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円安はいつまで続くか?

2022-05-30

テーマ:事業承継経営を守る情報

強烈な円安と資源高が続いています。

 

原油価格・物価高騰等総合緊急対策として予備費が1,000憶円計上され、事業再構築補助金において緊急対策枠が設けられることになっています。

 

・今年1月以降のいずれかの月の売上高(又は付加価値額)が、

・2019年~2021年の同月と比較して

・10%(付加価値額の場合15%)以上減少

 

している場合には、今公募中の「6次」公募においては加点措置して優先採択、「7次」以降においては特別枠が設けられます。

資料

 



 

中小企業にはどうしても輸出よりも輸入環境の方が大きく影響する場合が多く、そうすると当然ながら円安は不利に働きます。

 

そうなるとこの円安はいつまで続く?と考えた場合、先日財務省から発表のあった令和3年度の「経常収支(海外との取引についての収支)」を参照すると概要としては次の通りです。

 

・輸出85兆(25.1%増)、輸入87兆(35.0%増加)などを経て

⇒貿易収支が6.4兆のマイナス

 

・海外から受け取る利子配当である、

⇒一次所得収支が21.5兆のプラス

 

・その他、

⇒二次所得収支が2.5兆のマイナス

 

ということで差し引き経常収支が12.6兆円のプラス。

 

 

円安や資源高に伴う輸入の増加があり、報道ではどこか円安で大変だ~、という部分にスポットが当たっている感がありますが、反対に輸出も大幅に増加しており、何よりも巨額の「一次所得収支」でもって収支がプラスになっていることが分かります。

資料

 

一次所得収支は円安がプラスに働きますので、となると国全体としては円安を是認せざるを得ず、今しばらくは円安水準は続く可能性が高いように推察されます。

 



 

中小企業には厳しい環境が続くことが想定されます。

価格体系や内製化の検証は引き続き重要ですし、「数値目標」と「行動目標」の予実管理もより一層重要となるものと思われます。

 

先日も「いつまでも厳しい厳しいと言ってられないので、はじめて本格的に経営計画を作ってみます」というお客様もございましたが、素晴らしいことだと心底思います。

 

また、事業承継の現場においても、事業承継のうちとりわけ「株の承継」の部分はなかなか進まないのか以前までの傾向でした。

しかし、コロナ禍以降の環境により、事業承継のうち株式承継も徐々に進みつつありますし、提携企業からお客様のご紹介を頂く案件にしても、事業承継で総合的にアドバイスできる方を探している、といったケースが大部分を占めます。

 

どのような案件であれ、「目的(想い)」があって手段がありますので、その順番を取り違えないよう、渡す側のご年齢や健康状態にもよりますがまずは5年程度の計画を立案させて頂いています。

 

やはり、書かざるものは実現しませんので、経営でも事業承継でもまずは見える化することが大切で、経営の3本柱は「人づくり・客づくり・財務」ですので、計画には財務の視点を入れることも不可欠です。

 

税理士に聞く事業承継、事業承継とは社長交代ではなく株の承継【シミケンこれ聞く】

 

何から始めればいい?税理士に聞く、事業を引き継ぐ方法。

 

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インボイスがないから消費税を払わない、はNGか?

2022-05-16

テーマ:セミナー報告消費税

 

今年に入り、

・税制改正に盛り込まれなかったけれども水面下での重要な動き

・withコロナの財務戦略

・パワハラ、残業上限規制など労務の改正

・大きく変わる!個人情報保護法の改正

とオンラインセミナーをやって参りました。

 

次回(R4.6.4)は「中小企業でも使える確定拠出型年金」ということで、

・損金で役員や従業員の退職金積立てをする

・福利厚生を向上させる

・採用環境や定着率をあげる

といった効果があるものの、「とある事情」で中小企業にあまり案内されていないものになります。

 

お客様限定となりますが、メルマガやLINE@でご案内させて頂いておりますアドレスからお申込み下さい。

 

 

(もちろん、確定拠出型年金制度は税理士法人あおばでも導入済みです。)



 

インボイス制度が来年より開始されますが、多くの企業にとっての論点は

「免税事業者(消費税を納める義務のない事業者)との取引」にあると思います。

 

