税理士松尾ブログ
H31とH30の税制改正大綱を読み比べてみる1/2
2018-12-19
毎年12月中旬に税制改正の大綱が発表されます。
H31年度分は先日公表されました。
ページ数にすると100ページを優に超えるほどの量がありますが、
たいていの場合、
大きな構成は次のようになっています。
①基本的考え方
②具体的内容
③検討事項
一番ボリュームが多いのはいうまでもなく②の具体的内容ですので、
こちらは税制改正セミナー(2019年2月1日 @天理市民会館)
でご説明するとして、
2年分の①と③を「比較」して読み比べると税制改正の「傾向」が見えてきます。
平成30年度の税制改正大綱と
平成31年度の税制改正大綱
それぞれの「基本的考え方」と「検討事項」を読み比べるわけです。
まずは「基本的考え方」。
税制改正が実現した項目の「背景」を述べる部分です。
だいたい15ページくらい。
平成30年度税制改正
<一段落目>
雇用・所得環境は大きく改善している
<二段落目>
デフレ脱却を確実なものとしていく必要がある
誰もが生きがいを感じられる一億総活躍社会を作り上げる必要がある
⇒概論といいますか、コンセプトを述べています。
<三段落目>
働き方改革を後押しするために個人所得課税における諸控除の見直しを図る
⇒昨年、実際に実現した項目です。
で、平成31年度税制改正
<一段落目>
雇用・所得環境は大きく改善している
⇒昨年と同じことを言っているのが分かります。
<二段落目>
消費税率10%への引上げを平成31年10月に確実に実施する。
⇒昨年はこの時点でもコンセプトを述べるにとどまっていましたが、
今年はいきなり消費税のことが出てきました。
決意のほどでしょうか。
<三段落目>
企業経営者がマインドを変え、投資拡大などに積極的に取り組むことを期待する。
前回の消費税率上げの経験を踏まえ、需要変動の平準化にむけてあらゆる手立てを尽くす。
⇒こちらもまあ、消費税税率アップありきの文章ですね。
(ちなみに四段落目も軽減税率のことですので、消費税最前面押しの様相です。)
というわけで、メインは消費税率アップによる需要減対策ということになるのかもしれません。
比較をしながら、こういった「背景」と「傾向」を念頭に読み進めていくこととするのですが、
当然、消費税関係以外の項目も出てきます。
これらは、昨年の税制改正大綱の「③(今後の)検討事項」に挙がっていた項目
であることが多く、
やはり単年でのみ読むのではなく「比較」の要素を取り入れることで
見える視野が広くなります。
財務も同じですね。
その年だけの損益計算書、貸借対照表のみをみるのではなく、
前年のそれらと比較することで経営に欠かせない気付きが得られます。
次回は税制改正大綱における「検討事項」を比較してみることとします。
自筆証書遺言の要件緩和
2018-12-16
事業承継に関して、
私どもでは「託し託される事業承継」
という概念を推奨しています。
単なる引継ぎではなく、
「損得」の関係をこえて「価値観の一致」した関係性を目指す、
「託す」という価値観です。
そこには5つのステップがあって、
1,分けかた
2,議決権の設計
3,納税資金
4,節税
5,成長戦略
の順となります。
やはり一番先に決めるべきは
「分けかた」の部分で、自社株は○○、自宅は○○、預貯金は均等に、
などというようにざっくりでも分け方を描いてみることです。
そこでは「遺言」が非常に重要な位置を占めます。
そして遺言のうち自筆で記す、
「自筆証書遺言」が格段に使いやすくなります。
簡潔にいうと、
自筆証書遺言に添付する財産目録は自書じゃなくてもOK
(パソコンでつくってもOK)
ということになります。
2019年1月13日以降の作成分から改正民法が適用となります。
事業承継の最初のステップを、大きく後押しする効果があると思います。
遺言となるともはや税理士の範疇ではなくなってくるのですが、
そういった士業の垣根がなくなることを見据え、
「経営を守る」という「価値観を一致」させた
「奈良ASPO(アジア士業共同体)」を組成しています。
事業承継は企業の雇用を守ります。
雇用が守られるということは地域経済が守られるということです。
先人から受け継いだ地域を士業を通してお役立ちすることを
強く願っています。
「事業承継とM&A」セミナー
2018-12-12
95回目の「あおばセミナー」は、
「事業承継とM&A」と題して開催しました。
私どもとしては
「託し託される事業承継」というネーミングで、
単なる損得の一致(Win-Win)を目指すのではなく
価値観の一致した事業承継を実現していただきたく、
事業承継を
5つのステップに分け、
18個のツールを使って、
託し託される関係性を構築して頂きたいと考えています。
実際のところ、中小企業のM&Aは
・親族承継
・親族外承継
・M&A
の3択になります。
・M&Aって身売りでしょ?
・息子がいたら関係ないでしょ?
・業績が悪くなってから考えればいいでしょ?
・世間体が良くないでしょ?
・統合してもうまくいかないでしょ?
まずはそんな誤解を説くことを目的とし、
事例を中心にご紹介させて頂きました。
また、M&Aはそれ自体が目的ではなく、
あくまで切り口は「事業承継」です。
私どもも親族内承継がベストだと思っています。
しかし実際には
・親族は大企業に就職して戻ってこない
・連帯保証には気が引ける
・業績やが芳しくなく、継がせる不幸
というケースも往々にしてありますし、
後継者にとっても
・創業者を超えられないジレンマ
があります。
その解決策の有効な一つになるものと思います。
その他にも
買い手としてのM&Aのニーズも高まってきており、
30代ですとか、特に年齢が若めの経営者さまからのご相談が実際に増えています。
M&Aの仲介業者や仲介サイトは日本に浸透しきった感がありますので、
この点でも「士業」の信頼性をもとに
託し託される関係性の実現を目指していきたいと思います。
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