税理士松尾ブログ

松尾ブログ

結局は「人」に行きつくというお決まりのコース

2024-02-05

テーマ:経営を守る情報

 

先日は税制改正セミナーでした。

若手税理士ふたりがよく頑張ってくれました。

 

税制改正は毎年おこなわれるものですが、ここ数年でずっと着目している項目が「退職金課税の見直し」の動向です。

 

後継者指名は経営者固有の権利です。

 

経営の出口には退職金の支給が伴い、現時点では課税方法はかなり優遇され、大きく節税が可能であるが故に、課税方法については従来から見直し(強化)議論が続いています。

 

結論としては今年の税制改正で見直しはされなかったのですが、税制改正に先立つ「骨太の方針(R5.6発表)」においては「退職所得課税制度の見直しを行う」と明確に記載されていたのが実際のところです。

 

したがって、最近の政治状況を加味して先送りされた色合いが濃いのではないかと推察しています。

 



 

役員退職金については、よく「どこまで取って問題ないか?」という話題になります。

しかし、実務上は退職金額の高い低いよりも、さらに重要な点があります。

 

税務上は、代表取締役から退任したという登記のみをもって退職の事実とはなりません。

 

退職金として支給したものの、退職の事実が認められなかった、実際には退職していないとされた裁決などを見ると、たとえば、形式的には退職したことになっている前経営者に次のような実態が認められています。

 

・後継者が単独で判断できるようになるまで相談役として経営に関与していた
・10万円を超える支出の決裁者だった
・対銀行など、資金繰りの窓口役をつとめていた
・後継者に相談なく多額の費用の支払いを決定していた
・仕入について購入するかどうかの承諾をしていた
・取締役会に出席して人事給与の決定に関与していた
・高額のの資産取得に関与した

 

つまるところ、その退職金の金額が高いか妥当かを論ずる前に、「本当に辞めているか?」が真の論点であり、仮に、上記のような実態があれば実際には退職していないものとされ、

・法人税:法人の損金に算入されない

・所得税:個人においては退職所得ではなく給与所得(総合課税)

・贈与税:株価の圧縮にもならない

というデメリットばかりの結果となります。

 

名実ともに退職した実態を備えるためには、「後継者への経営者教育」に行きつきます。

そして時間は10年〜20年は要するように感じますので、今承継時期に来ているかどうかに関わらず、着実に、退職の実態という点も見据えての人材育成が必須になります。

 

節税と言う観点からも、結局は「人」に行きつきます。

経営理念・家族憲章といった原点が今後より一層になると思いますし、私どもも、法人税、消費税、所得税、相続税、贈与税に横串を刺し、月次業績という定点観測を繰り返しながらサポートを続けて参ります。

 



 

2月4日は二十四節気でいう「立春」。

 

立春は「寒さも峠を越え春の気配が感じられる」季節の到来。

マイ畑も春の準備を着々と。

 

 

 

 

 

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税制改正が発表。そしてしめ縄奉納。

2023-12-18

テーマ:税理士@松尾経営を守る情報

 

先週、令和6年の税制改正大綱が公表されました。

資料のボリュームは例年通りではあるものの、中小企業実務の観点からは、先送りやマイナーチェンジの性質のものがほとんどを占める印象です。

 

<自社株贈与の納税猶予制度>

自社株贈与の納税猶予を使う際の承継計画の提出期限は令和8年3月末まで延長されましたが、贈与の実行期限は令和9年12月末のままです。

 

納税猶予制度については

・株の移転を急ぐ場合

・業績が堅調な場合

には積極活用の方針ですが、いずれにせよ株式移転に際しては「保有者の目の黒いうちに」というのが大原則になります。

 

とはいえ、後継者のご経験であったり、婚姻しているかどうか、など個人の状況を考えるとまだ贈与できない、というケースも実務的には存在します。

 

その場合には

・相続財産の試算(分割イメージとそれに伴う税負担の確認)

・遺言の作成(株の部分だけでもOK。)

も検討していくことが重要です。

 

<所得拡大促進税制・交際費>

雇用者給与総額が1.5%増加した際、増加部分の15%~40%相当を税額から控除できる制度も、最大45%控除できることとなり、欠損の場合は5年間繰り越せることになりましたが、その期の法人税の20%という上限はそのままです。

 

交際費のうちの飲食費については、一人あたり10,000円以下のものは交際費には該当しないこととなりました。

 

まずそもそも交際費等とは、

1,得意先、仕入先その他事業に関係する者などに対する

2,接待、供応(もてなす)、慰安、贈答その他これらに類似する

ことのために支出するものをいいます。

 

「1」の「など」には、役員や従業員、株主や内定者も入ります。

 

交際費に該当したとしても、資本金1憶円以下の法人の場合には12か月で800万円までは結果的に損金に算入され、また、一人あたり5,000円以下(改正後は10,000円以下)の飲食費については、上記の交際費から除くことが出来ます。

 

<その他>

 

防衛増税の開始時期は触れられなかった上、個人的に一番着目している「退職所得への課税(強化)」についても、「あるべき方向性や全体像の共有を深めながら具体的な案の検討を進めていく」という、ここ数年間と同じ文言が載せられたのみでした。

 

政権の現状を象徴するような税制改正でしたが、改正にあたる基本的考え方とともに、各項目を網羅的にまとめてご報告する機会も早々に設けさせて頂きます。

 

 

 

 

 

一気に冷え込んだ日曜日。

神社の古木にしめ縄を飾って欲しい、と、お隣の村からご依頼を頂き、手作りのしめ縄を奉納させて頂きました。

 

これでいいのかな、、、と多少不安でしたが喜んでいただいて良かった良かった。

 

 

 

 

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中期計画は毎年見直す。短期計画は1年間変えない。

2023-11-06

テーマ:税理士@松尾経営を守る情報

 

事業承継、コロナ融資の返済開始、資金需要(融資)の発生、など理由は様々ですが、経営計画や収支計画のお手伝いをさせて頂く、もしくはご提案をさせて頂くケースが増えています。

 

弊社自身も「中期計画は毎年見直す。短期計画は1年間変えない。」という基本原則のもと、

・毎年経営計画を作成

・期首に全社共有

・その期の重点施策と予算を追いかける

・次の期の経営計画に反映させる

という流れでずっと来ております。

 

経営計画は魔法の書ではありませんが、「書かざるものは実現しない」のもまた現実。

弊社の事業継続の上で欠かせないものになっています

 



 

お客様が作成される場合、「計数」の部分の立案でご心配されるケースもありますが、計数はあくまで「行動の裏付け」と位置づけていただき、

まずは

・定点観測の手段

・従業員や自分自身に対する意思の伝達手段

・社員教育の手段

として考えていただくことが大切です。

 

もちろん私どもも計数は把握しておりますし、弊社で使っているひな型もありますのでご心配は無用です。

 

弊社としては「ウチはこうしています」というスタンスでフォローさせて頂いております。

 



 

インボイス制度がスタートして一か月が経過。

 

インボイス番号がない領収書や請求書を受け取り、「どうしたらいいのか?」「払ってもいいのか?」といったご質問を頂きます。

 

