税理士松尾ブログ
2024年中の出来事に解釈を加えると
2025-01-07
テーマ:税理士@松尾
年末は映画館に居ました。
映画とはいえ、中島みゆきさんのコンサートの様子を映写するというシンプルな作品だっただけに、必要以上に感情移入や興奮することもなく、2時間超をただ黙って過ごす、なかなかいい時間でした。
年始にあたり、そんな2024年中の出来事を通じた自分なりの解釈を整理してみました。
【明確な課題設定からスタートする~米大統領選挙から~】
2024年は各国で重要な選挙が相次ぐ「選挙イヤー」と言われていましたが、結局のところは年末のアメリカ大統領選挙に影響は集約される様が明らかでした。
勝敗を分けた要因は多岐にわたるとは思います。
しかし、トランプ氏は「戦争・インフレ・移民」と課題設定が明確であったのに対し、ハリス氏は選挙戦を通してテイラースウィフトやビヨンセなど世界的な著名芸能人を動員して団結を訴えつつも、概ね抽象論に終始した印象を受けます。
ものごとを実現するには、まずは端的な課題設定が重要だと痛感した出来事でもありました。
そして主軸は「対外は関税、対内は減税、そして規制緩和」となると思われます。
特に「減税と規制緩和」は、内需が縮小していく日本でこそ必要だと思うのですが、、、いずれにせよその効果も注視したいと考えています。
【結局は経営者の出番~自公の過半数割れから~】
我が国においては自公政権が過半数割れを起こす選挙結果となりました。
野党の主張する103万円の壁といい、教育無償化といい、今までにない論点が見える化され、また、
「減税となると兎にも角にも重たい与党の腰」
が見える化できたことはその効果として挙げられるかと思います。
しかし、国民生活からすれば、103万円の壁の話にせよ教育無償化にせよ、どちらかと言えば「支出を抑える」点が効果であり、(外交と安全保障は別として)そこに政治の役割はあるのだな、と感じます。
したがって、やはり肝心の「収入を増やす」「生産性を上げる」という点においては企業に依存せざるを得ないものと思われ、その意味で、結局は「経営者の出番」ということになるのでしょう。
【中小企業の役割~中堅企業なる定義の誕生から~】
中堅企業とは、中小企業以外の、従業員数2,000人以下の約9,000社を指すものとされ、2024年は中堅企業元年と位置付けられていました。
要は中堅企業がおこなう投資(賃上げ、設備、M&Aなど)への後押しを手厚くする傾向が強まっています。
裏を返せば、大企業・中堅企業以外の、圧倒的多数を占める中小企業の果たす役割は、事業承継を含めてまず「継続」にある、と位置付けられているように思います。
円安とインフレの定着化は、大企業や政府部門に富の移転をもたらします。
どこから富が移転するか?中小企業と家計部門からではないでしょうか。
経営理念、経営計画、投資のメリハリ、月次決算、目標の進捗管理という原理原則にもう一度立ち返り、「誰に何を売るか?」を再設定する必要があります。
【経営者固有の権利~税制改正の大綱から~】
確かに、法人税率は10年以上に渡って引き下げられたままとなっており、それでも法人税収は伸び続けています。
しかし、今回の税制改正では「法人税改革は意図した成果をあげてこなかったと言わざるを得ない」と総括めいた文言まで登場しました。
中小企業にとっての法人税率の軽減措置はとりあえずは延長されていますが、防衛増税の開始時期の明確化や、iDeCoの出口への課税強化など、増税項目もちゃっかりと盛られた印象です。
「資金を扱う権利(資金をどのように調達して何に使うのか)」は、「後継者を指名する権利」とともに経営者固有の権利ですので、長期的に見て負担増加傾向に差し掛かったと見える法人税の面からも、経営者固有の権利の使い方により理念が求められます。
事業の利益に依らずに借入で調達する場合、変動金利の調達には要注意ですし、
・なぜその金額なのか?
・なぜその年数で借りるのか?
・なぜ返せるのか?
を自社で明確化する必要があります。
また、固定費は「固定された経費」と書きますが、実際には管理なしには膨らむ習性がありますので中小企業こそ予算実績管理が重要です。
【年始のセミナー企画】
税制改正セミナー(税理士法人あおばお客様向け)
税理士による相続対策セミナー(税理士法人あおばお客様のほか、一般でもご参加可能なセミナー)
(※1月11日にて定員に達したため申込みを締め切りました。)
どんぶり勘定とは?
2024-12-27
テーマ:税理士@松尾
ここ数年の人手不足は業種を問わず地方の中小企業全体を覆う問題ですが、そんな中でもリファラルと言いますか、要は関係性の深い知り合いツテでの採用には比較的成功事例が多いように感じています。
そんな中、「労働市場の未来推計2035」というレポートがあり、目を通しました。
結論からすると2035年の人手不足感は2023年の「1.85倍」になるというもの。
しかし就労者の「数」は今よりも増加するとのことで、これは定年再雇用や働く女性、副業をする人の増加による短時間での就労者数が増加し、一人あたりの労働時間が減少していくことを意味します。
対応策としては、そういった潜在的な労働力(ショートワーカー等)を活かすことと提言されていますが、その他に挙げられているのが
・教育訓練(現状、従業員一人あたりOff-JT費用年間1.5万円を2.5万円に)
・テクノロジー(生成AI)
の2点となります。
冒頭の1.85倍という数値はともかく、対応策としてはおおむね想定の範囲内という気がしますが、ショートワーカーが増えて就労者数は伸びるということは、
企業の管理手法としては、たとえば収益性であれば、
「一人あたり粗利益」
から、
「時間当たり粗利益」
に移っていくように思われ、実際に弊社でも3年ほど前から生産性の管理指標は「時間あたり」にしています。
そういった就労者の数が増える流れを考えると、個人的には、そうであれば定年に関してはむしろ前倒しすべきなのでは?と思料するところですが、ともかく、外注から社員へ、という流れは中小企業でも強く、結果として社員教育や理念教育といった経営の根幹もまた、見直されているケースが多くなっています。
いまさらですが私は税理士であり税務の専門家であるのですが、
実務においては、税務の手前に、会計や資金繰りといった財務の世界があります。