受け取った請求書にインボイス番号が記載されていなければ、たとえ消費税相当を払ったとしても、払った側で納税時に控除できません。

 

したがって、インボイスのない請求書や領収書がやり取りされた場合には

・発注側で、インボイス番号が記載されていないので消費税相当を支払わない

・受注側で、インボイス番号を発行できないので消費税相当をもらわない

のいずれかになります。

 

発注側において、インボイス番号がないから消費税相当を払わない、とした場合は少し留意が必要です。

 



 

参照資料1

 

この資料の一つ目のケースでは「それ、下請法違反です!」とはっきり書かれてしまっていますが、これは

・消費税込みでの事前の合意があって

・一方的に

消費税相当を払わなかった場合、と解するべきではないかと思います。

 



 

また、建設業においても、消費税を支払わないとした場合に、免税事業者である下請業者のおいて原価割れをしてしまうようだと「建設業法違反」となる、と明示されています。

 

参照資料2

 

消費税が支払われなかったら原価割れしてしまう場合は、そもそも不当に低い下請代金としてダメ、ということでしょう。

 



 

上記以外でも、取引の相手先がインボイスを発行しない免税事業者のままであることを理由に取引停止等を一方的に決定しまうと独占禁止法違反のおそれがある、とのこと。

 

税法以外にもいろいろと法律が入り乱れてきますが、実務的にはインボイス番号がなかったら消費税を払わないと決めている場合であっても、相手先との間で、「インボイス制度開始前」または「取引開始前」にインボイス番号を発行しない場合の取引条件の事前協議と合意が重要と言えます

 

その他のインボイスに関するブログはこちらにまとめています。

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なにごとも結局は「人」。その支援策やセミナーについて。

2022-05-06

テーマ:セミナー報告税理士@松尾経営を守る情報

 

「人は石垣、人は城」との通り、経営の上で「人」に関して思考を巡らせることは尽きません。

 

税制面からは、人材投資への支援策として「所得拡大促進税制」があります。

 

適用することが出来れば納める税金を直接減らすことができますので補助金や助成金と同じ効果を生みます。

 



令和4年4月1日以降に始まる事業年度から税制改正によりさらに使いやすくなっており、

 

・役員を除き、パートアルバイトを含む総人件費が、

・前年度比1.5%もしくは2.5%以上増えていれば、

・増えた金額の15%(増加率1.5%〜2.5%の場合)もしくは30%(増加率2.5%以上の場合)を、

・税額から控除(ただし法人税の2割が上限)する、

 

というイメージになります。

 

さらに、教育訓練費(研修費、講師への謝礼)が前年度比で10%以上増えていれば控除率がさらに10%上乗せされます。

 

控除の上限が法人税の2割という部分が改正されずそこはボトルネックではあるのですが、制度自体は非常にシンプルかつ控除額も増額されておりますので、まずは教育訓練費の集計を日ごろから心がけておいて頂ければと思います。

 



教育訓練費とは基本的には

 

・役員や個人事業主自身を除く人への

・業務に直接必要な技術や知識を

・習得させたり向上させたりするための

・損金もしくは必要経費に算入される費用

 

となります。

 

管理方法としては、帳簿上において福利厚生費勘定に枝番を付けておいたり、研修費という科目を設けたりということで可能かと思います。

 



実務上、もう一点気を付けなければならないのは、その費用が「福利厚生費ではなく、その従業員への給与とならないかどうか」という点になります。

 

業務上必要な研修に出席させたり、外部から講師を呼んできて研修会をしてもらったり、というのは問題ないと思いますが、

 

例えば、

 

・あまりに高額であったり、

・研修旅行のように技量の向上に直接関係がなかったり

 

とすると、「給与」として所得税を徴収しなければならないケースがあるので注意が必要です。

 

教育訓練費(損金となり給与課税とならない)として扱うには、

 

・業務との関連性が明確であり

・機会が公平に与えられ

・業務を遂行していくことによってその効果が消費されていく

 

ことがポイントではないかと思います。

 



また、少し余談になりますが、個人事業(所得税)について

 

・カイロプラクティックを営む事業主が

・柔道整復師の資格を持つ従業員が辞めたので

・自分が柔道整復師の資格を取得するために

・専門学校に行った費用約300万円

 