まず、すでに消費税の納税義務のある事業者にとっての最大の論点は、支払の相手先が適格請求書(インボイス)を発行するかどうか?にあります。

 

発行しない取引先がある場合、まずは自社の売上規模別に特例的な措置があります。

 

【法人の場合、基準期間(主として2期前)の課税売上が1億円以下の場合】

・消費税込みで

・1取引あたり

・1万円未満

の領収書等の場合には、帳簿への記載のみで令和11年9年30日までは仕入税額控除が可能です。

(少額特例)

 

【基準期間(主として2期前)の課税売上が5千万円以下かつ「簡易課税方式」を選択している場合】

自社の消費税の納税計算の際は、売上などと同時に受領した消費税のみで計算しますので、支払先からのインボイス発行の有無は結果として納税額に関係しません。

 



 

上記2つのケース以外の場合には、

・インボイスの記載がない

・しかし消費税相当や税込みといったの記載がある

請求書や領収書を受け取った際、たとえ消費税の名目であってもそれは対価の一部であり、支払う側にとっては値上げと同様の効果となります。

 

消費税法57条の5において、

・適格請求書発行事業者以外の者は

・適格請求書発行事業者が発行した適格請求書と

・「誤認」されるおそれのある表示をした書類を

・交付・提供してはならない

という罰則付きの規定があります。

 

しかし、今のところは免税事業者が消費税相当を請求することは「誤認」のおそれのある書類発行とはされない、とされています。

 

したがって最終的には、その実質的な値上げをどうするか、具体的には、

・受け入れない方向で協議する

・経過的に控除できる8割相当まで下げるよう協議する

・そのまま支払う

の3点について検討をすることとなります。

 

インボイス番号がなくても消費税相当の8割を控除できる経過措置もあるとはいえ、2割相当のコスト高を受け入れることになります。

 

既に消費税を納めてきた事業者において、このコスト高の業況にあって、その制度の活用ありきでさらなるコスト高を受け入れる必要はなく、引き続き上記3点を検討すべきものと思います。

 



 

日本最古の道。山の辺の道

最高の秋晴れの日にボランティアガイド。

 

 

100名以上参加され、半数は県外から。

こちらも勉強、勉強。

 

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税務行政の将来像?

2023-10-23

テーマ:セミナー報告経営を守る情報

 

国税庁が税務行政の将来像2023というYouTube動画を公表しています。

 

肝心の税務調査のことはほとんど触れられておりませんが、

最近の傾向としては

・取引規模など地域や業種ごとの影響力が高い

・現金の動く頻度が高い

・コロナ禍の影響が(数字上は)少ない

先への調査、といったものがあり、また、DXをこれからの税務行政のキモに置いている以上、調査のみならず研究、統計への「申告データの活用」は進んでいくものと思われます。

 

事実、電子帳簿保存法においても、電子媒体での保存は認めるものの、一定要件を満たしていなければ調査時にダウンロードの求めに応じる必要がある、という立て付けが随所に見られます。

 

会計ソフトも電子帳簿保存法対応をうたうものが多いですが、実際の「帳簿」は仕訳帳や元帳だけではなく、売掛帳や固定資産台帳も含まれます。

ダウンロードの求めに応じる必要のない優良帳簿とするためには、会計データだけではなく全ての帳簿が要件に合致していなければならず、その意味では、帳簿類はまだ紙保存でいいものと考えています。(スキャナ保存はどんどん進めていきましょう。

 

しかしながら、来年1月から紙保存ではなく電子保存が「強制」されるものが電子取引となり、こちらもダウンロードの求めに応じる必要性と表裏一体の関係にあります。

先日はその点にスポットをあててお客様向けにオンラインセミナーをさせて頂きました。

 



 

年内で残すところのセミナーはあと一つ。(急に企画するかもしれませんが、、、。)

 

やはり事業承継の実務で外せない制度が「自社株贈与の納税猶予」になります。

私どもの事務所でも活用事例が増えており、それってやっぱり使うべきなのか?

何が得で何が損なのか?

 

11月16日に開催予定です。

 

 



 

久方ぶりの産土神社の秋祭り。子供たちのお神輿。

 

 

マイ畑のうち、この参道に面した部分にはこの日に合わせて少しだけ花を植えておきました(笑)。

地域も企業も継続、継続。

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10月。変わること

2023-10-02

テーマ:事業承継経営を守る情報

 

インボイス制度。スタートします。

実務以外でも、昨年の7月に最初のセミナーをして以来、地元商工会さまを中心に計8回セミナーをさせて頂きました。

 

消費税の納税義務の有無により様々な立場があると思いますが、

インボイスに登録済みの事業者としては、支払に際し、

・本体価格と消費税は分けてもらう

・消費税はインボイス登録事業者に払う

という点がまずは基本原則となります。

一方で、先般も新たに公表されたにあるように、支払の相手先が免税事業者であることを契機とした価格改定に関しては、とにかく協議の場(やりとりした事績)を設けることには留意する必要があろうかと思います。

 



 

そして事業承継。

実務において「遺言」はご提案の項目に必ず入る項目の一つです。

 

40代でまだまだ経営者として現場の第一線で活躍されているかたわら、遺言を記されているお客様もあり、頭の下がる思いをすることもありました。

 

実務的には公正証書遺言をご案内することが多いのですが、自筆の場合にも自筆証書遺言の保管制度というのがスタートしています。

 

ご自身のつくった自筆遺言を、形式が法的に適合するかのチェックの上、法務局にて保管しておいてもらうもので、実際に相続がおこった時には2種類の通知がされます。

・相続発生後、いずれかの相続人が遺言の閲覧申請をした際に、全ての関係相続人に対して遺言が保管されていることの通知

・戸籍情報にて死亡の事実が確認できた際に、あらかじめ遺言者が指定した人に対して遺言が保管されていることの通知

 

後者は、これまでは遺言者1人につき通知対象者は1人に限定されていたところ、令和5年10月2日から指定対象者が3名まで拡大されます

概要

 



 

遺言は相続対策の一つ。

そして生前贈与もまた相続対策の一つ。

 

私どもとしては事業承継プランは必ずオーダーメイドで組成しますが、

相続対策には3つの柱があり、

その一つが生前贈与であり、

その生前贈与にも3つの柱がある、

という考えで実務に携わります。

 

遺言だけではなく贈与税についても大きな改正があったところですが、今までの基本原則は変わりなく丁寧な対応を心がけたいと考えています。

 



 

そして最低賃金引き上げの発効

 

そして賃上げと設備投資が重なる際に活用可能性のある「業務改善助成金」が拡充されています。

ポイントは大きく3点。

 

1.対象事業場
事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円(従前:30円)以内の事業場

 

2.必要な計画書
従前、「事業場内の最低賃金引上げ計画書」と「設備投資等の計画書」が必要であったところ、事業場規模50人未満であれば、2023年4月1日から12月31日までに賃金引き上げを実施していれば、賃金引き上げ計画の提出は不要に

 

