税理士松尾ブログ
従業員の不正が発覚。会社は「被害者」か?
2020-08-26
テーマ:経営を守る情報
従業員による不正が発覚した場合、会社側としては「被害者」と考えるのが通常です。
しかし無条件に被害者扱いされるわけではないのが会社実務です。
たとえば国税不服審判所において争われた事案で下記のようなものがあります。
・建物の内装工事業
・従業員が架空の外注費の請求書を発行(2期で約650万円)
・会社側は請求書どおり支払った(実は従業員の管理する口座)
・税務調査で架空であることが発覚
↓
税務調査において、
・その外注費は否認
・その上、会社側の管理責任を問うて重加算税を課税してきた
↓
・会社側は、従業員が独断でやったことであり、会社に管理責任まで問われないと不服申し立て
というような事案です。
審判所は、
職制上の重要な地位に従事せず、限られた権限のみを有する一使用人が独断でやったことであることを理由に重加算税の課税は取り消しています。
しかし注目すべきは、
「その従業員が会社の経営に参画することや、経理業務に関与することのない一(いち)使用人であった」
ことを重加算税の課税を取消した理由にしている部分かと思います。
不正を働いたのがもう少し役職が上の人間や役員、経理担当者であれば、結果はまた変わっていたかもしれません。
会社において不正があった場合には、そのまま「会社側も被害者」となるわけではなく、経営陣の管理責任も重要視していることがわかります。
人は信用するが人の行為は信用しない。
これは財務の原理原則でもあります。
誰しもが不正をするわけでは決してありませんが、間違ってしまうこともある。体調を崩すときだってある。本人が体調を崩さなくても、その大切な人が体調を崩して本人にも影響が及んでしまうことも考えられます。
普段から、
・不正や間違いが起きないように
・不正や間違いが起きても出来るだけ早く気付けるように
・人が変わっても続くように
という「内部統制」の視点が大切です。
そして内部統制においては、
「発注する権利」
「支払する権利」
「記帳する権利」
を誰が握っているかの管理が非常に重要です。
コロナ禍において、今まで当たり前にやってきたが「もし、、、」と冷静に考えると怖い、そんな「会社の経営を守る」ために必要なことを再確認する企業さまが増えています。
奈良県独自の補助金
2020-08-11
テーマ:経営を守る情報
奈良県独自の融資制度枠が広げられました。今回で4回目のようです。
県の利子負担額は10年間で430憶とのこと。
注目すべきはこの決定が「専決処分」であることで、議会の議決を経ないので、もしこの決定が不要であったとなれば知事個人が常に住民訴訟のリスクにさらされるということだと思います。
雇用を守り経済を回す気概の表れといったところでしょうか。
そしてさらに、4月以降のいずれかで前年同月比20%以上売上が減少していれば、下記の2種類の補助金もあるので要注意です。
⇒製造業は上限1,000万円、それ以外は上限500万円の再起支援事業補助金
⇒上限50万の緊急支援事業補助金
さて、
自動車メーカー各社の四半期決算が発表され、トヨタのみが黒字を確保できたようです。
豊田社長によると「損益分岐点を下げれた」ことをポイントに挙げています。
損益分岐点は簡潔に表現すると
「固定費÷粗利益率」で表されます。
低い方が経営の安全性が高いということになります。
損益分岐点を下げるには。。。計算式によると
・固定費を下げる
・粗利益率を上げる
のどちらかになります。
固定費には人件費も含まれます。
固定費のうち、広告宣伝、販促関係、交際費、旅費などの「管理可能経費」の費用対効果の見直しはもちろんですが、やはり「粗利益率アップ」の方が圧倒的に利益に寄与します。
財務は先入観からすると小難しく感じるのですが、最終的には極めてシンプルなところに行き着くことがほとんどです。
ワクチンも、「3月までに」と「月」まで入った報道が出始めました。
出口への大きな契機となることを願いつつ、私どもも、月次決算を大切にしながら経営に役立つ財務情報を発信していくつもりです。
古代ヤマトの水源をめぐるオンラインツアーを催行。
2020-08-03
テーマ:税理士@松尾
地元の大先輩方とともに、古代ヤマトの水源をめぐるオンラインツアーを催行しました。
誰しも「心象風景」として子供のころに過ごした地域の風景が残っていると思いますが、改めて見つめなおすと新たな価値に気づきます。
しかしその地方では、人口が減少し、空き家が目立ち始め、金融機関や商業施設が撤退する。
そんな現実もまた、起きています。
旧磯城郡。
古代ヤマトが発祥し、周囲への影響力を強めていくさまを、三輪山・龍王山を擁する青垣山脈からの「水」という切り口から、多数の方々のご協力もとに作られた映像とともにご紹介をさせて頂きました。
三輪山の麓の、民家の前を流れる水路。
何気なくある石ですが、これは下流への水量を2/3と1/3に配分するためのものだそうです。
それだけ生活に関わる貴重な資源だった水。
大和側の本流、初瀬川沿いにたたずみ、大神神社と同じく大物主命を祀る「村屋神社」の宮司様にも、光栄にも生出演頂きました。
そしてそんな、地元の皆さまの結晶である映像を、司会の大役を務めさせて頂き、お送りしました。
オンラインでしたので東京からも申し込みを承っておりました。
司会なんて初めてだしど素人ですが、「やらないと分からん」ということで何とか乗り切った感じです。いや、乗り切れてないかも。
いずれにしてもこれからも先輩たちに何とか食らいついていきたいと思います。
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