賃上げや人手不足、社保の適用拡大といった固定費の上昇圧力がかかる中で、その財務の重要性は今後ますます重要となります。
むかしからどんぶり勘定という言葉はありますが、今後は、そのことばの定義を、
・定期的に棚卸を帳簿に反映していない
・売上を要素別に把握していない
・変動費と固定費、さらには固定費を管理可能経費と管理不能経費に分けて考えていない
という具合にすこし昇華させる必要があるように思われ、その上で、先行き管理をともにしていければと考えています。
年末にかけて、
・令和6年度の補正予算の成立
・令和7年税制改正大綱の公表
がありました。
補正予算では、中小企業実務に密接に関係する「生産性革命推進事業」の延長の文言が見られます。
「ものづくり」「持続化」「IT導入」「事業承継」の各種補助金を指します。
また事務局のホームページが今回の補正予算バージョンに近々更新され、公募要領が公開される運びとなるかと思います。
税制改正については、103万の壁議論が話題を独占しておりますが、こちらも実務に大きく影響する、
・中小企業者に対する法人税率の軽減(本則19%のところ、15%に)
・設備投資の即時償却が可能な経営強化税制
がそれぞれ2年延長され安堵しております。
しかし、隠れた増税も多く、いわゆる55年体制以降はじめての少数与党になったとはいえ、防衛増税についてはR8.4.1以降の開始事業年度から「法人税の500万円を超える部分」について4%が課税されることとなり、また、idecoの出口(受け取り時の)課税が強化されるなど、頑なな姿勢に唖然とするばかりです。
挙句の果てには「法人税率の引き下げを中心としたこれまでの法人税改革は意図した成果を上げて来なかった」と明記されるに至っており、法人税率そのものも長期的には引き上げの方向となりそうです。
税制改正については年明けにセミナーを企画しておりますので改めてご案内申し上げる予定ですが、私自身も中小企業の経営者の一人としてもう一度、組織の目的とミッションを見つめなおし、来年7月からの事業計画を練っていこうと思っています。
ドラッガーいわく、事業の定義づけをしたとしてもせいぜい10年が限度、とのことですので。
12月。合間を縫って、ライフワークの「お正月&しめ縄づくり講座」を地元の小学校にて開催してきました。
今年で5年目、新聞社さんも取り上げて頂き、感謝。
お正月クイズでは元気いっぱい。
お正月は何日まで?
・1月1日?
・1月15日?
・1月31日?
っていう感じのクイズを何問か。
その後はしめ縄づくりに奮闘!
ロマンとソロバン
2024-10-30
先日はあおばセミナー「ホールディング経営のポイント」をハイブリッド形式で開催させて頂きました。
経営にはロマンとソロバンが必要、と言われるところです。
大きなロマンを掲げつつ、もう片方の手ではソロバンを持っていなければならない、といったようなことです。
ホールディング経営を導入するかどうかに際しても、ロマンとソロバンと同じように、理念と株券という視点をご紹介させて頂きました。
自社の
・理念・・・事業の舵取り役
・株券・・・会社資産の承継
を今後どうつないでいくか、という視点でまずは考えてみましょう、とセミナーの最後に申し上げた次第です。
どうつないでいくか、の一つの選択肢としてホールディング経営があり、その移行や設計には税制が必ず絡みます。
節税の視点から語られるケースが多いホールディングですが、まずは「理念と株券」の観点からスタートし、各種税制・節税面を検証する流れが本来的だと考えております。
日ごろからホールディングを含む様々な経営管理体制を念頭に置きながらコミュニケーションを取らせて頂ければと思います。
また、その少し前ですが、偶然にも、吸血型M&Aとして、現金や換金性の高い資産のみを抜き取り、それ以外は契約を履行しない悪質な買い手が問題となっているという報道に接しました。
「吸血型M&A」の報道(NHK)
買い手が悪質なのは当然ですが、マッチング相手の検索のみに重きを置きすぎている仲介業者にも一定の責任があるように思います。
M&Aは様々な段階を踏むものの、最終的には契約書です。
財務的な論点だけではなく弁護士と連携して最終的に契約書へ様々な内容を盛り込み、買い手・売り手双方の経営者の人間関係のもと、契約内容の落としどころを探っていくのが原則的な流れです。
その結果、契約まで至るケース、至らないケース様々ですが、売り手としては売り急がず相手の組織風土を見極め、買い手であってもとにかく慎重に、時間をかけて、売買代金も分割払いでいいくらいだと思います。
そのような事業承継に関するものも含め、奈良県独自の補助金も公表されています。
デジならキャンペーン補助金
saasサービスの費用の一部を補助するもので、専用サイトも公表されています。
国の施策としての省力化投資補助金の奈良県独自の上乗せ措置になります。
山の辺の道はハイシーズン。
夕暮れ、
税制を切り口としたアメリカ大統領選挙
2024-08-27
減税を政策の中心に据える、ということで、
どのようにそれを実現しようとしているのか?
と興味を持っていた、トランプ大統領候補の政策。
お盆休みをいただいていたこともあり、トランプ元大統領の共和党候補者の受託演説の映像を、遅ればせながら見ました。
(7月19日実施)
『トランプ氏 共和党大統領候補指名受託演説』 ──(日テレNEWS LIVE)
同時通訳だけが頼りですが、全体的な流れは下記のようなものと思います。
喫緊の解決すべき課題として、
・インフレ
・不法移民
の2点を据える。
それら課題の解決法として、
後者の「不法移民」については、国境の壁を完成させることで解決を図る。
そして前者の「インフレ」については、その原因を
・戦争
・資源高
・国内投資の促進
に求める。
戦争については外交により停戦を実現し、
資源高については国内での資源掘削を進めることで落ち着かせ、
最後の国内投資促進の部分で、関税の引き上げとともに減税の話が出てきます。
この演説で具体的な減税策を説明している訳ではないですが、演説において主に念頭に置かれていると思われるのが、単純な税率引き下げではなく、
主には過去にもブログで取り上げた「リパトリ減税」となります。
参考:円安は是正されるか?
