税理士松尾ブログ
2024年中の出来事に解釈を加えると
2025-01-07
テーマ:税理士@松尾
年末は映画館に居ました。
映画とはいえ、中島みゆきさんのコンサートの様子を映写するというシンプルな作品だっただけに、必要以上に感情移入や興奮することもなく、2時間超をただ黙って過ごす、なかなかいい時間でした。
年始にあたり、そんな2024年中の出来事を通じた自分なりの解釈を整理してみました。
【明確な課題設定からスタートする~米大統領選挙から~】
2024年は各国で重要な選挙が相次ぐ「選挙イヤー」と言われていましたが、結局のところは年末のアメリカ大統領選挙に影響は集約される様が明らかでした。
勝敗を分けた要因は多岐にわたるとは思います。
しかし、トランプ氏は「戦争・インフレ・移民」と課題設定が明確であったのに対し、ハリス氏は選挙戦を通してテイラースウィフトやビヨンセなど世界的な著名芸能人を動員して団結を訴えつつも、概ね抽象論に終始した印象を受けます。
ものごとを実現するには、まずは端的な課題設定が重要だと痛感した出来事でもありました。
そして主軸は「対外は関税、対内は減税、そして規制緩和」となると思われます。
特に「減税と規制緩和」は、内需が縮小していく日本でこそ必要だと思うのですが、、、いずれにせよその効果も注視したいと考えています。
【結局は経営者の出番~自公の過半数割れから~】
我が国においては自公政権が過半数割れを起こす選挙結果となりました。
野党の主張する103万円の壁といい、教育無償化といい、今までにない論点が見える化され、また、
「減税となると兎にも角にも重たい与党の腰」
が見える化できたことはその効果として挙げられるかと思います。
しかし、国民生活からすれば、103万円の壁の話にせよ教育無償化にせよ、どちらかと言えば「支出を抑える」点が効果であり、(外交と安全保障は別として)そこに政治の役割はあるのだな、と感じます。
したがって、やはり肝心の「収入を増やす」「生産性を上げる」という点においては企業に依存せざるを得ないものと思われ、その意味で、結局は「経営者の出番」ということになるのでしょう。
【中小企業の役割~中堅企業なる定義の誕生から~】
中堅企業とは、中小企業以外の、従業員数2,000人以下の約9,000社を指すものとされ、2024年は中堅企業元年と位置付けられていました。
要は中堅企業がおこなう投資(賃上げ、設備、M&Aなど)への後押しを手厚くする傾向が強まっています。
裏を返せば、大企業・中堅企業以外の、圧倒的多数を占める中小企業の果たす役割は、事業承継を含めてまず「継続」にある、と位置付けられているように思います。
円安とインフレの定着化は、大企業や政府部門に富の移転をもたらします。
どこから富が移転するか?中小企業と家計部門からではないでしょうか。
経営理念、経営計画、投資のメリハリ、月次決算、目標の進捗管理という原理原則にもう一度立ち返り、「誰に何を売るか?」を再設定する必要があります。
【経営者固有の権利~税制改正の大綱から~】
確かに、法人税率は10年以上に渡って引き下げられたままとなっており、それでも法人税収は伸び続けています。
しかし、今回の税制改正では「法人税改革は意図した成果をあげてこなかったと言わざるを得ない」と総括めいた文言まで登場しました。
中小企業にとっての法人税率の軽減措置はとりあえずは延長されていますが、防衛増税の開始時期の明確化や、iDeCoの出口への課税強化など、増税項目もちゃっかりと盛られた印象です。
「資金を扱う権利(資金をどのように調達して何に使うのか)」は、「後継者を指名する権利」とともに経営者固有の権利ですので、長期的に見て負担増加傾向に差し掛かったと見える法人税の面からも、経営者固有の権利の使い方により理念が求められます。
事業の利益に依らずに借入で調達する場合、変動金利の調達には要注意ですし、
・なぜその金額なのか?
・なぜその年数で借りるのか?
・なぜ返せるのか?
を自社で明確化する必要があります。
また、固定費は「固定された経費」と書きますが、実際には管理なしには膨らむ習性がありますので中小企業こそ予算実績管理が重要です。
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