これが、事業主自身の人的価値を高めるだけであってその年度の収入とは直接関係しないから必要経費として認められない、といった判決が出ています。

 

そもそも必要経費ではない、ということとなれば所得拡大促進税制どころの話ではありません。

 

原則的な考えをおさえつつ、また、助成金も活用しながら人への投資を実施して頂ければと思いますし、私どもも給与課税など周辺領域も把握しつつご案内していければと考えています。

 



また、お客様向けにはなりますが、6月には

 

・役員、従業員ともに損金算入で退職金積立ができ、

・採用環境や従業員の福利厚生にも寄与し、

・社会保険料の節減も可能となる

 

方策についてオンラインセミナーを開催します。

(当然、税理士法人あおば自身も導入済みの制度です。)

 

全額損金かつ解約すると大部分が戻ってくる、といった商品がなくなった今もなお、4割損金で落ちて配当も加味すると9割以上が戻る、といった切り口での保険営業が繰り広げられています。

 

それらはあくまで課税の繰り延べですので、そういった意味では所得拡大促進税制は純粋な節税です。

また最近は個人単位でも投資や退職金積立への関心が高まりつつありますので、6月のセミナーは節税と資産運用の両面に効果があるのではないかと思います。



 

天理の隠れた名所「大親寺」。

奈良時代に開かれ、空海によって再興されたお寺。美しい緑のじゅうたんで満たされています。

大和(やまと)は秋もいいけどやっぱり春やなあ、と思ったゴールデンウイーク。

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節税保険にメス「指南書」発覚の3社に金融庁が報告徴求命令

2022-02-21

テーマ:経営を守る情報

 

節税保険にメス「指南書」発覚の3社に金融庁が報告徴求命令

というニュースがありました。

 

全額損金になるなど損金性の高い生命保険は課税の繰延べに関しては絶大な効果があります。

 

一方で節税効果は無いにもかかわらず、解約時に収益計上されるタイミングにあわせて退職金支給など大きな損金を計上することで「節税」できる、との販売姿勢が以前から問題視されてきました。

 

節税とうたう根拠は、退職所得に対する課税方式が給与に比べて著しく有利になっているためで、それは保険に入っていてもいなくても退職金として受給すればそのメリットを受けることが可能です。

 

特に経営者への退職金については

いくらまで退職金を支給できるか

とのご質問が多いのですが、実務的には

本当に退職できるか、するのか、

の方が重要です。

 

いくら退職金名目で支給したとしても、その後も

・役員会に頻繁に出席していたり

・高額な設備投資の判断をしていたり

・資金繰りを担当していたり

・社内で何らかの重要な決裁権をもっていたり

すると、実質的には退職していないとして賞与扱いとなるケースがあります。

 

賞与扱いとなると損金にならないばかりでなく、所得税住民税、法人税、さらにはそのタイミングで株を移転していたりすると贈与税にも影響してきます。

 

また、多額の退職金を支給できたとしても、結果として個人の相続財産を形成しますので個人の資産承継も視野に、果たして個人に多額の資金をお支払いするのが本当にいいのか、という点も視野に入れなければなりません。

 

保険の解約による益金対策としてはもちろん「何もしない」というのも大きな柱ですし、(4割が損金になる保険などに)新たに入り直すというのは年を重ねて条件が悪くなっているのでお勧めできませんし、そのため、昨今はシンプルに投資をお考えになるケースも多いように感じます。

 

参考:音声のみ動画⇒保険の解約返戻率ピーク!対処法は?