アメリカから見ての国外関連会社に留保される利益へ課税するが、
もし本国へ資金を還流させるのであれば優遇税率を適用することとし、
本国への資金還流を促し、
本国での雇用や投資の増大を促すという策となります。
単純に考えると還流を促せばインフレ要因となってしまいますが、戦争抑止や資源採掘もセットで考えているのだと思います。
そして、トランプさんの演説を見たからには、、、ということで対するハリスさんの方も気になっていたところ、経済政策がようやく公表されたとのこと。
両陣営、共通しているのは「インフレ」にスポットを当てているところです。
やはり、アメリカの物価上昇率は落ち着いてきているとはいえ、実生活においては相当の負担増になっているものと推察されます。
で、ハリスさんの経済政策におけるインフレ対策として、トランプ陣営は
・戦争停止
・資源採掘
・減税
でもって対処しようとしているのでは?と書かせて頂きましたが、
上記の新聞記事によると、ハリスさん陣営は見事といえるほどに対照的で、実生活を圧迫している物価そのものを直接的に抑えようと考えているように思えます。
本来は企業の裁量にゆだねられるべきはずの価格決定について、政策的に食料品の価格を抑制するなんて具体的にどうするんだろう?と素朴に疑問に思いますが、
いずれにせよ、
・企業へは規制強化
・一方で生活者への支援を重点的に
といったところでしょうか。
個人的には、国際社会を巻き込む戦争が2つ同時に起こり、しかも長期化しているという異常事態をまず回復させたうえで、企業に対しての税負担を最小限に設定したらインフレはどうなるのか?を見てみたい気がしています。
2024年は各国で重要な選挙が相次ぐ選挙イヤーだと言われてきましたが、結局のところ日本への影響も甚大なのは年末のアメリカ大統領選挙だと思われます。
日本においても「これからはインフレ」という認識が徐々に広がりつつありますが、その意味で、両陣営のインフレへの取り組み方もまた、注目していきたいと考えております。
収穫がひと段落し、
2週間ほど畑に出なかっただけで一面の夏草(ただの雑草)。
草刈り機で1時間格闘。
まだ終わらん。
でもいったん帰って休憩してたらそのまま大リーグ中継に見入ってしまう、、、日曜日。
数字を経営に活かす3ステップ
2024-06-17
3月決算5月申告のお客様の申告業務が終わってひと段落となる6月。
弊社6月決算につき、たいていは弊社の経営計画書を仕上げる1か月となります。
計画書データと毎日毎日にらめっこして6月を過ごします。
本当に本当に有難いことに、過去10年間で200社を超えるお客様と新たに顧問契約を頂戴しておりますが、今期の1年間は、その中でも一番多くの契約を頂戴した年度でもありました。
そのすべてがいわゆる「紹介」で、「事業承継を契機に」もしくは「月次決算プラスご提案を」というケースがほとんどになります。
事業承継に関しては、税制改正にとって毎年末の税制改正大綱と同様に重要な位置づけとなる「骨太の方針」において、下記のような報道がありました。
要件を満たせば贈与税負担がゼロで株の移転ができる新事業承継税制ですが、その要件が緩和される方向で検討されているとのこと。
ただ、内容はと言うと、株の贈与を受ける人が贈与を受ける時点で3年以上役員である必要がありますが、その要件を緩和する方向。
とのことですので実務的にはほとんど影響がないと感じます。
やはり問題は「この制度を使うかどうか」にあり、今一度、この税制の大枠と主なメリットデメリットを抜粋すると下記の通りとなります。
<概要>
・R8.3.31までに特例承継計画(A42枚のシンプルなもの)を提出
・R9.12.31までに贈与を実行
・他の要件を満たせば贈与税の全額が猶予
<メリット>
・贈与税負担なしで株の移転が可能
(後継者が確定しており、株価が高い、又は時間の余裕がない場合に特に有効)
・税務上の株価を贈与時点の価値に固定できる
<デメリット>
・猶予の取消要件に該当すれば延滞税とともに本税を負担する必要がある
・贈与後、相続が発生した時点で、納税か猶予の延長かの選択を迫られる
・贈与後、相続が発生した時点で、株も含めて相続税を再計算するため、事業に関係のない相続人の相続税率に影響する
制度の創設以来、何度かの改正が加えられていますが、贈与の期限である「R9.12.31」という日付が改正の検討課題に上がったことはありません。
弊社も、「贈与税の納税猶予は積極活用」という基本方針であり、承継のスキームを考える際には必ずといってもいいほど選択肢に上がります。
事業承継は百社百様。
贈与の実行期限まで残り3年半という中で、改正の動向もにらみつつ、引き続き、実情に合わせた承継方法を共に探っていければと考えております。
月次決算に関しても、現在は会計ソフトが非常に優秀ですし、毎月早めに試算表が欲しい!というトップの指示があれば、月次で試算表をタイムリーに出せる態勢にすることは十分に可能です。
ただ、試算表が早めに上がってきたとして、次のステップとしてそれが使えるかどうか?ということになると、大きなポイントは「在庫」を月々でどう把握するか、という点になります。
税務調査において「在庫」の確認は必ずなされます。
順番としては、まずは「売上にもれがないか?」というところからですが、その次は決まって「在庫」の確認に移ります。
なぜか?