3.助成率
設備投資額に対するの助成率である9/10・4/5・3/4の区分が拡充の方向で変更
(これと、引上げ額と引上げ数に応じた「助成上限額」との低い方が支給額となる)

 

対象となる設備投資は事例集のP20以降に記載があるほか、直近3か月平均の売上高や生産高が前年または前々年日15%以上減少していればPCやタブレット端末も助成対象とする措置もあります。

そして、あくまで交付決定後の設備投資が対象となります。

(業務改善助成金は、先日メルマガでご案内した奈良県助成金とは違い、当グループ社労士事務所でも代理申請が可能です。)

制度パンフレット

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奈良県独自の賃上げ助成金&事業承継の現場から

2023-08-25

テーマ:セミナー報告事業承継経営を守る情報


事業承継の現場実務において、今後の財務的な方針として、

キャッシュを

・会社にプールするのが良いのか

・役員報酬を通じて個人にいったんは還流させるのが良いのか

 

を検討する機会が多くあります。

事業承継に関わらず、起業間もない場合もまた同様です。

 

結論として、「まず会社」ではないかと思います。

 

法人税の税率と個人の所得税の税率とを比較してどちらに貯めていくかを検討して、、、というのも技術的には可能ではあります。

 

しかし、決算予想数値を始めとしたさまざまな不確定要素を前提としたシミュレーションになってしまいますし、まずは純資産が少なくとも2憶〜3憶に達するまでは会社という人格を鍛えることを優先すべきではないかと考えています。

 

リスク耐性が高く、資金調達にも強く、次の事業承継にも選択肢が生まれ、結果として企業の継続発展や雇用の維持を図ることが出来ます。

 

一定水準を超えたとしても

 

・役員退職金

・株価の圧縮策

・生前贈与

・納税猶予

・納税猶予後の金庫株

 

などの対応策が可能です。

 

当然、企業が100社あれば100通りの事情が存在するのが企業実務。

 

会社の純資産を厚くする過程においては当然に法人税の納税も伴います。

しかし、承継間もない、起業間もないうちは特に、会社の純資産をベンチマークに経営にあたって頂きたいと考えております。

 



 

「会社を食べたらあかん」

 

これも事業承継の現場で、ある社長様がおっしゃった言葉です。

 

仕入や外注費など、売上の増加とともに変動する「変動費」に対するものとして「固定費」があります。

「固定費」は変動費よりは固定的とはいえ、徐々に増えていってしまうのがその特性です。

 

継続して利益を計上していれば尚更、旅費・通信費・交際費・広告宣伝費・役員報酬、など種別を問わず、財源や予算を顧みることなくついつい支出が緩んでしまいがちです。

その状況を見て「会社を食べる」と表現されました。

食べるのではなく大事に大事に育てないと、すぐにだめになる、と

 

やはり、期が始まった時点で固定費も予算化し、増収の目標値や収支の状況を見、「本当に耐えられるのか?」を確認することが重要です。

 

とはいえ、「予算をつくる」ということにはどうしても手間やハードルを感じてしまう、というのもまた事実。

 

その場合はどうするか?ですが、いきなり12か月の年間予算をつくるのではなく、まずは決算の3〜4ヵ月前くらいから、「決算の着地予想」をつくることから始めるのがスムーズだと感じています。

 

そうした短期(3~4ヵ月)の決算予想であっても、決算期末が近づくにつれ予想値を実績値に置き換えていくことで「先を読む」ことができます。

 

決算予想の延長線上に翌期予算があり、翌期予算の延長線上に中期計画があります

 

自社数値・資金繰りの「先を読む」という意味においてはどれも共通しますので、まずは決算着地予想を作成、その予想値を実績値に置き換えていくことが予算策定、ひいては固定費のコントロールにつながるのではと思います。

 

 

 



 

当然、一番大きな固定費は人件費。

賃上げに対する奈良県独自の助成金詳細が公開されています。

 

・令和5年9月1日から令和6年2月29日までの間に
・正規及び非正規雇用労働者(週所定労働時間が20時間以上)の
・直近の支給額もしくは奈良県の令和5年度最低賃金のいずれか高い方の賃金を
・1.7%以上引き上げ
・賃上げ後1年間は、賃金を引き下げることなく雇用する

 

ことで、「賃上げ人員×5万円」を支給。
(11月1以降電子でのみ受付、奈良県全体で20,000人が上限。医療法人や一般社団法人も対象。)

 

賃上げを実施する時期が合致するのであれば、申請ページの開設を待ちましょう。

 



 

 

 

24日は地元の天理市商工会さまにてインボイスのセミナーでした。

昨年、お客様向けに開催した回を皮切りに、各種団体での講演を数えること今回で8回目。

皆さん熱心で、だいたいセミナーが終わったあとも個別質問への対応で30分以上かかります。

 

特に中小企業にとってインパクトの大きな改正であるがゆえに出来るだけの発信を、と思ってやってきました。

10月のスタートまでもうセミナーは予定していませんが、あとは新聞への寄稿を残すのみ。

 

最後までお客様への個別対応を継続していきたいと思います。

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税理士の考える資産運用

2023-08-08

テーマ:経営を守る情報

 

税制改正で来年1月からNISAが一新されるにあたり、投資信託協会から成長投資枠の対象となる銘柄が順次公表されています。

対象商品リスト

 

NASAの一新されるポイントとしては、

・(拡充)年間投資枠が簿価で240万円まで成長投資枠として拡充

・(恒久化)非課税投資枠が恒久化

の2点になります。

税制改正セミナーテキストより抜粋

 

運用に際しては「長期」「分散」「複利」「手数料コストの低減」といった原理原則があると思いますし、運用の内容についてもそれぞれ方針や好みもあると思います。

 

しかし税理士からすると、税コストをいかに削減するか、つまり、

・(入口)掛金が所得から控除できるか

・(出口)運用益への課税方法

の部分を最優先に考慮し、その上で運用の原理原則すべきと考えています。

 

たとえば、中小企業の経営者が加入できる小規模企業共済については、掛金累計に対する返戻額は金融商品と比べると見劣りしますが、しかし掛金が全額控除できる効果で(税金が安くなるという効果で)非常に高い実質利回りを実現することが可能です。

 

⇒所得税の最低税率が5%、住民税の最低税率が10%なので最低でも年利15%の商品と実質同じ

(役員報酬が高ければさらに効果は上昇)

 

その他にも、確定拠出型年金と呼ばれる

・イデコ(個人が掛金を拠出するもの)

・企業版401K(法人が、給与とは別に掛金を拠出するもの)

いずれも課税所得を減らすことが出来る点のみでも非常に有効です。

(企業版401Kについては、過去オンラインセミナーでも扱っていますし弊社も導入しておりますので、導入方法についてはお問い合わせください。)

 

先のNISAは掛金を控除するのではなく、運用益が非課税ということで、本来であれば運用益に約20%が課税されるところ非課税ですので、手元に残る運用益が直接的に増加します。

 

しかしまあ、私自身もideco等をしていますが、他人(はた)を楽(らく)にするという「はたらく」、つまり一生懸命に「はたらくこと」に勝る投資はないのは言うまでもありません笑