 

投資の中でも、新事業や社内業務の合理化に関するものについては「事業再構築補助金」や「IT補助金」も準備されており、令和4年予算案も22日に衆議院を通過予定ですので現時点の情報から大きな変更はないと思います。

 

メルナガバックナンバー:給付金・補助金3選

 

新事業への取組みについては事業再構築補助金や事業承継補助金、経理総務の合理化・標準化の際にはIT導入補助金を考慮する必要があります。

 

特に経理業務については、長年の慣習に基づいて実施されていることが多く、クラウド会計ソフトを活用して「合理的な業務に」そして「引き継げる業務に」していくことが重要です。

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入門した、いや、私なんぞが入門させて頂いたばかりの生花

2022-01-28

テーマ:税理士@松尾

 

コロナ禍で目まぐるしく状況が変わり続ける中、集中力をとブレない軸を鍛えるために、清水健さんの運営される「each stage」のカルチャースクールで「生け花」を習い始めていました。

 

それまで「花」とは無縁の世界で生きてきましたが、やはり実際に生けてみると、少しの角度、長さ、色合い、葉や花の有る無しで表現が圧倒的に変わる世界を体験しています。

 

僅かな差が圧倒的な違いを生む経営の世界に相通ずるものがあります。

 

そして生花は引き算、とのこと、無駄をそぎ落としていくほどに洗練されていくことが少しだけ分かります。

 

と仰々しく言っていますが、まだまだ入門した、いや、入門させて頂いたばかり。

 

しかし、何をやるにせよ一つの節目は必要だろう、ということで生花発祥の地である京都の六角堂にて開催される「池坊 男花展」にチャレンジをしてきました。

 

実質素人、、、

小さいときから美術は苦手、、、

生花発祥の地、、、

花展には参加者としてすら行ったことがない、、、

雰囲気すら分からん、、、

 

ビビりまくりの2日間でしたが、聞けば六角堂は聖徳太子の創建とのこと。

奈良県民としては若干の親近感ももちつつ、素晴らしい機会を頂けました。

 

 

 

 

機会を頂いた清水健さん、大いに手ほどきをして頂いた先生に感謝。

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これはSDGSなのか?

2022-01-26

テーマ:税理士@松尾

 

実は昨年末、うれしいことがありました。

もともと2018年から地域の仲間や先輩方と「しめ縄づくり体験&お正月講座」を開催していました。

 

これは、当社の「あおばセミナー100回記念講演」でご講演頂いた東條英利様から受け継いだ活動で、それまでは地元の一般住民の方々を対象にしていました。

 

で、それが2021年から私の母校でもある天理市立柳本小学校で授業の一環で取り入れてくれました。

 

2021年は3年生を対象に、5.6時間目を使ってワイワイと楽しみながら、でも一人の生徒も残すことなく国産の稲わらを使って手作りのしめ縄を作ってもらいました。

 

 

 

地域の宝である子どもたちと、学びながらも触れ合える機会を頂けたこと、感謝しかありません。

 

奈良新聞様も取り上げて頂き、有難うございます。

 

数年前からSDGSが叫ばれていますが、正直、個人的には、このしめ縄づくり体験会も開催していましたし、経営の面でも、「日本は昔から三方良しの価値観を大切にしてきましたやん」という思いがあり、あまり関心をもっておりませんでした。

 

しかしそれを地元小学校の授業に取り入れてくれるとなると感慨もひとしおで、SDGSで言うとこれの中の一項目にあてはまるのか?どうなんだ?と自信なさげに感じている私です。

 

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税制改正や給付金・補助金、そして経営サポート重点項目3点

2022-01-24

テーマ:セミナー報告動画配信経営を守る情報

 

年末に税制改正大綱の公表があり、そのほとんどが既存制度の延長や縮小であったためオンラインセミナーの題目を急遽、

【令和4年度税制改正に盛り込まれなかった重要項目】に変更して配信(1/7)。

・相続税と贈与税の一体化
・退職所得に対する課税のあり方
・金融所得に対する課税のあり方
・事業承継税制

このあたりの議論の動向と対策をお伝えさせて頂きました。

 

 

 

 

 

特に相続税と贈与税の一体化議論は脅威ですが、相続税を必要以上に恐れることなく、弁護士とのタッグも活かしながら、税務だけに偏らない解決策をご提案していくつもりです。

念のため生前贈与の計画スパンは短縮しつつ。


その他、令和3年度補正予算の成立を受け、給付金の公表や補助金の改訂が続いています。


【事業復活支援金】

 

年商に応じて最大250万までの給付を受けることができます。

 

こちらは「給付金」ですので要件(2021年11月〜2022年3月までのいずれかの月の売上が2018年.2019年.2020年のいずれかの年の応答月に比して30%以上ないし50%以上減少していること等)に合致すれば必ず受給できるものになります。