会社にとって一番大きな費用は?と考えた場合、「人件費」、ではなく、「原価(仕入、外注)」が一番金額が大きな費用である、というケースが多いと思われます。
その原価は、
1,期首の棚卸資産(在庫)
プラス
2,その期の仕入、外注などの原価
マイナス
3,期末の棚卸資産(在庫)
で計算されます。
「1」は前期のものですし、「2」がもれることはまずない、となれば、一番大きな費用である原価は「3」の期末の棚卸資産(在庫)によって確定されることとなり、当然に大きな着眼点となります。
在庫とは期末に残っている商品というイメージもありますが、「計上されていない売上に対応する原価」という意味合いもあります。
税務調査の側面はさておき、期末なり各月末の在庫によって原価が確定するということは、いまの粗利益の率も確定することとなり、経営管理上も重要です。
黒字を継続できている企業に共通する事象として、決算の先行き管理を行うことができている、という点があります。
建設業にせよ販売業にせよ、月次報告を出来るだけ早く実現するために期中においては概算の粗利益率にて業績を把握しつつ、やはり半期や第三四半期には実際の在庫による粗利益率で業績を把握することが重要です。
在庫の額がある程度把握できれば、今度はその実額を踏まえ、
・いまの資金調達の方法が適切かどうかを判別できる
・必要売上高も計算できる
・確度の高い予算も作成できる
といったように、在庫把握の一点から経営課題を多岐に検証できる体制へとつながります。
ステップ1:試算表がタイムリーに上がる(経営状態が分かるようになる)
ステップ2:在庫把握の一点から、様々な分析や判断が出来る(数字を使えるようになる)
ステップ3:決算先行き、資金繰り先行きが把握可能、さらに「予算」に魂が入る(経営を見通せるようになる)
という3段階で、地域の中小企業の皆様に伴走していきたいと思います。
地元の小学生向けに、毎年末には「お正月講座&しめ縄づくり体験」を開催しています。
年末の講座用の稲わらを今年は自分たちの手で植えてみよう、ということで、友人たちとやって参りました。
いや~、重労働。昔の人はすごい。
しめ縄専用にと考えていますので、お米の種類は「もち米」です。
さて、無事に講座に使えるか?ハラハラながらもワクワクです。
期限間近。コロナ特別貸付。
2024-05-07
業種を問わずまだまだ厳しい経営環境が続き、社員ともども、月次決算をもとにお客様の資金繰り予想表をつくって打ち合わせを重ねる日々が続きます。
そんな中、コロナ関連の特別貸付の取り扱いが3ヵ月延長され、6月末までとなっています。
日本政策金融公庫さんの「新型コロナウィルス感染症特別貸付」の場合、
・最近1か月の売上または過去6か月の平均売上が
・前6年のいずれかの年の同期と比べて
・5%以上減少している
という要件を満たせば、災害関連の基準利率(1.25%~2.35%)から0.5%優遇した金利、運転資金で最長20年(据置最大5年)という非常に有利な条件になっています。
制度融資の全体的な流れとして、
・創業融資
・新型コロナ対策は資本性劣後ローン
に注力する流れがありますので、恐らくは、この「新型コロナウィルス感染症特別貸付」が再延長される可能性は低いのではないかと思われます。
奈良県の場合は無利息とはいえ、コロナ禍での借入の返済額ほどに利益計上が追い付いていないケースがまだまだ多くありますので、借換えにてこの特別貸付を活用する選択肢もあると思います。
弊社奈良オフィス、政策公庫さんと同じフロアにありますので、お客様、弊社担当、政策公庫の弊社担当者とともに、決算書をもとに個別相談の機会を設定して対応していきます。
また先日は、奈良新聞さん主催の経営承継セミナーに専門家要因として登壇して参りました。
事業承継における贈与や相続のポイントを専門家が解説 – 奈良新聞社「経営承継セミナー」
その前段、近畿経済産業局さんから「これからの経営に活かせる施策」のご案内があり、私も勉強として聞いておりました。
やはり、今年度の目玉は「省力化投資補助金」だそうで、事務局ホームページに、製品カテゴリ別にこれから製品が登録され、6月を目途に申請受付が開始される予定のようです。
他は生産性革命事業に係る補助金として、従前からの「ものづくり」「IT導入」「小規模企業持続化」「事業承継」の4種類が準備をされています。
そのほか、ぜひ使って欲しい、ということで挙げられていたのが省エネ補助金。
何種類かのコースがあり、その中でも「設備単位型」が比較的使いやすい模様です。
補助率は1/3ですが、エネルギー効率の良くない空調や冷蔵設備などを使用中の場合には活用検討の余地があるかもしれません。
また、経済産業省ではなく総務省管轄の「ローカル10,000プロジェクト」に係る補助金も公募要領が公開されています。
各市町村と共同して申請するものですが、地域課題の解決に資する事業であれば、建物も補助対象であり、かつ最大5,000万まで補助ということで非常に大きな効果が見込まれます。
ただ、市町村が補助金を支出し、その支出を国庫が市町村の補助、という流れとなるため、市町村によっては予算措置との兼ね合いも出てきそうで、お考えの新規事業がある際は、まずは市町村窓口への問い合わせが必要かと思われます。
確定申告。知らんまにお水取りも春も始まっとるやないか、というお決まりの風景
2024-03-18
個人の方の確定申告が終わりました。
弊社においては過去最多の申告件数、、、。
なかなか大変でしたが、私の管理能力の低さとはウラハラに、現場ではサポートをし合って3/13の段階で、ほぼメドがついていたように思います。感謝。
そんな確定申告期間中、「法人税が安い」ことを特徴に、外からの投資を集めてきた国がその方針を転換させる表明をしました。
⇒【シンガポール】グローバルミニマム課税、25年1月から導入
シンガポールは、法人税率は原則こそ17%と極端に低い水準ではありませんが、金融や石油製品など一定の業種に関わる会社については5~10%の税率を適用したりと、低い法人税率で世界中から資金や人を集めてきており、コロナ前は弊社でも視察ツアーを組んだりもしていました。
しかし、2025年から始まるグローバルミニマム課税(税率の最低限度を各国統一して課税する)という世界的な潮流にいち早く対応する表明をしたことになります。
今まで5%の税率で済んできた会社にとってはいきなり法人税が3倍超になり、シンガポールに会社を置いておく意義そのものが問われることになります。
法人税は、今年の税制改正の内容を鑑みても、特定した分野に限定して税制の後押しをする、という色合いが濃く、グローバルミニマム課税という世界的な潮流もありますので、今後、日本でも優遇的な措置は狭められる傾向が強まるものと考えています。
したがって、個人においても会社においても、税引前利益そのものを大きくすることの重要性がますます高まります。
そんな背景もあって、先日は資産防衛セミナーという動画をお客様向けに配信しました。
対談形式で、私の大学時代の同級生で、三菱UFJモルガンスタンレー証券を経て今は独立系のファイナンシャルアドバイザーの玉木さんをお迎えしました。
そして、企画の際には何かとお世話になっているフリーアナウンサーの清水健さんの名司会。
今回は概要編で、株価と金利の関係や、ベンチマークの指標を話題に取り上げました。