 



 

そしてインボイス制度のスタートが着々と近づいています。

 

とにかく、既に消費税を納めている皆様にとっては、

 

1,自社が発行するインボイスで6つの記載事項を満たして頂くこと

2,支払先でインボイス番号の発行できない先には早めに登録を依頼すること

インボイス番号がなければ消費税相当もお支払いできないというのが基本姿勢であるため)

 

が最大の論点です。

 

特に「2」については、最終的には取引条件、つまり「値決め」の話に必ずなりますので、早いうちの情報交換が大切です。

 

また、話し合いの結果、インボイスに登録をして頂くこととなったとしても、以前まではe-taxで手続きをすれば長くても3週間で発番されていたところ、今は国税庁内での処理時間が非常に長くなっており、e-taxの場合でも「1か月半」はかかる状況です。

 

従来の倍ほど時間がかかっている格好です。

 

スタートの10月に間に合わなければ、結局その支払先が登録したのかしなかったのか不明なままの状態で実務が進行することになりますので、尚のこと支払先への早めの登録依頼が必要な状況になっています。

 

24日に恐らくスタート前最後になるであろうインボイスセミナーを商工会さまにてさせて頂きます。

 

 

お申込みリンク

 



 

インボイスとともに毎日のように遭遇する事業承継の実務

 

お客様以外にでも、奈良県の事業引継ぎ支援センターさまから委託を頂戴し、外部専門家として事業承継のサポートをさせて頂くことがあります。

 

創業者であれ、中興の祖であれ、基本的には現経営者お一人が陣頭に立ち、事業を拡大・継続されてきたケースがほとんどかと思います。

しかし、それが次の世代、そのまた次の世代へとバトンタッチされていくにつれ、さまざまな生活環境にある複数の親族が、役員や株主、従業員、いろいろな立場から経営に携わることになります。

 

要は「関係者が多い」状態となり、その上に経営権、株主権、相続権が絡んできます。

 

親族だからこそ、

・変わるもの

・変わらないもの

・変えてはならないもの

の見極めの「軸」がうまく伝わらないことで、余計な勘繰り、勘違いが生まれてしまうこともあります。

 

事業承継は誰にでも訪れるものです。

 

先日のサポートの際も、その時の基準点となる「言語化された経営理念」の大切さを痛感した次第です。

(サポートは単発ではないので今後策定していきます。)

 

また、最近では、事業会社の親会社として、一族の資産管理会社やホールディング会社を活用するケースも増えています。

 

その場合は特に、事業から生まれる資金の再投資方針、保全・分配方法、子会社である事業会社の経営者の選定などの元となるよう、経営理念よりももっと原始的な「家訓」のような形で言語化し、そのホールディング会社と紐づけしておくことが重要ではないかと考えます。

 

経営者や後継者を「若葉」だとすると、「水」にあたるのが、日常の経営における理想と現実とのに関する「チェック」。

そして「太陽」にあたるのが「理念」。

 

(先日マイ畑に植え付けをしたブロッコリー。)

 

専門家として損得理屈ばかりに偏らぬよう、役割を果たしていければと思います。

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インボイスが不要な経費

2023-07-18

テーマ:セミナー報告経営を守る情報

 

インボイス制度がこの秋からスタートし、インボイス番号の記載された領収書や請求書によってやり取りすることになります。

 

しかし例外的に、領収書や請求書にインボイス番号がなくても、その分の消費税を控除できるものがあります。

参考:過去のインボイスセミナー資料より抜粋

 

役員や従業員に支払う日当もまた、この例外規定に含まれています。

 

日当とはそもそも、

「旅費、宿泊費に含まれていない出張中の少額の諸雑費(食事代や通信費など)の支出に係る実費の弁償」としての性質を有します。

 

規程により全従事員を通じて公平性が確保されており、支給金額が実費弁償として相当の金額である限りにおいて所得税は非課税、法人税においても損金算入が可能です。

それに加えて消費税においても、、インボイス制度のスタート後も、その日当の額に含まれる消費税相当が、インボイス番号がなくても控除可能となっています。

 

各人ごとの日当の管理が大変ですし、あくまで実費弁償ですので多額の金額設定は期待できませんが、それでも積み重なることで税制面でもメリットが大きく、検討の価値ありだと考えております。

 



 

インボイスや電子帳簿保存と実務に大きく影響する改正を迎えるせいか、久々にセミナーが続きました。

 

あおばオンラインセミナーでは「税制改正対応。電子帳簿保存法」と題して

 

・R6.1以降の電子帳簿保存法の全体像

・中小企業でも手を付けやすいジャンル

・強制されるもの(電子取引保存)

・電子取引保存はなぜ強制されるのか?

・税務調査と電子取引保存法

 

といった内容をお伝えさせて頂きました。

 

随分と前の税制改正で電子取引保存が登場して以来、中小企業の実務を考えるとまだまだハードルが高かった電子帳簿保存法ですが、令和5年度の税制改正でようやく使える分野が出てきたな、との感触を持ったことから、企画をしてみました

 

フリーアナウンサーの清水健さんのスタジオ(each stage)をお借りし、最後には清水さんからのご質問も交えて和気あいあいと。

 

 

そして和気あいあいと、とはいかなかったのが「奈良県神道青年会」の神主さん方をお相手にした「禊鎮魂錬成研修会」

 

 

 

事前のテーマは特に伝えられておらず、税理士さんにお話しいただくのは初めてですのでお任せします、とのことでした。

 

それがまた逆に難しく、しかも聴衆は普段は別世界の神主さん方、、、汗

 

確かセミナーの講師を始めて務めたのは27歳くらいだったと思いますが、そこから思い返してもなかなか引き付けるのに苦労したセミナーでした。

 

石上神宮さま、貴重な修練の機会を有難うございました!

 

 

 

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電子保存が義務化?

2023-06-21

テーマ:税理士@松尾経営を守る情報

 

来年度予算の基本方針である「骨太の方針」が公表されています。

 

安全保障体制を構築しつつ、若年層が本格的に減少する2030年代に入るまでに、基本的には内需拡大(人への投資、労働市場改革、こども子育て・投資拡大・GXDXスタートアップ)を図り、一人あたり生産性を向上させる方向性のように感じます。

 

具体策として一番最初に登場するのが「三位一体の労働市場改革」

「1」リ・スキリングによる能力向上支援

・・・企業経由が主体の学び直し支援策の過半を個人経由にする

 

「2」企業の実態に応じた職務給の導入

・・・事例集のとりまとめ

 

「3」成長分野への労働移動の円滑化

・・・自己都合退職の場合の要件緩和(会社都合退職の場合は触れられず、、、。)と、退職所得課税制度の見直し

 

退職所得課税については、勤続20年までは一年あたり40万円が非課税となり、21年目以降は一年あたり70万円が非課税となります。

例)勤続21年の場合

20年×40万円+1年×70万円=870万円までが非課税

 

