税理士松尾ブログ

松尾ブログ

2月の手記。補助金からライドシェアまで。

2025-02-12

テーマ:税理士@松尾

 

【終わったと思っていた事業再構築補助金が公募開始。そのポイント。】

 

コロナ禍において補助金の目玉になっていた事業再構築補助金。

その役割を終えたと思っていたところ、、、第13回公募の概要が公表されています。

 

後継となる新事業創出補助金が創設されたことからも、最終となる13回公募が始まったのは意外でした。

最終回のポイントは、事業が指定されている、という点にあると思います。

 

さらに言うと、市場拡大もしくは市場縮小している事業として補助金事務局に指定されている必要がある、ということになります。

市場拡大として指定されている事業

市場縮小として指定されている事業

 

上記に該当がなくても自身で市場拡大or市場縮小の旨の立証ができれば応募は可能ですが、そもそも想定された事業ではないことから採択の面では不利になるものと思われます。

 

最終回ということで採択率がどう転ぶか分かりませんが、代替措置である「中小企業新事業進出補助金」とももに検討しましょう。

 



 

【経営コンサルタントの倒産件数が過去最多、とのこと】

 

補助金ビジネスが活性化する大きな引き金になったのはコロナ禍での事業再構築補助金だったと思います。

経営コンサルタントということで、たくさんの補助金申請代行業者も生まれました。

 

しかし、「経営のプロ」コンサルの倒産が過去最多。(東京商工リサーチ)

倒産件数は2023年に過去最多を記録し、2024年はさらに更新。

こんなことになっているようです。

 

経営とは「お経(おきょう)の営み」だと思っています。

 

弊社は税理士事務所ですので経営コンサルタントではありませんが、

・他のところはどう?

・あおばさんはどうやってるの?

というご質問がものすごく多いです。

 

かくいう私も、親しい方にはよく同じ質問をします。気になりますから。

 

コロナ前、若手経営者向けの経営塾「GANP」というものを運営していました。

GANPとは、Grow up, Aggregation, Next Presidentの頭文字をとった造語です。

 

経営計画の立案

税務

財務

労務

法務

日経新聞の読み方

など、様々な専門家をお招きし、様々なテーマを扱いました。

 

税理士として経営計画のつくり方などを扱っていたわけですが、自分の経験をもとに、というコンセプトで運営していました。

補助金はあくまで手段であり、苦境に陥ったコンサルタントは、手段が目的化して自分自身のお経も読まず、クライアント側のお経も読めていなかったのかもしれません。

 

自分は今、何に感謝しているだろうか?

 

自分の経験、自分なりのお経、つまり原点こそ出発点であり、経営者それぞれのその営みに、税理士の立場からサポートしていきたいと考えています。

経営計画と定点観測の習慣は、中小企業にとっては脅威の円安時代には尚のこと重要になりそうです。

 



 

【経常黒字過去最高と聞いても実感がない理由】

 

国家ということばに「家」の漢字を使うように、それぞれの国にはさまざまなセクションがあり、それが集まったものが国家であると思います。

仮に、セクションを「政府」「大企業」「中小企業」「一般消費者」とした場合、深く根付いた感のある円安がプラスに働くのは「政府」「大企業」にあるでしょう。

 

そして、2024年の経常黒字は過去最高を記録しました。

24年の経常黒字、最高の29兆2615億円 2年連続で拡大

 

黒字額ほぼイコール投資収益、つまり海外から受け取る配当金であったり証券投資からの収益になります。

 

要は外貨との接点で黒字額を稼いでいるということですが、よくよく考えると、、、。

 

・そもそも黒字ということは、

・受け取る外貨の方が多いのだから、

・それを円に換える力の方が強いのだから

・円高になるはずでは?

と思います。

 

そうなっていない要因は、外貨がそのまま再投資されている、ということなのではないかと推察します。

 

なぜ外貨のままで再投資されちゃうの?とまた考えると、

次のポイントは「実質金利」。

 

「名目の金利」マイナス「物価上昇率」が実質金利。

 

日本はまだ実質金利マイナスです。

金利ある世界と言われつつも、それ以上に物価が上がっています。

そうなると円に換える動機がないですものね。

 

「名目の金利」マイナス「物価上昇率」の算式でもって、いかにしてプラスにするか?

前者の「名目金利」をプラスにするか?

後者の「物価上昇率」をマイナスにするか?

 

前者の「名目の金利」をプラスに持ってこようと利上げすれば中小企業と一般消費者にストレートに響きます。

後者の「物価上昇率」をマイナスに持ってこようとしても、円安や供給不足によりなかなか下がる気配がありません。

 

しかし、物価上昇を、「お金の出ていくこと」ととらえれば、後者にテコ入れができます

 

出ていくものを減らすという意味で、減税議論の行く末が重要になってきます。

(減税をしつつ地方交付税の不交付団体に上り詰めた名古屋市の事例もあります。千代田区長選挙で減税を訴えた候補者が惜敗したのは残念でした。)

教育や給食費の無償化も必須でしょう。

 

そしてオオトリは、、、。

 

ちょうど一年前の記事ですが、オリックスの宮内会長のインタビュー記事を保存していました。

オリックス宮内氏「日本復活、試されるのはこれからだ」

 

「日本経済復活のカギは規制改革。規制改革はお金をかけずに取り組める。」

 

政治の世界になるとは思うのですが、順序からすると

・教育、給食の無償化

・減税

・規制改革

となるのでしょうか?

