税理士松尾ブログ
奈良県独自の賃上げ助成金&事業承継の現場から
2023-08-25
事業承継の現場実務において、今後の財務的な方針として、
キャッシュを
・会社にプールするのが良いのか
・役員報酬を通じて個人にいったんは還流させるのが良いのか
を検討する機会が多くあります。
事業承継に関わらず、起業間もない場合もまた同様です。
結論として、「まず会社」ではないかと思います。
法人税の税率と個人の所得税の税率とを比較してどちらに貯めていくかを検討して、、、というのも技術的には可能ではあります。
しかし、決算予想数値を始めとしたさまざまな不確定要素を前提としたシミュレーションになってしまいますし、まずは純資産が少なくとも2憶〜3憶に達するまでは会社という人格を鍛えることを優先すべきではないかと考えています。
リスク耐性が高く、資金調達にも強く、次の事業承継にも選択肢が生まれ、結果として企業の継続発展や雇用の維持を図ることが出来ます。
一定水準を超えたとしても
・役員退職金
・株価の圧縮策
・生前贈与
・納税猶予
・納税猶予後の金庫株
などの対応策が可能です。
当然、企業が100社あれば100通りの事情が存在するのが企業実務。
会社の純資産を厚くする過程においては当然に法人税の納税も伴います。
しかし、承継間もない、起業間もないうちは特に、会社の純資産をベンチマークに経営にあたって頂きたいと考えております。
「会社を食べたらあかん」
これも事業承継の現場で、ある社長様がおっしゃった言葉です。
仕入や外注費など、売上の増加とともに変動する「変動費」に対するものとして「固定費」があります。
「固定費」は変動費よりは固定的とはいえ、徐々に増えていってしまうのがその特性です。
継続して利益を計上していれば尚更、旅費・通信費・交際費・広告宣伝費・役員報酬、など種別を問わず、財源や予算を顧みることなくついつい支出が緩んでしまいがちです。
その状況を見て「会社を食べる」と表現されました。
食べるのではなく大事に大事に育てないと、すぐにだめになる、と。
やはり、期が始まった時点で固定費も予算化し、増収の目標値や収支の状況を見、「本当に耐えられるのか?」を確認することが重要です。
とはいえ、「予算をつくる」ということにはどうしても手間やハードルを感じてしまう、というのもまた事実。
その場合はどうするか?ですが、いきなり12か月の年間予算をつくるのではなく、まずは決算の3〜4ヵ月前くらいから、「決算の着地予想」をつくることから始めるのがスムーズだと感じています。
そうした短期(3~4ヵ月)の決算予想であっても、決算期末が近づくにつれ予想値を実績値に置き換えていくことで「先を読む」ことができます。
決算予想の延長線上に翌期予算があり、翌期予算の延長線上に中期計画があります。
自社数値・資金繰りの「先を読む」という意味においてはどれも共通しますので、まずは決算着地予想を作成、その予想値を実績値に置き換えていくことが予算策定、ひいては固定費のコントロールにつながるのではと思います。
当然、一番大きな固定費は人件費。
賃上げに対する奈良県独自の助成金の詳細が公開されています。
・令和5年9月1日から令和6年2月29日までの間に
・正規及び非正規雇用労働者(週所定労働時間が20時間以上)の
・直近の支給額もしくは奈良県の令和5年度最低賃金のいずれか高い方の賃金を
・1.7%以上引き上げ
・賃上げ後1年間は、賃金を引き下げることなく雇用する
ことで、「賃上げ人員×5万円」を支給。
(11月1以降電子でのみ受付、奈良県全体で20,000人が上限。医療法人や一般社団法人も対象。)
賃上げを実施する時期が合致するのであれば、申請ページの開設を待ちましょう。
24日は地元の天理市商工会さまにてインボイスのセミナーでした。
昨年、お客様向けに開催した回を皮切りに、各種団体での講演を数えること今回で8回目。
皆さん熱心で、だいたいセミナーが終わったあとも個別質問への対応で30分以上かかります。
特に中小企業にとってインパクトの大きな改正であるがゆえに出来るだけの発信を、と思ってやってきました。
10月のスタートまでもうセミナーは予定していませんが、あとは新聞への寄稿を残すのみ。
最後までお客様への個別対応を継続していきたいと思います。
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