長く勤務すれば非課税枠が大きくなるところが疑問視されているのだと推察しますが、当然、役員退職金の水準設定にも影響してきますので、今後どのように制度設計がされるのか、以前から注視しているところです。

参考:R4.1オンラインセミナーテキストより抜粋

 



その他、

 

・賃上げ税制や補助金の強化をさらに検討

・最低賃金1,000円達成後の最低賃金引上げの方針についても議論する

・週20時間未満労働者への雇用保険適用拡大を議論

・中小企業向けの省エネ補助金の検討

・継続的な事業省再構築、生産性向上、事業承継の支援

(事業再構築、ものづくり、IT導入、事業承継の各種補助金)

社会保険の適用拡大検討と年収106万円の壁を超えた場合の手当

 

が掲げられています。

 

その他、奈良県において「物価高騰対策」の流れで、賃金を引き上げた企業に対し「従業員数×5万円助成」の補正予算が提出されています。

県の資料では対象となる賃上げの時期について明示はありませんが、奈良新聞の記事によると「9月から来年2月までの間に基本給や時間給を1.7%以上引き上げた」場合とのことです。

 



 

やはり経営者としては社会保険の被用者拡大が気になるところ。

しかし、社会保険の加入よりも「手取り」を重視するニーズもあることは確かです。

 

例えば法人成りにともない、

「給与扱いのものを外注扱いにしてほしい」という従業員側からの要望を受ける

「外注扱いにしているけれど従業員と待遇はさほど変わらない」

というケースも依然として多いのではないかと推察します。

 

「給与か外注か」で税務面の手続や負担もかなり変わります。

 

そのような中、参照したい地裁判決(高裁でも敗訴)があります。

 

<背景>

社保加入になるなら外注にして欲しいと従業員から申し出あり

・雇用保険から抜ける

・本人から請求書を発行してもらうようにした

・本人は「給与所得」ではなく「事業所得」として確定申告

 

<外注扱いとした後の実態>

・日当は変わらず

・翌月末払いのサイトも従業員時代と同様

・本人はその会社以外からの請負はしていない(専属)

・従業員時代と同様「寸志」も不定期に請求して受け取っていた

・簡易な道具以外は会社側にて支給

・本人の都合がつかない時は会社側が別の外注先を探す

・仕事が完成の対価ではなく日当として報酬を請求できる

 

要は、外注としての形式は整えていたものの、従業員時代と全く実態が変わっていないということで「外注費ではなく給与」とされ、結果、会社側において、

・消費税の納税負担が増え、

・源泉徴収もれ

を指摘されています。

 

インボイス制度も始まるため、外注扱いへの変更の頻度としては減少するのかもしれませんが、会社側としてはメリハリのある実態に即した運用が求められます。



 

最後に電子帳簿保存関係

 

電子帳簿保存について、ソフトの紹介など各種の情報を毎日のように目にするようになっています。

「電子保存が義務化」の部分だけを強調したサイトも見かけるようになりました。

 

電子保存が義務化されることは間違った情報ではないのですが、義務化されるのはあくまで「電子取引の保存」についてのみであって、それ以外は任意適用になります

 

そして適用を決めるに際しては必ず、

・使用ツールの費用対効果

・税務調査への対応方法

が関係してきます。

 

中小企業にとっては、義務化される部分は最小の費用若しくは費用をかけずに粛々と対応し、それ以外の項目については慎重に電子保存対応をしていくべきと考えています。

 

今一度、電子帳簿保存法が要請している保存要件について情報を整理すべく、オンラインセミナーを開催させて頂くこととしました。

 

7月5日16時から40分間で、

 

・電子帳簿保存法の4つのジャンル
・導入を決めるための判断基準
・税務調査と電子帳簿保存
・一番導入しやすいジャンル
・電子インボイスと電子取引

 

といった点について情報を共有し、自社にとって最適な電子帳簿保存法対応を考える機会として頂ければと考えております。

 

お客様向けメールマガジンにて申込みフォームをご案内しておりますので、ご都合許せばご参加ください。

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賃上げへの優遇施策。補助金助成金と税制措置。

2023-06-09

テーマ:経営を守る情報

コロナ禍でスタートした事業再構築補助金も、早や第10回。

 

応募締め切り:6/30の18時まで

採択発表  :8月下旬〜9月上旬

とされています。

 

弊社も認定支援機関としてサポートさせて頂いており、これまで採択結果が公表されてる第8回こそ採択がなかったものの、それ以前の各回で採択事案を出すことが出来ています。

 

ただ、応募案件としては段々と窓口が狭くなっているのも事実。

第10回の応募枠には8つの類型があり、それぞれの概要は下記の通りです。

 

<成長枠>

・賃上げ(事業終了時点で事業場内最低賃金が+45円,給与総額+6%)による補助率引き上げ措置あり

・取り組む事業の市場規模が10%以上拡大する事業、業種に属している

・事業終了後3〜5年で給与総額を年率2%以上増加させる

 

<グリーン成長枠>

グリーン成長戦略実行計画14分野の課題解決に資する取り組みが対象

・賃上げによる補助率引き上げ措置あり

・中小企業の補助金額が最大1憶円と大きい

・事業終了後3〜5年で給与総額を年率2%以上増加させる

 

<卒業促進枠>

・補助事業を通じ、3〜5年で中小企業の規模から卒業すること

・グリーン成長枠と同様の大きな補助上限

 

<大規模賃金引上げ枠>

・成長枠またはグリーン成長枠と同時に申請することによる上乗せ枠

・成長枠またはグリーン成長枠の事業終了後3〜5年で事業場内最低賃金を+45円引き上げ、従業員数も年率平均1.5%以上増員すること

 

<産業構造転換枠>

・今回の第10回では業界団体のみ申請受付け

・現在の事業の市場規模が10%以上縮小する業種業態に属し、それとは別の新規事業を実施すること

 

<最低賃金枠>

・売上減少要件あり

・2021/10〜2022/8までの間で3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が10%以上いること

 

<物価高騰対策・回復再生応援枠>

・売上減少要件あり

・原油価格、物価高騰等の影響を受けている

 

<サプライチェーン強靭化枠>

・海外で製造する部品等の国内回帰を進めるための枠

 

※その他、各類型ともに事業計画において付加価値が一定額以上向上する表現が求められます。

※それぞれの枠の前提条件に当てはまるようであれば、公募要項にて補助額を確認しましょう。

 

中小企業にとっては公募要項P17に記載されている「物価高騰対策・回復再生応援枠」がメインになるような気がします。



その他、優遇施策、特に賃上げに対するものという観点からは、

・ものづくり補助金(給与支給総額が年率6%超など大規模な賃上げの場合の補助額上乗せ)

業務改善助成金(引き上げる人数に応じて設備投資への助成金上限が増加)

があります。

 

特に業務改善助成金は「助成金」ですので、要件さえ満たせば必ず助成されます。

(逆に「補助金」は要件を満たしていても採択されるかどうか、というハードルがあります。)

 

まずは業務改善助成金の前提条件となる「事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内であること」に該当するかどうかの確認をし、さらに今後、賃上げと設備投資の両方をお考えの際はチェックすべき制度と言えます。