 

 

というわけで、規制改革議論の象徴としてのライドシェア解禁議論にも注目しています。

規制で生きる税理士が何を、と思うかもしれませんし、

ライドシェア議論の行方が大事と社内で言い続けているので、社員は松尾さんどうしたの?と思っていると思います。

 

しかしことの本質は「タクシー不足」ではなく「タクシー運転手不足」。

 

万博期間中に大阪府全域で毎日24時間実施されるライドシェア。

海外に行けば、その便利さと安全性からライドシェアはもはや必須の移動手段。

人手不足が叫ばれる中、眠っている労働力を活用することにもつながります。

 

さて皮切りになるか?

 



 

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最後のダイコン

2025-01-19

テーマ:まつおの畑作日記

 

 

大事に育ててきたダイコンも残すところあと1本。

 

 

引っこ抜いて葉っぱはパスタ、そして大根はおろしていただきました。

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2024年中の出来事に解釈を加えると

2025-01-07

テーマ:税理士@松尾

 

年末は映画館に居ました。

 

映画とはいえ、中島みゆきさんのコンサートの様子を映写するというシンプルな作品だっただけに、必要以上に感情移入や興奮することもなく、2時間超をただ黙って過ごす、なかなかいい時間でした。

年始にあたり、そんな2024年中の出来事を通じた自分なりの解釈を整理してみました。

 



【明確な課題設定からスタートする~米大統領選挙から~】

 

 

2024年は各国で重要な選挙が相次ぐ「選挙イヤー」と言われていましたが、結局のところは年末のアメリカ大統領選挙に影響は集約される様が明らかでした。

 

勝敗を分けた要因は多岐にわたるとは思います。

 

しかし、トランプ氏は「戦争・インフレ・移民」と課題設定が明確であったのに対し、ハリス氏は選挙戦を通してテイラースウィフトやビヨンセなど世界的な著名芸能人を動員して団結を訴えつつも、概ね抽象論に終始した印象を受けます。

 

ものごとを実現するには、まずは端的な課題設定が重要だと痛感した出来事でもありました。

 

そして主軸は「対外は関税、対内は減税、そして規制緩和」となると思われます。

特に「減税と規制緩和」は、内需が縮小していく日本でこそ必要だと思うのですが、、、いずれにせよその効果も注視したいと考えています。

 



【結局は経営者の出番~自公の過半数割れから~】

 

我が国においては自公政権が過半数割れを起こす選挙結果となりました。

 

野党の主張する103万円の壁といい、教育無償化といい、今までにない論点が見える化され、また、

 

「減税となると兎にも角にも重たい与党の腰」

 

が見える化できたことはその効果として挙げられるかと思います。

 

しかし、国民生活からすれば、103万円の壁の話にせよ教育無償化にせよ、どちらかと言えば「支出を抑える」点が効果であり、(外交と安全保障は別として)そこに政治の役割はあるのだな、と感じます。

 

したがって、やはり肝心の「収入を増やす」「生産性を上げる」という点においては企業に依存せざるを得ないものと思われ、その意味で、結局は「経営者の出番」ということになるのでしょう。

 



【中小企業の役割~中堅企業なる定義の誕生から~】

 

 

中堅企業とは、中小企業以外の、従業員数2,000人以下の約9,000社を指すものとされ、2024年は中堅企業元年と位置付けられていました。

要は中堅企業がおこなう投資(賃上げ、設備、M&Aなど)への後押しを手厚くする傾向が強まっています。

 

裏を返せば、大企業・中堅企業以外の、圧倒的多数を占める中小企業の果たす役割は、事業承継を含めてまず「継続」にある、と位置付けられているように思います。

 

円安とインフレの定着化は、大企業や政府部門に富の移転をもたらします。

どこから富が移転するか?中小企業と家計部門からではないでしょうか。

 

経営理念、経営計画、投資のメリハリ、月次決算、目標の進捗管理という原理原則にもう一度立ち返り、「誰に何を売るか?」を再設定する必要があります。

 



【経営者固有の権利~税制改正の大綱から~】

 

確かに、法人税率は10年以上に渡って引き下げられたままとなっており、それでも法人税収は伸び続けています。

しかし、今回の税制改正では「法人税改革は意図した成果をあげてこなかったと言わざるを得ない」と総括めいた文言まで登場しました。

中小企業にとっての法人税率の軽減措置はとりあえずは延長されていますが、防衛増税の開始時期の明確化や、iDeCoの出口への課税強化など、増税項目もちゃっかりと盛られた印象です。

 

「資金を扱う権利(資金をどのように調達して何に使うのか)」は、「後継者を指名する権利」とともに経営者固有の権利ですので、長期的に見て負担増加傾向に差し掛かったと見える法人税の面からも、経営者固有の権利の使い方により理念が求められます。

 

事業の利益に依らずに借入で調達する場合、変動金利の調達には要注意ですし、

・なぜその金額なのか?

・なぜその年数で借りるのか?

・なぜ返せるのか?

を自社で明確化する必要があります。

また、固定費は「固定された経費」と書きますが、実際には管理なしには膨らむ習性がありますので中小企業こそ予算実績管理が重要です。



 

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