税理士松尾ブログ
なにせなアカン?消費税10%-④区分経理できない事業者への特例
2019-03-06
消費税率アップに向けて、
・スケジュール
⇒https://aoba-atm.com/archives/matsuo_blog/1818
・10/1以降も8%が強制される「経過措置」
⇒https://aoba-atm.com/archives/matsuo_blog/1822
・軽減税率
⇒https://aoba-atm.com/archives/matsuo_blog/1839
をまとめてきました。
軽減税率が導入されると、
10%、8%と税率ごとに区分して経理する必要が出てきます。
手間が増えます。
しかし、区分経理することが出来ない中小企業には特例が設けられています。
「中小企業」というのは、
基準期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者です。
「基準期間」というのは、
個人事業者は「前々年」
法人については「前々事業年度」となります。
ちなみに前々事業年度が1年未満の場合は、
「その事業年度開始の日(2019/4/1)の二年前の日(2017/4/2)の前日(2017/4/1)から同日以後一年を経過する日(2018/3/31)までの間に開始した各事業年度を合わせた期間」
となります。
(日付は分かりやすくするための例)
前々年の消費税のかかる売上が5,000万円以下の場合の特例と捉えればいいと思います。
〇まず、売上に対する特例
①税込売上の合計額
②全体のうちに軽減税率の対象売上の占める割合
・仕入れに占める割合(卸売。小売業者のみ)
・10営業日の割合
のいずれかの割合を用います。
①×②で得られた金額が
「軽減税率による売上」とみなすことが出来る、ということです。
・仕入れに占める割合
・10営業日の割合
も分からない、かつ、主として軽減税率の対象品目を扱っている場合は
ざっくりと「50%」という割合を用いることもできますが、あくまで最終手段です。
売上に対する特例は
「2019/10/1~2023/9/30」までの4年間です。
〇そして、仕入に対する特例
売上を税率ごとに区分は出来るが
仕入を税率ごとに区分できない
卸売・小売業者に対する特例です。
この場合は
①税込仕入の合計額
②売上全体のうちに軽減税率がいくらあるかという割合
①×②で得られた金額が
「軽減税率による仕入」とみなすことが出来る、ということです。
仕入に対する特例は
「2019/10/1~2020/9/30」の属する課税期間の末日まで、です。
売上に対する特例よりも期間が短いので要注意。
消費税は基本的に、
「売上とともに預かった消費税」
から
「仕入とともに支払った消費税」
を控除することで納税額を計算します。
このうちの後者、
つまり「仕入とともに支払った消費税」については厳格な管理が求められます。
消費者から預かっている消費税は、事業者を経由して納税されるべきですが、
そこから控除するのですから、
「仕入とともに支払った消費税」について特例があるものの要求が厳しい、
というのは当たり前と言えば当たり前です。
それがどうしてもできない、という場合には
「売上とともに預かった消費税」のみで納税額を計算する
「簡易課税方式」を選ぶこともできます。
仕入に対する特例で出てきた
「2019/10/1~2020/9/30」の属する課税期間については、
その課税期間が終わるまでに届出書を提出すれば
簡易課税方式を選択できます。
(最低2年間の継続適用が必要)
以上のような特例はありますが、
仕入に係る消費税を管理する必要があるのですから、
実務上は恐らく、
仕入に係る消費税を区分して管理する態勢ができてさえしまえば
売上に係る消費税も管理できるケースがほとんどかと思います。
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