 

事業復活支援金のポイント動画(YouTube)

 

概要資料(概要はP1、添付資料はP6.7)


 

【IT導入補助金】

 

令和3年度の補正予算成立を受けて、内容が拡充されています。

・補助率が1/2から2/3(補助額50万以下部分は3/4)に(上限350万)

・会計ソフト、受発注のソフト、決済ソフト、ECソフトに対象を特化

・クラウドの利用料も2年分補助

・PCやタブレット、レジなど汎用性が高いものも補助対象に(補助率1/2,それぞれ上限あり)

 

公表された概要資料(P2以降)

 

ベンダーなどIT導入支援事業者とともにオンラインで申請していく従前どおりのスタイルになるものと思われます。


 

【事業再構築補助金】

 

第5回公募が開始されており、締切りは3/24の18時です。

 

今までは、事業計画書において、新事業の売上が全社売上の10%を超えている絵を描く必要があり、もともと年商規模が大きい法人については若干のハードルになっていたところの要件が緩和されています。

 

その他は大きな変更はありません。

 

こちら、コロナからの事業転換や新規事業開始の際には位置づけの非常に大きなものになります。

実際の補助金申請書作成にあたっては、二人三脚で長期間の業務となりますのでお早めにお声がけください。

(当社としては顧問先さまについては、認定支援機関の確認書発行に伴う定額報酬のみで、成功報酬は無しでサポートさせて頂いております。)


 

で、その他にも中小企業にとっては社会保険関連の改正動向も見逃してはなりません。

働き方やキャッシュフロー、組織の在り方に非常に大きな影響を与えると思います。

 

・パワハラ防止措置の義務付け

・育児休業関連

・割増賃金率の引き上げ

・社会保険の適用拡大

 

このあたりを社会保険労務士からご説明させて頂く機会も設ける予定です。

(2/5 11時からオンラインセミナー)

 

 


 

業種を問わず、原価高や人材不足といった厳しい経営環境、そしてコンプライアンス遵守への要請や労務関連の法改正など対応が必要な項目は増加の一方です。

 

しかしその中にあっても、まずは月次試算表をもとにキャッシュフローの見通しを共に検証し、必要に応じて金融機関とも連動して資金管理を行うことから始める、という点は変わらないスタンスとして持っていたいと考えています。

 

その上で、財務内容を深く把握する立場として、

・労務面のリスク対策

・万が一への保障

・誤りや不正を未然に防止するための内部統制の構築

という3点を重点項目として考えています。

特に内部統制については、その意識付けが結果として税務調査にも対応できる企業体質の構築にも大きく寄与します。

 

もはやすべての事象を「機会(チャンス)」と前向きに捉えるしかない事態が続きますが、お客様の課題を解決し、様々なリスクに先手必勝で備えることのできる「専門職コンサルティングファーム」の構築に向けて邁進したいと思います。

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電子帳簿保存のポイント

2021-11-29

テーマ:動画配信経営を守る情報

電子帳簿保存法の改正が年明けの1月1日から本格化します。

「領収書をスキャンするだけでよくなる」

「帳簿を印刷して保存しなくてもよくなる」

という風に、使い勝手は格段にアップしております。


少し長めの動画となりますが、フリーアナウンサーの清水健さまと対談動画を収録しておりますのでご確認頂ければと思います。

 


<電子帳簿保存法改正のポイント>

 

改正の趣旨としては「一層のペーパーレスの促進」による「利便性の向上」にあるのですが、各種要件を見ていくと、「税務調査の効率化」も見据えられているのも感じるところです。

 

改正分野としては

1.電子帳簿、電子書類の書類保存

2.スキャナ保存

3.電子取引

の大きく3つに分かれます。


 

まず「1」について

 

パソコンなど電子で作った帳簿書類は電子で保存が可能、という流れです。

 

電子帳簿(元帳、仕訳帳、のように「帳」のつくもの)の保存については、会計ソフト上で訂正や削除の履歴や入力年月日の履歴が残るような「優良帳簿」に該当する場合に限り、調査時にダウンロードの求めに応じる必要はありませんので、それ以外の場合には注意が必要です。

 