新NISAのスタートやインフレ傾向の環境もあいまって、
・投資の選択肢を増やす
・自分なりのシンプルな投資ルールをつくる
ことを目的として今後もテーマを設定して配信していきたいと考えています。
また、セミナーといえば、
4月13日、
・経済産業省 近畿経済産業局産業部 中小企業課長さま
・奈良県事業承継引継ぎ支援センターの統括責任者さま
とともにセミナーをさせて頂きます。
年度替わりの4月ですので、
・公(おおやけ)によるさまざまな施策
・引継ぎ支援センターさんへの相談事例
などを把握する機会として頂ければと思います。(こちらは奈良新聞さんの主催ですのでどなたでもお申込みできます。)
私からは、中小企業の事業承継において、譲る側・受け継ぐ側それぞれで実務上気を付けて頂きたいポイント、可能な限りでの事例紹介をさせて頂ければと考えております。
⇒お申込みフォーム(主催の奈良新聞さんのページへ)
確定申告シーズン、知らんまにお水取りが始まって、春も始まっとるやないか、というお決まりの風景。
3月16日の朝。日本最古の道、山の辺の道にて。
背景や理念に沿ったサポートを本年も。
2024-01-15
テーマ:税理士@松尾
新年から大変なニュースが続きました。
被災地の方々には一日も早く元の日常が戻りますこと、慎んで祈念申し上げます。
昨年末に税制改正が公表されましたが、既存措置の延長が目立ち、法人税の減税メニューも大企業・中堅企業向けのものが多い結果となりました。
ただそれでも、個人所得税の定額減税を除くと、全体に占める法人税の減税額は大きく、裏を返せば、いつ法人税の増税機運が高まってもおかしくない状況といえます。
企業側としては、キャッシュの社外流出を伴う節税策に依らず、投資と回収、そして運用でもって利益そのものを大きくすることで税引き後利益も大きくする必要性が増してきます。
「人は石垣。人は城。」というように、人への「投資」については今回の税制改正においてさらに減税措置が拡充されています。
また、手元資金を、損金性の有無に関わらず「運用」に回す選択肢も重要となりますので、「資産の防衛」をテーマにして業者間連携も広げ、分かりやすくかつ原理原則に基づいた情報発信をして参ります。
年末にテレビで流れていた、大泉洋さんの「さあ年末です。プライムビデオです。」のCMからヒントを得て、長編小説を読もうと思い立ち、「村上海賊の娘」を読みました。
(素直に「そうだ、アマプラを見よう」とならないのが私の性格が多少?ひねくれている証でもあります。)
そこでは、「臆病者の決断はいつも遅い。だが、その一度の決断は揺るぎなく、もっとも大胆に立ち現れる。」という村上景親の姿勢が印象に残りました。
政治の世界では醜聞が絶えないうえ、物価高や資源制約が続く中ではありますが、地方の経済を雇用の面から支えているのは中小企業であることに疑う余地はありません。
私たちとしては地域経済を担う多くの企業さまと接点をもつ事業者として、実務上出会う様々な「決断」に、その背景や理念に沿ったサポートを実現できるよう、精進して参ります。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
前日はお酒の席。
春と見まがう景色を見ながら、駅前においたままの車を翌朝に歩いて取りに行くの巻。
本年も有難うございました。
2023-12-29
今年も有難うございました。
先日、OECDから世界経済の長期展望が公表され、
・先進国と主要新興国のトレンド成長率がコロナ禍前の3%から2060年までに1.7%に徐々に鈍化
・G20新興国は4.5%から2%とより大きな減速
・クリーンエネルギーへの転換を加速させることが経済活動をさらに圧迫する可能性
・多くの国で高齢化により労働人口が減少
・30年代終盤にはインドの世界経済成長への寄与度が中国を上回る
・中国は予測期間を通じて最大の経済大国であり続ける
というような内容だったようです。
巨大な内需を抱え、革新と振り戻しを繰り返し、日本経済はゆっくりと成長するイメージの一方で、低成長は増税と結び付きがちになります。
事実、シンガポールは来年から消費税増税に動く模様です。
⇒シンガポール、来年から消費税引き上げ 高齢化に伴う支出増に備え
補助金・助成金はもちろん、税制の時限措置や非課税、優遇措置は有効に使うことは当然として、負担増を切り抜け承継を実現するため、企業においては経営理念・家族憲章といった原点が今後より一層になると思います。
そして私どもも、法人税、消費税、所得税、相続税、贈与税に横串を刺し、お客様と月次業績という定点観測を繰り返しながら、引き続き、グループの税理士、現場スタッフ、弁護士、社労士とともに課題解決にあたり、専門職コンサルティングファームを体現して参りたいと考えています。
仕事納め。社員がつくってくれた「しめ縄」に、マイ畑に自生している松を飾り付け。
本年も有難うございました。
税制改正が発表。そしてしめ縄奉納。
2023-12-18
先週、令和6年の税制改正大綱が公表されました。
資料のボリュームは例年通りではあるものの、中小企業実務の観点からは、先送りやマイナーチェンジの性質のものがほとんどを占める印象です。
<自社株贈与の納税猶予制度>
自社株贈与の納税猶予を使う際の承継計画の提出期限は令和8年3月末まで延長されましたが、贈与の実行期限は令和9年12月末のままです。
納税猶予制度については
・株の移転を急ぐ場合
・業績が堅調な場合
には積極活用の方針ですが、いずれにせよ株式移転に際しては「保有者の目の黒いうちに」というのが大原則になります。
とはいえ、後継者のご経験であったり、婚姻しているかどうか、など個人の状況を考えるとまだ贈与できない、というケースも実務的には存在します。
その場合には
・相続財産の試算(分割イメージとそれに伴う税負担の確認)
・遺言の作成(株の部分だけでもOK。)
も検討していくことが重要です。
<所得拡大促進税制・交際費>
雇用者給与総額が1.5%増加した際、増加部分の15%~40%相当を税額から控除できる制度も、最大45%控除できることとなり、欠損の場合は5年間繰り越せることになりましたが、その期の法人税の20%という上限はそのままです。
交際費のうちの飲食費については、一人あたり10,000円以下のものは交際費には該当しないこととなりました。
まずそもそも交際費等とは、
1,得意先、仕入先その他事業に関係する者などに対する
2,接待、供応(もてなす)、慰安、贈答その他これらに類似する
ことのために支出するものをいいます。
「1」の「など」には、役員や従業員、株主や内定者も入ります。
交際費に該当したとしても、資本金1憶円以下の法人の場合には12か月で800万円までは結果的に損金に算入され、また、一人あたり5,000円以下(改正後は10,000円以下)の飲食費については、上記の交際費から除くことが出来ます。
<その他>
防衛増税の開始時期は触れられなかった上、個人的に一番着目している「退職所得への課税(強化)」についても、「あるべき方向性や全体像の共有を深めながら具体的な案の検討を進めていく」という、ここ数年間と同じ文言が載せられたのみでした。
政権の現状を象徴するような税制改正でしたが、改正にあたる基本的考え方とともに、各項目を網羅的にまとめてご報告する機会も早々に設けさせて頂きます。
