税理士松尾ブログ

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なにごとも結局は「人」。その支援策やセミナーについて。

2022-05-06

テーマ:セミナー報告税理士@松尾経営を守る情報

 

「人は石垣、人は城」との通り、経営の上で「人」に関して思考を巡らせることは尽きません。

 

税制面からは、人材投資への支援策として「所得拡大促進税制」があります。

 

適用することが出来れば納める税金を直接減らすことができますので補助金や助成金と同じ効果を生みます。

 



令和4年4月1日以降に始まる事業年度から税制改正によりさらに使いやすくなっており、

 

・役員を除き、パートアルバイトを含む総人件費が、

・前年度比1.5%もしくは2.5%以上増えていれば、

・増えた金額の15%(増加率1.5%〜2.5%の場合)もしくは30%(増加率2.5%以上の場合)を、

・税額から控除(ただし法人税の2割が上限)する、

 

というイメージになります。

 

さらに、教育訓練費(研修費、講師への謝礼)が前年度比で10%以上増えていれば控除率がさらに10%上乗せされます。

 

控除の上限が法人税の2割という部分が改正されずそこはボトルネックではあるのですが、制度自体は非常にシンプルかつ控除額も増額されておりますので、まずは教育訓練費の集計を日ごろから心がけておいて頂ければと思います。

 



教育訓練費とは基本的には

 

・役員や個人事業主自身を除く人への

・業務に直接必要な技術や知識を

・習得させたり向上させたりするための

・損金もしくは必要経費に算入される費用

 

となります。

 

管理方法としては、帳簿上において福利厚生費勘定に枝番を付けておいたり、研修費という科目を設けたりということで可能かと思います。

 



実務上、もう一点気を付けなければならないのは、その費用が「福利厚生費ではなく、その従業員への給与とならないかどうか」という点になります。

 

業務上必要な研修に出席させたり、外部から講師を呼んできて研修会をしてもらったり、というのは問題ないと思いますが、

 

例えば、

 

・あまりに高額であったり、

・研修旅行のように技量の向上に直接関係がなかったり

 

とすると、「給与」として所得税を徴収しなければならないケースがあるので注意が必要です。

 

教育訓練費(損金となり給与課税とならない)として扱うには、

 

・業務との関連性が明確であり

・機会が公平に与えられ

・業務を遂行していくことによってその効果が消費されていく

 

ことがポイントではないかと思います。

 



また、少し余談になりますが、個人事業(所得税)について

 

・カイロプラクティックを営む事業主が

・柔道整復師の資格を持つ従業員が辞めたので

・自分が柔道整復師の資格を取得するために

・専門学校に行った費用約300万円

 

これが、事業主自身の人的価値を高めるだけであってその年度の収入とは直接関係しないから必要経費として認められない、といった判決が出ています。

 

そもそも必要経費ではない、ということとなれば所得拡大促進税制どころの話ではありません。

 

原則的な考えをおさえつつ、また、助成金も活用しながら人への投資を実施して頂ければと思いますし、私どもも給与課税など周辺領域も把握しつつご案内していければと考えています。

 



また、お客様向けにはなりますが、6月には

 

・役員、従業員ともに損金算入で退職金積立ができ、

・採用環境や従業員の福利厚生にも寄与し、

・社会保険料の節減も可能となる

 

方策についてオンラインセミナーを開催します。

(当然、税理士法人あおば自身も導入済みの制度です。)

 

全額損金かつ解約すると大部分が戻ってくる、といった商品がなくなった今もなお、4割損金で落ちて配当も加味すると9割以上が戻る、といった切り口での保険営業が繰り広げられています。

 

それらはあくまで課税の繰り延べですので、そういった意味では所得拡大促進税制は純粋な節税です。

また最近は個人単位でも投資や退職金積立への関心が高まりつつありますので、6月のセミナーは節税と資産運用の両面に効果があるのではないかと思います。



 

天理の隠れた名所「大親寺」。

奈良時代に開かれ、空海によって再興されたお寺。美しい緑のじゅうたんで満たされています。

大和(やまと)は秋もいいけどやっぱり春やなあ、と思ったゴールデンウイーク。

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