税制面では、

・賃上げ促進税制

・先端設備導入に係る固定資産税の軽減措置

があります。

 

いずれも税制改正によって内容変更があり、現行は下記の通りです。

 

<賃上げ促進税制>

雇用者への給与の支給額の増加率が

・1.5%アップ

⇒増加額の15%を税額控除

・2.5%アップ

⇒控除率を15%上乗せ(30%の税額控除)

・さらに教育訓練費の対前年比10%以上増

⇒控除率を10%上乗せ(40%の税額控除)

という概要です。

イメージ

※その事業年度の法人税額の20%が控除上限

 

<先端設備導入に係る固定資産税の軽減措置>

・その設備投資により労働生産性が年率3%以上向上する計画を

・認定支援機関が確認し

・さらに市町村が認定すれば

・償却資産税を3年間1/2に

・さらに1.5%以上の賃上げ表明をすれば最大5年間1/3に

軽減する、という概要です。

イメージ

 

※計画が達成できなかったとしても罰則等はありません。

 

税制面のいずれの措置も税額から直接控除できるため効果は補助金助成金と全く同じですし、実務的な感覚から言っても負担軽減額は大きくなります。

 

尚、賃上げ促進税制は税務申告時のいわば事後処理にて適用が可能ですが、固定資産税の軽減措置に関しては、市町村の認定を「設備取得前」に取らなければならないため、認定支援機関への事前の声掛けが重要です。

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電子帳簿保存法対応のポイント@中小企業

2023-05-23

テーマ:経営を守る情報

 

電子インボイス

電子帳簿保存

 

テレビコマーシャルを含め、経理面での電子化にまつわる情報を目にしない日はありません。

 

人手不足もあいまって、相当の事業規模を有する大手企業にとって経理面でのIT活用は避けては通れないことと思います。

 

一方の中小企業は?

 

弊社で今年からサービス提供を開始し始めている「経理合理化&経理代行」も着実にご利用いただく企業様が増えています。

 

従業員規模が50名を超える企業もありますが、一方で、従業員様がお一人のみ、といった企業様もご活用頂いています。

 

・経費精算の手間が減った

・試算表が翌月にまとまるようになった

・経理担当者の急用や体調不良にも対応できるようになった

 

といった効果があります。



 

この「電子化」という世界は、中小企業の場合、「取引」の分野と「保存」の分野に分けた方が良いのではと感じています。

 

経費精算を例にした場合、

経費を使い、それを会社で精算するという「取引」があり、

その取引の領収書を「保存」する、

というふたつの局面があります。

 

預金との連携機能のある会計ソフトや経費精算アプリなどが普及し始めていますが、その事後処理とでもいうべき書類の「保存」の面では費用に見合う効果を見いだせず、まだまだハードルが高いのが実情です。

 

「保存」の面は電子帳簿保存法にてルールが決められています。

 

ジャンルは4つになります。

1,帳簿の電子保存・・・元帳、仕訳帳、仕入帳などの主に「帳」のつくものが対象

2,書類の電子保存・・・紙で発行した請求書、納品書等の元データ(Excelなど)が対象

3,スキャナ保存・・・紙で受領、発行した請求書、納品書等が対象

4,電子取引の保存・・・電子で(メールやダウンロード形式で)受領、発行した請求書、領収書が対象

 

それぞれのジャンルで適合するための要件が求められており、全て満たせばペーパーレスを実現できます。

 



 

実務的には、「1」は帳簿の話ですので日常からボリュームがかさんで困っているケースは多くはないと思います。

やはりまずは「2」「3」が対応を図りたいジャンルであり、「4」は来年1月より対応が義務となります。

 

その対応面でキーになるのは「検索要件」で、

ア:日付、金額、取引先を検索できる
イ:日付と金額は範囲指定して検索ができる
ウ:AAかつBBというような組み合わせ検索ができる

という3つの要件を満たす必要があります。

 

ここが単純にスキャナでPDF保管、では対応したことにならない大きなハードルになります。

 

もっとも、検索要件を満たしていなくても電子帳簿保存法に対応できるコースもありますが、

「税務調査時にダウンロードの求めに応じる」ことが条件となっています。

 

税務調査に関しては、どんな資料を署に持って帰っているか弊社で把握できなくなるため、現場で完結させる(資料を持って帰ってもらわない)ことを原則としていますので、ダウンロードの求めに応じる、というのは違和感があります。署に戻ってもう一度調査が出来ることになる訳ですし、、、。

 

したがって中小企業にとっては、今のところは経理DXの「保存」の面は様子見(検索要件を満たせるリーズナブルなソフト、アプリの登場を待つ)とし、

その手前の「取引」の面において、

・電子帳簿保存法対応の会計ソフトを使う

・とにかく手書きをなくす

・とにかく現金で動く頻度をなくす

・プリペイド式カードを導入する

・経費精算アプリを使う

・それらの連携させる

という形で活用を図ることが先だと考えております。

 



 

お客様向けのセミナー資料も出来上がってきました。

またご案内申し上げます。

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税務調査に強い体質をつくるには?

2023-05-09

テーマ:経営を守る情報

 

経営者の皆様とお話ししていますと、税務調査が増えているらしいね、といったお声かけを頂くことが増えたように感じます。

 

当然、コロナ蔓延の最中においても調査は実施されていましたが、今年に入って増えていることは確かです。

 

着眼点としては、

・現金が動くという側面から「資産の下取り」関係のチェック

・個人との境目の観点から「ネット販売」関係のチェック

・反復継続するという側面から「源泉徴収」「印紙関係」のチェック

が重点的になされているように思います。

 

また、マイナンバーで税務調査は厳しくなるの?というお問い合わせも、、、。

 

そもそもマイナンバーは憲法13条のプライバシー権を違法に侵害しているとして、マイナンバーの利用差し止めを求めた訴訟が各地で起こされていました。

しかし先日、最高裁において請求が棄却されています。(2023年3月)

 

その内容は、番号利用法は、

・情報管理の効率化

・情報利用の効率化

・情報連携の迅速化

 

を実現することによって、

・行政運営の効率化

・給付と負担の公平性

・国民の利便性向上

を図ることを目的とするものであり、正当な行政目的を持っていると指摘しています。

 

私の過去のセミナー資料を見返すと、平成27年ごろにマイナンバーセミナーを複数回開催させて頂いており、その時にも「マイナンバーで税務調査も厳しくなるのでは?」というご質問をいただくことが多かったように記憶しています。

 

その度に、そんなことはなく、現時点でもマイナンバーがなくても情報の裏付け行為は厳格に行われており、粛々と事業に邁進しましょう、とお答えしておりました。

 

企業側としては過度に税務調査を意識する必要はなく、何よりも「内部統制」の体制を構築し続ける不断の努力が必要です。

 

結果として税務調査対応も格段に強くなります。

 

内部統制とは不正の起きにくい体制作りはもちろん、

・間違いが起きないように

・異変があってもすぐに気が付けるように

組織を整えていくことにあります。

 