電子書類(貸借対照表などの決算関係書類、請求書や領収書のうち原本が電子のもの)については、下記の3つの検索要件を満たす必要があり、Aしか満たしていなければダウンロードの求めに応じる必要が出て参ります。

 

A,取引年月日、金額、取引先

B,日付または金額の範囲指定が可能

C,2つ以上の項目の組み合わせ検索が可能(aかつb。aまたはbは不要。)

 

「優良帳簿」は届出をしておけば過少申告加算税が軽減されたり、個人の場合は青色申告特別控除が上乗せされたりと更なるメリットも用意されていますが、改正の本来の趣旨である「利便性の向上(生産性の向上)」を果たすには、「優良帳簿の要件」かつ「3つの検索要件」を満たした状態で選択するのが本筋かと思います。

結果的に、調査時にダウンロードの求めに応じる必要も無くなります。

 

会計ソフトのベンダーさんに確認するときは「電子帳簿に対応しているかどうか」ではなく「優良帳簿に対応しているかどうか」という視点で確認する必要があると思います。


 

「2」について

 

紙で授受したものであっても電子で保存が可能というものです。

 

原本が紙媒体のものをスキャナ(スマホやデジタルを含む)にて要件を満たして保存すれば原本廃棄が可能となります。

 

しかしこちらも、原則的には3つの検索要件が必要になります。

また、領収書などの書類の実際の受領者以外の人がスキャンする場合は大きさ情報の保存も必要なので注意が必要です。

 

実務的にはこのスキャナ保存から取り組むのが良いように思いますが、最終的にはソフトウェアの選定に依拠するところですので、弊社のパートナー企業とともにご提案可能な態勢を築いて参りたいと考えています。


 

「3」について

 

こちらは、「1」「2」において利便性の向上が図られている反面、厳しくなったものという位置づけです。したがって強制適用となります。

まずは自社内の電子取引(取引情報の授受が電子媒体で行われる取引)の有無、頻度の検証からスタートすることになります。

 


実務上の対応としては、

・紙媒体で受け取る書類の電子保存(スキャナ保存)

・電子取引への対応

 

が当初の対応項目となると思います。

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事業再構築補助金4次公募スタート!

2021-11-01

テーマ:セミナー報告動画配信

事業再構築補助金の第4次公募がスタートしました。

 

同時に、この事業再構築補助金も「さらにあと1回程度」と明記されましたので次の第5次公募でいったんの区切りを迎えると思います。

 

1次、2次、3次と公募が進む中で、「いつまでにスタートする事業が対象なの?」というご質問を頂くことが多くなってきていました。

 

そして最近は、○○の部材が入らないといった事態も多く、早め早めの計画が尚のこと重要となっています。

 

それぞれの回次に応じて補助対象事業のスタート期限が設けられていますので、そのあたりを整理して動画にまとめました。

 

7分程度の動画ですので宜しければご視聴下さい。

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動画~インボイスとは?~

2021-10-01

テーマ:動画配信税理士@松尾

先日フリーアナウンサーのの清水健さまと収録して頂きました、インボイスに関する動画です。

制度は令和5年10月から、登録受付は今日(令和3年10月)からです。

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インボイス導入ガイド⑦~R5.10.1以降、免税事業者が消費税を受け取ったらどうなるの?~

2021-08-19

テーマ:消費税

 

課税事業者(消費税を納める義務のある事業者)にとってインボイス(適格請求書)とは、

支払先も消費税を納めていることの証明書、という性質を帯びることとなります。

 

したがって、インボイスの登録番号が記載されていないなど「適格」ではない請求書や領収書を受け取ったとしても、課税事業者においては消費税を支払わなかったものとして納税額を計算します。

 

インボイスに係る登録番号を記載した請求書や領収書を発行することが出来るのは課税事業者に限られ、免税事業者(消費税を納める必要のない事業者)は発行することはできません。

 

とすれば、インボイスの登録番号が書いていないなど「適格」ではない請求書なり領収書を発行するということは、免税事業者(預かった消費税を納める義務がない)であるということが対外的にも明白となります。

 

しかしながら、現時点では、自身が消費税を納める必要があるとないとに関わらず、売上代金を計算するときには本体価格に消費税を付して請求し、代金を受領するのが現実の商取引かと思います。

 

インボイス導入後は、代金や消費税を支払う側にとっての消費税負担に直接関係してきてしまうため、免税事業者が受け取る消費税についてどうしても着目されてくると推察します。

 

では、免税事業者がインボイス制度が導入されるR5.10.1以降も、現行のまま消費税相当を付して代金を請求することは可能なのか?

