税理士松尾ブログ
ふるさと納税の意義
2024-12-10
テーマ:
先日、石破首相の所信表明がありました。
103万円の壁を引き上げると明言したものの、それ以外は目立った動きはなく、こうなるとむしろ国民民主党の政策集を見ておいた方が今後の動きが見えるのではないかとさえ感じます。
103万円というのは、基礎控除の48万円と給与所得控除の55万円を足した数字になります。
壁を引き上げるに伴い、地方税収が減るという視点が取り沙汰されていますが、ここでも国民民主党の玉木代表が大事なことを述べられています。
「一般財源総額実質同水準ルール」というもので、地方の税収が仮に減少すれば、その分は国からの地方交付税を増加させることで調整し、地方の総収入は同水準を維持する、というルールです。
103万円の壁引き上げで地方税収5兆円減⁉︎実際どうなの?(YouTubeへ)
平成23年以降から導入されているルールのようです。
「税収が減れば地方交付税が増えて収入は同水準」ということは逆に、
「(中途半端に)税収が増えたところで地方交付税が減らされ、その自治体の総収入は変わらない」ということになります。
したがって、税収を増やすのであれば交付税が不要なレベルまで突き抜けて増やさなければならない、ということと解釈できます。
地方交付税が不要ないわゆる「不交付団体」にまで突き抜けるということで、数少ない地方交付税が不交付の自治体を見てみると、
・巨大な人口もしくは企業を有する
・富裕層が多い
・原発がある
のいずれかにほぼ該当します。
このルールをアナウンスされている首長さんは少ないように思いますし、私個人も地方自治体の財務状況を見るときには、この仕組みこそ「どうすればいいんだ?(結局、国の管理下なのか、、、。)」と常々頭を悩ませてきたところです。
やはり税金に関しては減税(名古屋市は独自の減税をして不交付団体に仲間入り。すごい。)、そして規制緩和により地方の中小企業をはじめとした地域独自のリソースがより活躍する環境こそ大切なように思います。
所信表明にはなかなかそういった視点(減税と規制緩和)が読み取れず少し残念に感じてしまいました。
そして今度は、103万円の壁をめぐり、
今度はその減収幅7~8兆円の計算根拠があまりにも曖昧であるとの話題が上がっています。
国民民主・玉木氏「とても賛成できない」103万円の壁、減収額試算の根拠巡り与党に反発
今や、税務調査の対象先選定や証憑書類の突合のためにAIを活用している時代であることを考えると、
所得税の確定申告データを全て網羅している国税庁からすれば、本来は、103万円の壁を拡充することによる減収幅なんぞ、すぐに確固たる根拠を持って示すことが出来るのではないかと単純に推察します。
そんな所得税の世界において、ここ数年利用者数が増加しているのが、言わずと知れた「ふるさと納税」になります。
返礼品ばかりがクローズアップされ賛否両論ある制度だと思いますが、その制度の本質は「節税」ではなく「納税者が納税先を選べること」にあります。
はるか昔、天理市柳本町にその陵がある、第10代の崇神天皇の時代に租税制度が出来たと言われますが、そもそもは租税というのは納税する先が決められており、誰に、どこに納税するかについては選択の余地がないものでありました。
ふるさと納税制度を使うことによって納税負担が減少することはありません。
その本質は、本来であれば税金は自分の住所地に納めることになるところ、自分が意図した自治体へ寄付という形を通じて納税ができる点、つまりは寄付相当額は任意に納税先が選択できる点が革新的であり、本質的な意義になります。
年末に向け、冒頭の「年収の壁」議論も続いているところですが、企業版のふるさと納税の適用期限が延長される方向で議論がされており、今後、個人がするふるさと納税に加えて、企業版のふるさと納税の活用機会も増えるのではないかと考えています。
企業版のふるさと納税は、その寄付額の1割程度が実質的な企業負担(個人版のふるさと納税は2,000円)となるよう設計されており、その本質的な意義(納税先を選択するという概念ができた点)は個人版と同じになります。
また年明けの税制改正セミナー(R7.2.6)で詳細をご連絡できればと考えています。
冬の晴れ間。
秋に収穫した
・サツマイモ
・ぎんなん
をイタダキマス。
バジルソースをつけたパンはおまけです。
*********
・お正月講座&しめ縄づくり体験会@石上神宮(松尾個人の活動)
*********
- 2024年12月 (2)
- 2024年11月 (1)
- 2024年10月 (4)
- 2024年9月 (2)
- 2024年8月 (3)
- 2024年7月 (2)
- 2024年6月 (4)
- 2024年5月 (4)
- 2024年4月 (3)
- 2024年3月 (2)
- 2024年2月 (2)
- 2024年1月 (2)
- 2023年12月 (3)
- 2023年11月 (2)
- 2023年10月 (5)
- 2023年9月 (1)
- 2023年8月 (4)
- 2023年7月 (2)
- 2023年6月 (5)
- 2023年5月 (3)
- 2023年4月 (4)
- 2023年3月 (2)
- 2023年2月 (4)
- 2023年1月 (4)
- 2022年12月 (3)
- 2022年11月 (7)
- 2022年8月 (1)
- 2022年7月 (2)
- 2022年6月 (2)
- 2022年5月 (3)
- 2022年2月 (1)
- 2022年1月 (3)
- 2021年11月 (2)
- 2021年10月 (1)
- 2021年8月 (9)
- 2021年7月 (1)
- 2021年6月 (2)
- 2021年3月 (1)
- 2021年2月 (3)
- 2021年1月 (2)
- 2020年12月 (4)
- 2020年11月 (3)
- 2020年10月 (4)
- 2020年9月 (3)
- 2020年8月 (4)
- 2020年7月 (4)
- 2020年6月 (2)
- 2020年5月 (1)
- 2020年4月 (3)
- 2020年3月 (6)
- 2020年2月 (3)
- 2020年1月 (3)
- 2019年12月 (4)
- 2019年11月 (4)
- 2019年10月 (6)
- 2019年9月 (3)
- 2019年8月 (4)
- 2019年7月 (5)
- 2019年6月 (6)
- 2019年5月 (8)
- 2019年4月 (7)
- 2019年3月 (11)
- 2019年2月 (8)
- 2019年1月 (8)
- 2018年12月 (10)
- 2018年11月 (8)
- 2018年10月 (9)
- 2018年9月 (9)
- 2018年8月 (7)
- 2018年5月 (2)
- 2018年4月 (2)