その内部統制のキモは、

・管理(現金や預金そのものや残高の管理)

・決裁(請求してor払っていいものかどうかの判断)

・記帳(決済後の現預金の動きを付ける)

の機能(担当者)を分ける、という点にあります。

 

しかし人的資源の限られた中小企業には、3者を分けるのには限界があり兼任せざるを得ないのが通常ですので、定期的にチェックが入る仕組みで対応していかざるを得ません。

 

自社は管理と決裁に集中し、記帳はアウトソーシングするケースも徐々にですが増えています。

 

企業にとっての税理士の位置づけも変わっていくでしょう。

 

内部統制の構築は企業をとりまくあらゆるリスクの管理であり、ハッキリ言ってキリのない世界ですが、不断の企業努力を続けることで金融機関が個人保証を外すかどうかの判断の際にも必ず役に立つはずです。

「経営者保証求めません」 地銀、相次ぐ融資慣行見直し

 

弊社も税務会計や資金繰り改善のご支援のみではなく、中小企業が内部統制を確立するにあたってのパートナーシップをご提供できるよう注力していかなければならないと考えております。

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どうする奈良。どうする日本。

2023-04-21

テーマ:セミナー報告経営を守る情報

 

先日は「後継者塾」でした。

金曜日の午後と土曜日の一日を使い、これからの経営を担う後継者の皆様とクローズドでの濃い研修が出来ました。

 

(何か熱心に喋っています汗)

 

スケジュールはこんな感じ。

4/14 13:00~15:00 社会保険労務士 中川 悦(労務)
4/14 15:30~17:30 弁護士 相川 祐一朗(法務)
4/15 10:00~12:00 弁理士 崎山 博教(特許商標)
(昼食)
4/15 13:00~15:00 税理士 松尾 潤(税務)
4/15 15:30~17:30 税理士 松尾 潤(財務)

 

 

皆さまお疲れ様でした!

 

(参加者の声)

最近は実務をこなすことや考えることに時間を取られ
インプットの時間が不足していたので、重要なことを
集中して学べたのは大変助かりました。新たな気づきや
再確認できたことも多く、とても有意義でした。

しかしきれいな会場を借り、スタッフを使い、他士業の
先生への謝礼、それになにより準備にかかった膨大な
時間を想像すると大赤字ですよねー。笑
松尾さんの愛を感じます。本当にありがとうございます!

 



また、先日の奈良新聞さんとの取材記事も紙面になりました。

テーマは「どうする奈良 どうなる日本」。

 

私なんぞには畏れ多いテーマですが、実際にこの4月に「親族外承継」を実現されたお客様とともに実例をお話しし、いつも協業させて頂いている「奈良県事業引継ぎ支援センター」さんにも登場して頂きました。

 

士業、承継者、後継者、公的サポート、いろいろな立場から経験談や思っていることを語ることで、企業経営者にとって分かりやすい紙面になっているような気がします。

(一般の読者の方にはご興味があるか分かりませんが、、、。)

 



その対談の中で、まず私の方から口火を切らせて頂いたのは「人手不足」について。

 

個人的には「少子高齢化」よりも問題なのは「都市一極集中」だと思っています。

地方にとっては人手不足がより一層早く進むことになりますし、地方に居ながらでも海外ともいくらでもつながる事は出来ます。

 

制度面からの支援策の概要は下記の通り。

 

1,所得拡大促進税制

 

・法人はR4.4.1~R6.3.31までの間にスタートする事業年度

・個人はR5年度とR6年度

においては、

・役員を除きパートアルバイトを含む給与額が

・前年度と比べて

・1.5%増加していれば

増加額の15%が控除される。

また、増加割合が2.5%以上であればさらに15%の上乗せ、研修を受けさせる費用など教育訓練費が前年比10%上増加していれば10%の上乗せがあり、最大40%の控除率となる。

(その年度の法人税もしくは所得税の2割が控除上限)

 

2,事業再構築補助金

 

大規模な賃上げ(補助対象事業終了時点で、「事業場内最低賃金+45 円」「給与支給総額+6%」の達成)の場合には補助率の引き上げと補助額の上乗せ

 

3,ものづくり補助金

 

給与支給総額が年率6%超など大規模な賃上げの場合の補助額上乗せ

 

4,業務改善助成金

 

引き上げる人数に応じて設備投資への助成金上限が増加

概要

 

「2」と「3」は補助金ですので、申請をして採択されてはじめて補助対象となるものです。

 

「4」は助成金ですので、要件さえ満たせば必ず助成されます。

 

したがってまずは前提条件となる「事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内であること」に該当するかどうかの確認をし、さらに今後、賃上げと設備投資の両方をお考えの際はチェックすべき制度と言えます。

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承継計画の提出期限まで1年を切りました。

2023-04-06

テーマ:事業承継経営を守る情報

 

先日は奈良新聞社さまの取材でした。

また今月の中旬には記事が掲載されると思います。

 

テーマは「ポストコロナの県内中小企業」といったものでしたが、士業の立場からするとどうしても「事業承継」の話をしてしまう自分がいます。

 

実務でほぼ毎日事業承継のお話ですし、

・事業の承継は雇用を守ることであり、

・雇用を守ることは生活を守ることであり、

・地域を次代へつなぐことである、

と信じて実務にあたっています。



 

その事業承継関係で重要なものが「自社株贈与に係る納税猶予」制度になります。

納税負担なく自社株の生前贈与が実現できるものです。

参考動画

 

前提条件として、

・令和6年3月末までに特例承継計画を提出

・令和9年12月末までに贈与実行

となっており、計画書提出期限まで1年を切りました。

 

実際の贈与実行は令和9年12月末までではありますが、

贈与実行時点で、

・後継者が代表者になっていてかつ3年以上役員である必要があり、

・承継者(渡す側)は代表者から退いている必要があり、

そういった人的側面を第一に、制度活用を検討していかなければなりません。



納税猶予制度を使うかどうかの前に、そもそも生前贈与には、

 

・暦年贈与(110万円までの非課税枠を使った贈与)

・相続時精算課税(2,500万円までの非課税枠を使った贈与)

 

の2通りの方式があります。

 

後者の精算課税は非課税枠が大きく、それを超えたとしても税率は一律20%ですので生前での税負担は少なくて済みますが、相続時に精算(生前贈与がなかったものとして再計算)されるため、

・値上がりする財産をお持ちのケース

・相続まであまり時間がないと見込まれるなど時間がないケース

・精算されたとしても相続税がかからないケース

に、精算課税制度をご提案をさせて頂くことが多くなります。

 

経営者にとっては、従前からある「暦年贈与」を主として、生前の財産移転並びに節税を図っていくことに変わりはありません。

 

年に一度、お孫さん名義の口座に振り込む、といったケースも多いと思いますが、税務上も有効に贈与を成立させるためには、「受贈者(もらった側)がそのお金を自由に使える状況」を担保しておかなければなりません。

 

その上で、節税の王道である「少ない金額を長い期間で」を意識しながら計画的に生前贈与を図っていきます。

 