一気に冷え込んだ日曜日。
神社の古木にしめ縄を飾って欲しい、と、お隣の村からご依頼を頂き、手作りのしめ縄を奉納させて頂きました。
これでいいのかな、、、と多少不安でしたが喜んでいただいて良かった良かった。
中期計画は毎年見直す。短期計画は1年間変えない。
2023-11-06
事業承継、コロナ融資の返済開始、資金需要(融資)の発生、など理由は様々ですが、経営計画や収支計画のお手伝いをさせて頂く、もしくはご提案をさせて頂くケースが増えています。
弊社自身も「中期計画は毎年見直す。短期計画は1年間変えない。」という基本原則のもと、
・毎年経営計画を作成
・期首に全社共有
・その期の重点施策と予算を追いかける
・次の期の経営計画に反映させる
という流れでずっと来ております。
経営計画は魔法の書ではありませんが、「書かざるものは実現しない」のもまた現実。
弊社の事業継続の上で欠かせないものになっています。
お客様が作成される場合、「計数」の部分の立案でご心配されるケースもありますが、計数はあくまで「行動の裏付け」と位置づけていただき、
まずは
・定点観測の手段
・従業員や自分自身に対する意思の伝達手段
・社員教育の手段
として考えていただくことが大切です。
もちろん私どもも計数は把握しておりますし、弊社で使っているひな型もありますのでご心配は無用です。
弊社としては「ウチはこうしています」というスタンスでフォローさせて頂いております。
インボイス制度がスタートして一か月が経過。
インボイス番号がない領収書や請求書を受け取り、「どうしたらいいのか?」「払ってもいいのか?」といったご質問を頂きます。
まず、すでに消費税の納税義務のある事業者にとっての最大の論点は、支払の相手先が適格請求書(インボイス)を発行するかどうか?にあります。
発行しない取引先がある場合、まずは自社の売上規模別に特例的な措置があります。
【法人の場合、基準期間(主として2期前)の課税売上が1億円以下の場合】
・消費税込みで
・1取引あたり
・1万円未満
の領収書等の場合には、帳簿への記載のみで令和11年9年30日までは仕入税額控除が可能です。
【基準期間(主として2期前)の課税売上が5千万円以下かつ「簡易課税方式」を選択している場合】
自社の消費税の納税計算の際は、売上などと同時に受領した消費税のみで計算しますので、支払先からのインボイス発行の有無は結果として納税額に関係しません。
上記2つのケース以外の場合には、
・インボイスの記載がない
・しかし消費税相当や税込みといったの記載がある
請求書や領収書を受け取った際、たとえ消費税の名目であってもそれは対価の一部であり、支払う側にとっては値上げと同様の効果となります。
消費税法57条の5において、
・適格請求書発行事業者以外の者は
・適格請求書発行事業者が発行した適格請求書と
・「誤認」されるおそれのある表示をした書類を
・交付・提供してはならない
という罰則付きの規定があります。
しかし、今のところは免税事業者が消費税相当を請求することは「誤認」のおそれのある書類発行とはされない、とされています。
したがって最終的には、その実質的な値上げをどうするか、具体的には、
・受け入れない方向で協議する
・経過的に控除できる8割相当まで下げるよう協議する
・そのまま支払う
の3点について検討をすることとなります。
インボイス番号がなくても消費税相当の8割を控除できる経過措置もあるとはいえ、2割相当のコスト高を受け入れることになります。
既に消費税を納めてきた事業者において、このコスト高の業況にあって、その制度の活用ありきでさらなるコスト高を受け入れる必要はなく、引き続き上記3点を検討すべきものと思います。
日本最古の道。山の辺の道。
最高の秋晴れの日にボランティアガイド。
100名以上参加され、半数は県外から。
こちらも勉強、勉強。
電子保存が義務化?
2023-06-21
来年度予算の基本方針である「骨太の方針」が公表されています。
安全保障体制を構築しつつ、若年層が本格的に減少する2030年代に入るまでに、基本的には内需拡大(人への投資、労働市場改革、こども子育て・投資拡大・GXDXスタートアップ)を図り、一人あたり生産性を向上させる方向性のように感じます。
具体策として一番最初に登場するのが「三位一体の労働市場改革」。
「1」リ・スキリングによる能力向上支援
・・・企業経由が主体の学び直し支援策の過半を個人経由にする
「2」企業の実態に応じた職務給の導入
・・・事例集のとりまとめ
「3」成長分野への労働移動の円滑化
・・・自己都合退職の場合の要件緩和(会社都合退職の場合は触れられず、、、。)と、退職所得課税制度の見直し
退職所得課税については、勤続20年までは一年あたり40万円が非課税となり、21年目以降は一年あたり70万円が非課税となります。
例)勤続21年の場合
20年×40万円+1年×70万円=870万円までが非課税
長く勤務すれば非課税枠が大きくなるところが疑問視されているのだと推察しますが、当然、役員退職金の水準設定にも影響してきますので、今後どのように制度設計がされるのか、以前から注視しているところです。
その他、
・賃上げ税制や補助金の強化をさらに検討
・最低賃金1,000円達成後の最低賃金引上げの方針についても議論する
・週20時間未満労働者への雇用保険適用拡大を議論
・中小企業向けの省エネ補助金の検討
・継続的な事業省再構築、生産性向上、事業承継の支援
(事業再構築、ものづくり、IT導入、事業承継の各種補助金)
・社会保険の適用拡大検討と年収106万円の壁を超えた場合の手当
が掲げられています。
その他、奈良県において「物価高騰対策」の流れで、賃金を引き上げた企業に対し「従業員数×5万円助成」の補正予算が提出されています。
県の資料では対象となる賃上げの時期について明示はありませんが、奈良新聞の記事によると「9月から来年2月までの間に基本給や時間給を1.7%以上引き上げた」場合とのことです。
やはり経営者としては社会保険の被用者拡大が気になるところ。
しかし、社会保険の加入よりも「手取り」を重視するニーズもあることは確かです。
例えば法人成りにともない、
・「給与扱いのものを外注扱いにしてほしい」という従業員側からの要望を受ける
・「外注扱いにしているけれど従業員と待遇はさほど変わらない」
というケースも依然として多いのではないかと推察します。
「給与か外注か」で税務面の手続や負担もかなり変わります。
そのような中、参照したい地裁判決(高裁でも敗訴)があります。
<背景>
・社保加入になるなら外注にして欲しいと従業員から申し出あり
・雇用保険から抜ける
・本人から請求書を発行してもらうようにした
・本人は「給与所得」ではなく「事業所得」として確定申告
<外注扱いとした後の実態>
・日当は変わらず
・翌月末払いのサイトも従業員時代と同様
・本人はその会社以外からの請負はしていない(専属)
・従業員時代と同様「寸志」も不定期に請求して受け取っていた
・簡易な道具以外は会社側にて支給
・本人の都合がつかない時は会社側が別の外注先を探す
・仕事が完成の対価ではなく日当として報酬を請求できる
要は、外注としての形式は整えていたものの、従業員時代と全く実態が変わっていないということで「外注費ではなく給与」とされ、結果、会社側において、
