税理士松尾ブログ
インボイス導入ガイド①~インボイスって何?~
2021-08-19
テーマ:消費税
いわゆるインボイス制度が令和5年10月から、
インボイスを発行できる事業者への登録手続きが令和3年10月から、
スタートします。
インボイス(適格請求書)とは、
「事業者間の取引」に影響し、「登録番号など所定の項目を記載した請求書(or領収書)」のことを指します。
この所定の事項を記載したインボイスをお客様、販売先に交付することとなります。
そもそも事業者が税務署に納める消費税は
・売上とともに入金となる消費税から
・支出とともに支払った消費税を、
・差し引く
ことで計算します。
・売上100円+消費税10円
・仕入80円 -消費税8円
・納税額は10円-8円で2円を納税
というイメージ。
8円を差し引くことを「仕入税額控除」といいます。
で、インボイスが導入されると何が変わるのか?ですが、
令和5年10月以降は、この8円を差し引くときに「適格請求書(インボイス)」の保存が義務付けられます。
保存していないと8円を差し引くことが出来ないということは、
言い換えれば、
仕入先が適切なインボイスを発行してあげないといけない、ということになります。
インボイスは消費税の納税義務者でないと発行できません。
すなわち、消費税が免除される事業者は発行できません。
だからこそ、
今は消費税を納めなくてもいい事業者(免税事業者)でも、
インボイスを発行できるように、あえて「消費税を納める事業者を選択する」必要が出てくることが想定されます。
したがって、インボイスが導入されるまでにやるべきことをまとめますと、
消費税を納める義務のある事業者については、
仕入先をはじめとした支払先に、インボイスの発行が難しそうな取引先はいないかの検証、
該当あれば、インボイスの発行事業者となることを促すことが必要です。
消費税を納める義務のない事業者については、
自身の販売先をイメージして、自身がインボイスの発行事業者となるかどうかを検証することが必要です。
で、もしインボイスの発行事業者となる(つまり消費税を納める事業者となる)必要があれば、あえて消費税を納める事業者となることを選択する届出書を提出し、その後は消費税を納めている事業者と同じように、自分自身の仕入先の検証をおこなうこととなります。
あくまでインボイス制度は「事業者間取引」に影響するものですので、小売業のように販売先が個人ばかりの場合はインボイス発行を考えなくてもいいケースもあると思います。
しかし、小売店で個人で購入したものを、その個人が会社で経費精算するとした場合には事業者間取引となりますので、インボイスが発行されていた方が(購入者にとって)望ましいと思います。
例えば、消費税を納めていない飲食店で個人客が飲食を済ませて領収書をもらい、その個人が会社で経費精算をするとしたら、精算をする会社側としてはインボイス記載されていない!と指摘するケースがほとんどかと思います。当然、その領収書に消費税が記載されていたとしても、その消費税は差し引く(仕入税額控除)ことができません。
また、例えば、
中古車屋さんは個人からの仕入れが多いので、個人からインボイスなんて入手できませんが、、、
例えば、
不動産屋さんのように、個人から物件を購入して転売するときも同じ。
その個人のひとは、事業をしていないので、インボイスなんて発行できるはずがありませんが、、、
なんてこともあると思います。
その中古車屋さんや不動産屋さんは、仕入れの時の消費税を差し引くことはできないの?
と疑問に思います。
この場合、
・古物商、質屋又は宅建業を営む者が
・インボイス発行事業者でない者から
・棚卸資産を購入する取引
は「帳簿のみの保存(すなわちインボイス不要)」で仕入税額控除が認められます。
こういった「インボイスの交付が免除されるケース」は国税庁のQ&A(問32)でまとまっています。
いずれにせよ、インボイス(適格請求書)とは、
消費税を納める義務のある事業者にとっては、
仕入先も消費税を納めていることの証明書であり、
その証明書の保存が必要。
消費税を納める義務のない事業者については、
販売先を考慮して、自らがインボイスを発行する事業者となるかどうかの検討する必要がある。
その機会となる制度。
となります。
そしてインボイスを発行する事業者になった場合の「登録番号」は、
・法人の場合は「T」+法人番号(13ケタ)
・個人事業の場合は「T」+数字(13ケタ)※マイナンバーは用いません
となり、国税庁のホームページ上で登録後速やかに公表される予定です。
マイナンバーと違って誰でも閲覧可能です。
素朴な疑問ですが、、、上記の通り登録番号はシンプルなものなので、
「本当は実在しない番号が記載されていたらどうするの?」と考えてしまいます。
しかし、その場合も、
「必要に応じ、国税庁のホームページ「適格請求書発行事業者公表サイト」(令和3年10月運用開始予定)で相手方が適格請求書発行事業者か否かを確認してください。」とありますので、基本的には自己責任で、ということとなっています。
(当然、本当はインボイスの登録をしておらず登録番号がないのにも関わらず、あたかも登録されあた番号であるかのように誤認されるような記載のある書類を交付した場合には罰則規定付きの禁止規定があります。)
⇒参照Q&A (問76)
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