈与を受ける人が贈与を受ける時点で3年以上役員である必要がありますが、その要件を緩和する方向。
とのことですので実務的にはほとんど影響がないと感じます。
やはり問題は「この制度を使うかどうか」にあり、今一度、この税制の大枠と主なメリットデメリットを抜粋すると下記の通りとなります。
<概要>
・R8.3.31までに特例承継計画(A42枚のシンプルなもの)を提出
・R9.12.31までに贈与を実行
・他の要件を満たせば贈与税の全額が猶予
<メリット>
・贈与税負担なしで株の移転が可能
(後継者が確定しており、株価が高い、又は時間の余裕がない場合に特に有効)
・税務上の株価を贈与時点の価値に固定できる
<デメリット>
・猶予の取消要件に該当すれば延滞税とともに本税を負担する必要がある
・贈与後、相続が発生した時点で、納税か猶予の延長かの選択を迫られる
・贈与後、相続が発生した時点で、株も含めて相続税を再計算するため、事業に関係のない相続人の相続税率に影響する
制度の創設以来、何度かの改正が加えられていますが、贈与の期限である「R9.12.31」という日付が改正の検討課題に上がったことはありません。
弊社も、「贈与税の納税猶予は積極活用」という基本方針であり、承継のスキームを考える際には必ずといってもいいほど選択肢に上がります。
事業承継は百社百様。
贈与の実行期限まで残り3年半という中で、改正の動向もにらみつつ、引き続き、実情に合わせた承継方法を共に探っていければと考えております。
月次決算に関しても、現在は会計ソフトが非常に優秀ですし、毎月早めに試算表が欲しい!というトップの指示があれば、月次で試算表をタイムリーに出せる態勢にすることは十分に可能です。
ただ、試算表が早めに上がってきたとして、次のステップとしてそれが使えるかどうか?ということになると、大きなポイントは「在庫」を月々でどう把握するか、という点になります。
税務調査において「在庫」の確認は必ずなされます。
順番としては、まずは「売上にもれがないか?」というところからですが、その次は決まって「在庫」の確認に移ります。
なぜか?
会社にとって一番大きな費用は?と考えた場合、「人件費」、ではなく、「原価(仕入、外注)」が一番金額が大きな費用である、というケースが多いと思われます。
その原価は、
1,期首の棚卸資産(在庫)
プラス
2,その期の仕入、外注などの原価
マイナス
3,期末の棚卸資産(在庫)
で計算されます。
「1」は前期のものですし、「2」がもれることはまずない、となれば、一番大きな費用である原価は「3」の期末の棚卸資産(在庫)によって確定されることとなり、当然に大きな着眼点となります。
在庫とは期末に残っている商品というイメージもありますが、「計上されていない売上に対応する原価」という意味合いもあります。
税務調査の側面はさておき、期末なり各月末の在庫によって原価が確定するということは、いまの粗利益の率も確定することとなり、経営管理上も重要です。
黒字を継続できている企業に共通する事象として、決算の先行き管理を行うことができている、という点があります。
建設業にせよ販売業にせよ、月次報告を出来るだけ早く実現するために期中においては概算の粗利益率にて業績を把握しつつ、やはり半期や第三四半期には実際の在庫による粗利益率で業績を把握することが重要です。
在庫の額がある程度把握できれば、今度はその実額を踏まえ、
・いまの資金調達の方法が適切かどうかを判別できる
・必要売上高も計算できる
・確度の高い予算も作成できる
といったように、在庫把握の一点から経営課題を多岐に検証できる体制へとつながります。
ステップ1:試算表がタイムリーに上がる(経営状態が分かるようになる)
ステップ2:在庫把握の一点から、様々な分析や判断が出来る(数字を使えるようになる)
ステップ3:決算先行き、資金繰り先行きが把握可能、さらに「予算」に魂が入る(経営を見通せるようになる)
という3段階で、地域の中小企業の皆様に伴走していきたいと思います。
地元の小学生向けに、毎年末には「お正月講座&しめ縄づくり体験」を開催しています。
年末の講座用の稲わらを今年は自分たちの手で植えてみよう、ということで、友人たちとやって参りました。
いや~、重労働。昔の人はすごい。
しめ縄専用にと考えていますので、お米の種類は「もち米」です。
さて、無事に講座に使えるか?ハラハラながらもワクワクです。
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