・消費税の納税負担が増え、
・源泉徴収もれ
を指摘されています。
インボイス制度も始まるため、外注扱いへの変更の頻度としては減少するのかもしれませんが、会社側としてはメリハリのある実態に即した運用が求められます。
最後に電子帳簿保存関係。
電子帳簿保存について、ソフトの紹介など各種の情報を毎日のように目にするようになっています。
「電子保存が義務化」の部分だけを強調したサイトも見かけるようになりました。
電子保存が義務化されることは間違った情報ではないのですが、義務化されるのはあくまで「電子取引の保存」についてのみであって、それ以外は任意適用になります。
そして適用を決めるに際しては必ず、
・使用ツールの費用対効果
・税務調査への対応方法
が関係してきます。
中小企業にとっては、義務化される部分は最小の費用若しくは費用をかけずに粛々と対応し、それ以外の項目については慎重に電子保存対応をしていくべきと考えています。
今一度、電子帳簿保存法が要請している保存要件について情報を整理すべく、オンラインセミナーを開催させて頂くこととしました。
7月5日16時から40分間で、
・電子帳簿保存法の4つのジャンル
・導入を決めるための判断基準
・税務調査と電子帳簿保存
・一番導入しやすいジャンル
・電子インボイスと電子取引
といった点について情報を共有し、自社にとって最適な電子帳簿保存法対応を考える機会として頂ければと考えております。
お客様向けメールマガジンにて申込みフォームをご案内しておりますので、ご都合許せばご参加ください。
今年の税制改正は要チェック
2022-12-29
令和5年度の税制改正大綱が公表されています。
特に今年は
・防衛費財源としての増税
・インボイスの激変緩和措置
・富裕層への所得税、相続税、贈与税の増税
・NISAの拡充
など、公表前からマスコミで取り上げられることが多かったように感じます。
実際に公表された大綱も137ページ。
令和4年度の税制改正大綱は102ページでしたのでボリュームも3割ほど増えた形となりました。
防衛費の財源としての法人税増税については、
・法人税額から500万円を控除した
・残額に対して
・4%〜4.5%を新たに付加
ということで「令和6年以降の適切な時期に施行」とわざわざ記載がされており、こればかりは今後の議論を待たねばなりません。
取り急ぎ、中小企業実務に大きく影響する項目としては
・年800万以下の所得に対する法人税率が15%(本来は19%)となっている措置
・30%割増の特別償却が可能な「投資促進税制」
・経営力向上計画をセットで100%即時に償却可能な「経営強化税制」
が、のきなみ2年延長ということでまずは安堵しています。
事業承継や相続対策に影響してくる「相続税・贈与税」についても大きな改正がありました。
しかし確かに軌道修正は必要なものの、基本スタンスまでは揺るがすものではないと思っています。
むしろ将来的に税務上の価値が値上がりするはずの「自社株」という財産を持つ宿命にある経営者にとっては有利に働く改正ではないかと思います。
節税には生前贈与が決定的な要素になりますが、その生前贈与には2つのコースがあります。
何もしなければ「暦年課税」。
これは年間110万円まで非課税というお馴染みのものです。
相続開始前7年間にした生前贈与については無効(相続財産に取り込まれる)となる改正が入りましたが、それは実際の相続時に財産を取得する予定の人にとってのはなし。
そもそも相続権のない人には関係ないことであり、お孫さんへの贈与については今まで通り積極的に活用すべきでしょう。
2つめのコースとして「相続時精算課税」。
これは読んで字のごとく、生前贈与したとしても、
「相続」の
「時」に
「精算(生前贈与がなかったものとして)」して
「課税」する
制度であるため、もともとは相続税がかからない人向けの制度です。
そして精算のときには「贈与した時の時価」でもって課税されるため、贈与時点から値上がりする見込みの財産を持っている人にも有益な制度でした。
一生涯で2,500万まで非課税で、超えた分には一律で20%で課税、これで税金に過不足あれば相続の時に精算します。
で、相続時精算課税にもあらたに110万円の非課税枠が追加されました。さらに、その110万までの金額は相続の時に相続財産に戻されません。
改正の趣旨は明白。
暦年課税の人・・・相続権のないお孫さんなどに一世代飛ばしで資金移転を促す
相続時精算課税の人・・・相続権がある人で2,500万の枠を使い切ったとしてもまだ非課税枠があるのでさらに生前の資金移転を促す
特に相続時精算課税制度の使い勝手が増したように思いますので、制度のメリットデメリットをご説明の上、活用をご提案していこうと思います。
当然、税制改正セミナーでもメインで取り上げます。
またその次の週には日銀から政策運営の大きなアナウンスがありました。
⇒原文
一番重要なのは
「10 年物国債金利について 0.5%の利回りでの指値オペを〜中略〜毎営業日、実施する」という部分なのだと思います。
今まで0.25%の金利で無条件で日銀が買い取っていた(指値オペ)国債を、今後は0.5%で買い取ることにする、つまりは「今後は日銀の国債買取価格が少し安くなるよ」ということを意味します。
今回のアナウンスを市場がどう反応するのか傾向を注意深く見ておかないといけないと感じています。
でもまあ、トレンドとしては無条件で買い取ってくれる金利水準に落ち着いていく、つまり長期金利は0.5%付近に徐々に落ち着いていくんでしょうね。。。
日本経済をマクロ的に見ると、物価上昇率は上がっているとは言え、欧州諸国の1/3程度、アメリカの1/2程度であり周りからすると落ち着いています。
したがって今回のように小幅に金利を上げて物価上昇を冷やすという対応となるのでしょう。
税収も最高だしマクロ経済は好調なだけに雇用の7割を支える中小企業にはますます厳しい時代がしばらく続く。。。
月次決算、予実管理そして信頼とともに伴走しなくては、と改めて思います。
また、コロナ借換保証も詳細が出ました。
⇒詳細
経営行動計画書という書類が必要になるのがポイントですが、極めて簡略的な書類で済むようです。
したがって、
1.必要運転資金の把握(決算書や試算表から)
2.1年更新など短期融資の活用
3.コロナ融資以外の借換え
を検証したのちとなると思いますが、
コロナ関連融資の借換えも選択肢に入れつつ、資金繰り状況の確認を加えていければと思います。
参考ブログ:運転資金の把握が今後ますます重要に
今年の12月はインボイスセミナーが目白押しでした。
11月、12月で計5回。動員数は150以上にお聞き頂きました。
地域への周知活動はいったんこれくらいにして、税制改正にも激変緩和措置が盛り込まれたことですし、原点に戻ってお客様との対話に注力していければと思います。
参考ブログ:インボイス導入ガイド~まとめ~
2/2(天理本社)、2/3(奈良センターオフィス)にて税制改正セミナーを予定しております。
特に、インボイスへの対応順序と激変緩和措置、そしてこれからの生前贈与策を民法の特別受益の考え方など税法以外の観点も含め、取るべき方策をご提示させて頂こうと企んでおります。
2/3は一般公開しておりますのでお気軽にお越しください!