実務上、「贈与する側が元気だから」生前贈与がまったく進まない、というケースもけっこう多くあります。

 

しかし反対に、意思が明確で元気だからこそ、会社に関連する財産(貸付金や株式)は特に、生前贈与の検討をスタートしておきたいところです。

検討の結果、「何もしない」というのも当然に有り得ることと思いますし、まずはとにかく早いタイミングからの検討着手が望まれます。

それがつまるところ経営の承継の重要な柱ですので。

 



話は変わりますが、事業承継を機に「経理の合理化」をお考えになるケースも多々あります

代表者の交代とともに、ベテラン経理事務員さんからの引継ぎも開始されたり、急な退職や体調不良に備えたり、といったケースです。

 

会計ソフトやそれに伴い購入するパソコンに対して「IT導入補助金」がありますが、新たなスケジュールが公表されています。

スケジュール

 

単に会計ソフトの変更だけにとどまらず、「経理の合理化」の面から検討していくことが重要です。

実際、小口現金の精算の手間が減る、月次試算表の作成タイミングが早まる、経理事務への投下時間が減少する、といった効果が見られます。

 

私どもとしてはマネーフォワードさまと協業して合理化支援をさせて頂いていますが、

いま公表されているスケジュールからは、

 

<一次公募>

・4/25申請締切り

・6/1以降に発注

 

<二次公募>

・5/16申請締切り

・6/22以降に発注

 

<三次公募>

・6/2申請締切り

・7/12以降に発注

 

がという流れになります。(デジタル化基盤導入枠)

 

会計ソフトなどが対象の「デジタル化基盤導入枠」については、採択率が非常に高く、二次公募以降はまだ時間の余裕がありますので活用検討の価値ありかと。

決算が終わり次第会計ソフトを変更、と考えると、4月決算・5月決算の法人さまの場合は特に、補助金の交付決定と決算による切替のタイミングが良いのではないかと思われます。



気持ちのいい日曜日。

畑の通路に芝生を植えてみました。

 

 

 

今まで雑草で困っていましたが、青々とした芝生が雑草に打ち勝ってくれることを期待!

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節税の境目

2023-03-15

テーマ:経営を守る情報

先日、節税保険をうたうなど過度な募集行為が問題となっていた生命保険会社に対して、業務改善命令が下りました。

 

「節税」が行き過ぎると「租税回避」となります。

 

その境目は?

 

となると、「経営方針と手段との一致」が認められるかどうかだと思います。

つまり、何らかの経営目的があって生命保険を活用するのではなく、目的が節税のみ、となっている状態となれば節税の度を超していることになります。

 

事業承継の実務においても、ホールディング化、借入による不動産購入など様々な手段がありますが、そこに経営方針との一致が認められるかが重要な論点です。

 

特に法人契約の生命保険に関しては、商品開発と国税庁とのイタチごっこが長年続いており、そうした背景もあって、商品設計段階から国税庁に事前照会をかけるなど、国税庁と金融庁とが更なる連携を図ることとされています。

 

節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品への対応における国税庁との更なる連携強化について

 



法人契約の生命保険についてはとにかくシンプルに設計することが大切です。

契約時には記憶していても、戦略、日々の資金繰り、人事のことなど、経営に邁進していれば細かいことは忘れてしまいます。(少なくとも私は)

 

例えば、入院給付などの特約が付いているとして、仮に入院給付で保険金が会社に下りたとしても、それを個人へと還元する際には課税が伴います。

ゆえに、特約部分は個人への還元ではなく、その方が入院して居ない期間の運転資金対策として考える必要があります。

 

法人で生命保険に加入する目的は「保障」なのか「運転資金対策」なのかと明確に設定し、まずは原理原則通り「保障」の過不足を確認してシンプルに設計していかなければなりません。

 

実際に私どもが実務で携わる際には保障目的のものがほとんどで、その他は相続対策での一時払終身保険、といった具合です。

 



コロナで増えたことといえば、借入の他に「在庫」もあるように感じます。

【製造業の原材料在庫、3年で1.5倍 「持たざる経営」変化】

実際、こんな記事もありました。

 

記事にある製造業に限らず、幅広い業種で在庫量が増えている実感があります。

 

財務的には、現預金を増やし経営を守るためには「在庫と売掛を増やさない」というのがセオリーとしてありますが、現実には、販売機会を逃さない、サプライチェーンなど様々な事情から在庫量を増やさざるを得ない状況が生まれます。

 

その時の資金面の手当てとしては、「在庫の増加には短期資金で」という原理原則に立ち戻ることが重要だと思います。

 

短期資金の対照的な位置づけとして「長期資金」がありますが、長期資金とは「月々返済していくパターン」になります。

したがって、短期資金とは「長期資金以外のパターン」となりますが、具体的には当座借越や手形借入、資本性ローンなど、一定期間、返済を伴わない形での資金手当を指します。

 

在庫として眠っている資金を月々返済していくパターンで手当てしてしまうと、当然ながら手元資金を圧迫します。

在庫の増加局面では短期資金で手当てし、その後、在庫を販売して生まれた資金で短期資金の減少を図ることが重要です。

 

このことは在庫だけではなく、例えば医療・介護関係のように、制度上どうしても2か月後にしか入金がない業種の場合も、入金までの運転資金の手当ては長期資金よりも短期資金で手当てすることが望ましいと思われます。



 

そして、中小企業をめぐる「賃上げ」の波。

 

「次は中小企業の番」という風潮が強いのが非常に気になるところです。

 

いま稼働している原発の半数が関西電力管内ということもあってか、関西電力は電力の値上げ申請をしていないようですが、今後、他の地方で大幅な値上げ申請がなされていることを考えると、その風潮はますます強まるように思われます。

 

賃上げに関しては「所得拡大促進税制」ということで税制面からも手当てがなされています。

 

この制度は「税額控除」ですので、助成金・補助金のように「お金が入ってくる」のではなく、税金として「出ていくお金が減る」という形のため、手当されている実感がなかなか沸かないのも事実なのですが、効果としては助成金などと全く同様です。

 

税制改正があり、

・法人はR4.4.1〜R6.3.31までの間にスタートする事業年度

・個人はR5年度とR6年度

においては、

 

・役員を除きパートアルバイトを含む給与額が

・前年度と比べて

・1.5%増加していれば

増加額の15%が控除されます。

 

また、増加割合が2.5%以上であればさらに15%の上乗せ、研修を受けさせる費用など教育訓練費が前年比10%上増加していれば10%の上乗せがあり、最大40%の控除率となります。

その年度の法人税もしくは所得税の2割が控除上限というのがネックなのですが、適用できるときの効果は非常に大きいのも事実です。

 

法人税が発生する事業年度は人件費の増減に特に注意を払い、適用もれの内容に留意して頂ければと思います。



 

最後に「後継者塾」。

お陰様で募集開始から10日足らずで定員(5名)に達しました。

 

日頃から協業して頂いている士業(弁護士・弁理士・社会保険労務士)とともに、次代を担う「Next President」へ経営を守るための情報をお伝え出来ればと思っています。

 

 

マイ畑にも、春。

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