税理士松尾ブログ
奈良の企業にとってのコロナ借換保証
2023-01-22
テーマ:経営を守る情報
いわゆるゼロゼロ融資の返済が今年の夏以降に本格化することを受けて「コロナ借換保証」制度がスタートしています。
ポイントは
・本来は0.85%の保証料のところ0.2%で利用可能
・さらに最大5年据え置きが可能(一番のポイント)
・返済期間も最大10年
・保証枠1憶
・経営行動計画書が必要(定期的に試算表提出、モニタリング、金融機関から保証協会へ報告の流れが前提)
といったところです。
伴走支援型特別保証というのが正式名称のようですが、保証制度全体の立て付けとしては
・新たに伴走支援型特別保証が創設
・その中にセーフティーネット4号、セーフティーネット5号、一般、の3つの枠がある
・伴走支援型特別保証を介さないセーフティーネット4号・5号、一般、の枠も引き続き存在
ということで複雑化しています。
いずれにせよコロナからの回復途上の企業にとっては、
・3年間無利息の全国統一保証枠(今は取扱い終了)でのコロナ融資を
・伴走支援型特別保証枠で借換え、
・さらに据え置きも視野に
という道が開けます。
そして奈良の企業にとっての使い勝手は?
奈良県の場合は「全国統一保証枠」ではなく「奈良県制度融資」を使っている場合がほとんどです。
つまり、最初の3年間は、というのではなく期間中ずっと無利息、という全国でもまれな形で資金調達しているケースほとんどだと思います。
そうしますと、せっかく伴走支援型特別保証の道が開けているものの、
「金利がかかってくるから手を付けずに置いておきたい(借換えしない)」
という力がどうしても働きます。
奈良県制度融資による融資以外の部分を伴走支援型特別保証で借り換えるのも選択肢ですが、少額の部分のみを借り換えたとしても、元金返済負担が減るよるメリットが出づらい可能性が高い状況です。
したがって、
・借換えをして月々の返済負担が軽くなる、さらに据え置きもできる。しかし金利は発生する(伴走支援型特別保証)
・借換えをせず月々の返済負担が重い。しかし金利は発生しない(奈良県制度融資)
・借換えをせず、条件変更をする(元金返済期間を延ばす)
のどれかを検討するケースが多くなるものと思われます。
もちろんケースバイケースですが、金利の発生よりも月々の元金返済を減らすことの方が資金繰り改善の面では優先順位が高くなります。
無金利という点は非常に大きいのも事実ではありますが、資金繰り表を作成して自社にとっての優先順位を見極めたいものです。
また、伴走支援型特別保証(コロナ借換保証)の他に、
政策公庫の「資本性ローン」も検討価値が高いものと感じています。
⇒詳細
「民間金融機関等による支援を受けられる」というのが前提ではありますが、これは民間金融機関において同じ額の新規融資が前提という意味ではなく、借換えや新規融資など何らかの形での民間金融機関における取組があれば「支援」と捉えることが出来るようです。
以前のブログ「資金繰り改善の順序(最近の傾向から)」では、実務上の対応として
1.当座借越枠の設定または増額の要請
2.短期融資の活用
3.コロナ融資以外の借換え
4.資本性ローン(政策公庫または保証協会)
5.追加融資
6.条件変更
と記載させて頂きましたが、その「3」と「4」の間に、今回の「コロナ借換保証」による借換えが来るイメージでしょうか。
またモニタリングが前提となっていることからも明らかなように、月次試算表が今後ますます重要となります。
何らかの事由で遅れがちな場合は、当社との役割分担も再度検証し、IT導入補助金も視野に入れてタイムリーな情報提供が可能な態勢をともに構築していければと思います。
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