12月27日は奈良センターオフィスの社員でしめ縄を編みました。
そして12月28日もご紹介いただいたお客様との初めてのご面会。
「ワンストップ」「月次決算」の強みをもとに、来年も宜しくお願い申し上げます。
さて、税制改正。
2022-12-13
防衛費の財源を巡り、ため息の出るような増税議論が続いており、防衛費の不足分を「法人税」を柱に確保する方向性のようです。
確かに、国際的な状況としては「ミニマム法人税」ということで、これまで法人税を出来るだけ引き下げて企業誘致など競い合ってきたところ、法人税率の下限を設ける国際的な合意がされており、その意味では法人への課税強化を打ち出しやすい状況にはあります。
参考記事:法人最低税率15%、法整備へ 国際合意受け政府・与党
さらに、コロナ前は人々が「移動」をものともせずに国境を行き交い、ビジネスにおいても地球を半周するような長距離移動も定着し、世界が一つに同質化するような状況でした。
それがコロナ禍と戦争により一気に国境という概念が蘇り、まずは各国とも国内内需を復活させた上で、内需で賄えない資源(天然資源や半導体のような高付加価値品)を融通し合う流れにあるように思います。
その状況下ではどうしても「法人の内部留保」と「富裕層」に負担を求めてしまうのでしょう。
であるならば防衛費とは別の論点のはずですが、、、。
今年の税制改正は法人税のみならず相続税の課税強化も話題に上っており、多数の改正点が浮かび上がりそうです。(12月15日に公表予定)
雇用の大半を担う中小企業にとって負担増となる改正とならぬよう見届けるのはもちろん、
企業としては、
・特別償却のような政策的な措置を有効活用した所得の圧縮
・積立型の企業保険のようにキャッシュと利益がズレる要因をつくらない
・人的資源との価値観の共有
・適切、適時の情報開示による資金調達環境
このあたりが大切になってくるのではないでしょうか。
私からも、税制のみならず、「働き方改革やスタートアップ支援(裏を返せば既存企業の撤退やむなしの認識か?)」の状況を見るに、「これからは中小企業には厳しい時代が続く」、「しかし奇をてらわず求められる価値を考えて基本に忠実に」と社内で共有したところです。
年末の公表をふまえ、
2月2日(場所:天理本店)
2月3日(場所:奈良県コンベンションセンター)
の夕刻に税制改正セミナーを企画しておりますので定員等は改めてご連絡申し上げます。
中小企業にとっての総合経済対策
2022-11-02
テーマ:税理士@松尾
先週、約30兆円の総合経済対策に関する首相記者会見がありました。
日々報道によって流れてくる各企業(主に上場企業)の決算通期見通しは円安によって業績が上振れする内容が多く、現実に税収も9月末までの累計で前年同月比10%近く上がっています。
⇒税収推移
となると円安基調が続く限りは今回のように補正を組み続けて再分配する流れが続くように思います。
弊社を含む中小企業にとっての経済対策という観点で今回の内容を見ますと、やはり物足りなさを感じます。
内容としては相変わらず
が主になります。
一応は、中小企業の輸出支援や、「人への投資」関連で「産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)(仮称)」というのが創設されたりはするものの、中小企業にとっては人材教育よりもまずは「人材採用」を喫緊の課題として捉えているところが多いのが現実です。
また、税収が増えたことから地方交付税も増額されるようですので、地方自治体単位での補助金が今後も創設されることが見込まれるので要注意だと思います。
「人」関連の助成金についても社労士と連携しながら対応して参りますが、いずれにせよ弊社も含め、固有技術に磨きをかけ変化し続ける必要性を改めて感じた経済対策の内容でした。
また、年末に向けて税制改正に関する報道や憶測が飛び交っています。
かねてから
・贈与税がなくなる
・生前贈与をしても相続財産に取り込まれるようになる、、、等々。
様々な話がありましたが、現在は専門家会合が開かれ、そこで詳細が議論されているところです。
まだ11月1日現在は税制調査会のHPに議事録がアップされていませんが、先日は下記のような報道がありました。
現在では一定の条件にあてはまる生前贈与については、相続開始前3年以内のものは相続財産に取り込まれます。
その「3年」という期間を「5〜10年間を目安に延長する方向」との記事です。
生前贈与をしていても相続財産に取り込まれる期間を延長させる方向性のよう(詳細は議事録が公表次第確認します)ですが、あくまで「相続、遺贈によって財産を取得した人」のみが現行の加算措置の対象です。
期間が延長されるのみであれば、例えばお孫さんのように相続によって財産を取得することが出来ない人への贈与は依然として有効ですし、早めの段階からの計画贈与は変わらず有効ということになります。
実務においてはこれまで通り、若干対策期間は短縮させつつも、
・現状把握(相続税試算)
・納税資金対策
・分割対策
・節税策
の順で粛々とオーダーメイドの対策を実行していこうと思っています。
ライフワークにしている地域の子供たちへのしめ縄づくり体験会も、今年は児童養護施設の子供たち40名からスタート。
畑で育てたケールを青汁に、元気満開で価値提供に努めます(笑)
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