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家賃を1年分前払いして節税?することの盲点

2019-05-19

テーマ:経営を守る情報

いわゆる「短期前払費用」という特例を利用してその期の納税額を少なくする手法があります。

 

ざっくり申すと、

 

・1年以内に役務提供を受けるものを
・前払いして
・継続して支払日に損金処理

 

している場合は、たとえ支払内容が「1年分」であってもその期の損金とされるものです。

 

家賃や生命保険料を1年分前払いするケースなどが分かりやすいですね。

 

毎月定額で支払うものについては「どうせ払うんだから」ということで決算対策として「1年分前払い」、というのが話題にも上りやすいのが事実です。

 

 

しかしこれには盲点があります。

 

 

あくまで対象は「等質等量」のサービスのみであること。

 

家賃や生命保険は毎月提供される内容が等質等量ですが、たとえば毎月かかるものとして「税理士報酬」はどうか?

 

というと、これはNGです。

 

毎月同じ「サービス内容、サービス量(=等質等量)」ではないから、

というのがその理由です。

 

(税理士業界全体を見渡すと、残念ながら等質等量になってしまっているケースもあるとは思います。)

 

また、その前払金額がその会社の総経費と比べて非常に大きい場合に否認された地裁判決もあります。

 

また、例えば100万円前払いして30万円の税金が安くなったとします。
キャッシュベースでいうと70万円が塩漬け(前払い)になったままです。

 

このキャッシュをいつ取り戻せるのか?

 

というと、(賃貸借契約などの)解約の時です。

 

 

キャッシュフローには悪影響を及ぼす手法です。

 

 

したがって現実的には

 

・解約返戻金がある生命保険料の一年分前払い

・地代家賃の支払い先が社長自身や同族関係者

 

であれば活用効果があると思います。

 

 

世の中で「節税」と呼ばれるもののほとんどに盲点がありますしキャッシュの流出をともなうと思っておいた方がよいと思います。

決算時にあせって駆け込むのではなく、本当に効果のある対策を適時に打てる「環境」をつくることも経営者の大切な役割です。

 

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