税理士松尾ブログ
税制改正での隠れた負担増。
2023-02-07
テーマ:経営を守る情報
今年の税制改正では、
・生前贈与で相続財産に取り込まれる年数が3年から7年になった
・相続時精算課税制度が使いやすくなった
・NISAが拡充された
・防衛増税
といったテーマが取り上げられることが多いです。
実際、先日の税制改正セミナーではそういった部分をメインとして取り上げました。
しかし一方で、あまり取り上げられることのない項目でも、金銭的にせよ事務的にせよ、納税者に不利だな、と感じる項目も多くあります。
例えば給与支払報告書の提出範囲。
「1日だけ来て辞めちゃったアルバイトさんの給与支払報告書も出さないといけないのか?」など、
「どこまで源泉徴収票を提出するのか?」が話題となることが多くあります。
提出範囲は
・各市町村に対するもの
・税務署に対するもの
に応じて異なっています。
<各市町村に対するもの>
⇒全部(退職者で年30万以下のものを除く)
<税務署に対するもの(主な区分)>
⇒年末調整をした人は、年500万円超の人(法人の役員等は年150万円超)
⇒扶養控除等申告書を提出して年末調整をしていない人は、年250万円超の人(法人の役員等は年50万円超)
イメージとしては
「市町村の方が税務署より提出範囲が広い」ということとなります。
そして税制改正により、
この提出範囲が「市町村の基準に統一(拡大)」されることとなります。
(令和8年分に係る給与支払報告から)
電子化に伴い当然と言えば当然かもしれませんが、いままで以上に国税庁に膨大な情報が蓄積されることとなりそうです。
その他、電子取引。
税務上の「電子取引」とは、
・ネットショッピングでダウンロードした領収書
・メールで受け取った、又は発行したPDFの請求書
など、受領・発行時点から電子媒体のものが該当します。
そしてそれをプリントアウトして保存するのではなく、電子媒体で保存することが強制されるのが「電子帳簿保存法における電子取引」となります。
しかし今年いっぱいは、電子取引を書面にプリントアウトして保存していても、宥恕(容認する)措置が設けられています。
今回の税制改正で、書面での保存を事実上認める措置が、
・時限的な宥恕措置から
・恒久的な措置へ
改正されています。
書面保存が恒久化されたと見る向きもありますが、実際は厳しくなったというのが実感です。
来年以降は
・電子取引に対応しようとしているが対応できない相当の理由がある
・書面で出力して保存している
・税務調査時のダウンロード要請に応じる
という3つの要件を満たす場合に限り、電子取引の書面での保存が認められます。
このダウンロード要請に応じる、というのが調査時の提示、提出に応じることを指しますので、なかなか重たい条件が一つ加わった形です。
調査があった時は出来る限り資料の持ち帰りは遠慮してもらうのが基本スタンスですので、
ダウンロード要請に応じなくてよいためにはどうすべきか?を考えた場合、
1,検索要件を満たす
2,事務処理規程などを作成する
ことが必要となります。
上記の「2」については規程を作成し、ディスプレイなどに提示できる状態にしておけば良いのですが、「1」の検索要件が少しハードルが高いものになります。
ア:日付、金額、取引先を検索できる
イ:日付と金額は範囲指定して検索ができる
ウ:AAかつBBというような組み合わせ検索ができる
という3つを満たすものが検索要件となりますので、単にフォルダに格納しているだけでは対応できません。
来年1月を見据え、自社の電子取引のボリュームによって
・Excelで索引簿などをつくり、そこにPDFファイルへのリンクを貼る
・管理ソフトを導入する
といった対応が必要となります。
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