 

令和5年10月1日以降、消費税法57条の5というのが付け加わり、

・適格請求書発行事業者以外の者(⇒主に免税事業者を指します)は

・適格請求書発行事業者が発行した適格請求書、適格簡易請求書に

・誤認されるおそれのある表示をした書類

を交付・提供してはならない、という趣旨の規定です。

(罰則規定あり)

 

この点、

現実の商取引に与える影響、そして免税事業者にとっては今まで受け取っていた消費税相当額が実質値引き(しかも本体価格の10%もの値引き)のような性質を帯びるがゆえに資金繰りに与える影響も非常に大きく、今後の周知、価格設定、消費税を納める義務のある事業者をあえて選択するかどうか、が非常に重要です。

インボイス導入ガイド③~免税事業者がやるべきこと

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インボイス導入ガイド⑥~インボイス発行事業者の義務とは~

2021-08-19

テーマ:消費税

 

インボイスを発行する事業者に義務付けられることとしては、


・インボイスを交付する義務

・記載事項に誤りがあった場合には修正したものを交付する義務

があります。


 

とはいえ、

・自動販売機での購入のように領収書や請求書が発行されないケースや

・スーパーなど不特定多数の個人を相手とした業種

もありますので、その場合にはインボイスの交付義務が免除されたり適格簡易請求書で足りるケースも措置されています。

インボイス導入ガイド⑤~適格請求書の様式~

 

 

現時点で課税事業者か免税事業者かに応じて、それぞれにやるべきことを検証し、対応すべきは対応し、

その後は請求書や領収書の様式をR5.9.30までに整えれば、過大な混乱は防げると思います。

インボイス導入ガイド③~免税事業者がやるべきこと~

インボイス導入ガイド④~課税事業者がやるべきこと~

 

 

ただ、ふと我に返って、この場合はどうなるのだろう?

と思ったのが「口座振替」のケースです。

 

税理士や弁護士などの士業、そして定額制のサービスの場合、最初に契約書を交わしてその後は請求書や領収書を発行しないケースが多くあります。

実際、弊社でも原則として月々の料金を頂戴する場合は口座振替でお願いをしております。

 

この場合でも原則どうり「インボイスの記載事項」に立ち戻って考えなければなりません。


<インボイス(適格請求書)の記載事項>

①適格請求書発行事業者の氏名又は名称と登録番号

②取引年月日

③取引内容

④税抜き金額または税込み金額を税率ごとに合計した金額

⑤④に対する消費税額および適用税率

⑥請求書の受領者の氏名又は名称


 

少なくともこの記事を書いているR3年現在も有効な契約については、その契約書に①の「登録番号」の記載はないと思いますし、

⑤の「適用税率」の記載もないケースが多いのではないか、と考えられます。

 

②については引き落とされている通帳や、毎月振り込みの場合には振込金受取書などによってカバーできます。

③については現行の契約書に記載されているでしょう。

④については、現行の契約書における記載のされ方について確認が必要です。

⑤については、特に賃貸借契約書で昔からのものなど、適用税率の記載の有無がポイントになります。

⑥は契約書に記載されていると思います。

 

上記のようにインボイスとして必要な「記載事項」に立ち戻って検証していくこととなります。

 

もし不足の記載事項があるようであれば、


・契約書を巻き直す

・毎回、記載事項を網羅した請求書や領収書を発行するようにする

・不足の事項を改めて通知してもらう

の対応が必要となります。


 

お店を賃借して多店舗で展開されている業種などは時間と手間がかかるかもしれません。

参照Q&A(問76)

 

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インボイス導入ガイド⑤~適格請求書の様式~

2021-08-19

テーマ:消費税

 

インボイスは「適格請求書」と言いますので、記載すべき事項が決められています。


①適格請求書発行事業者の氏名又は名称と登録番号

②取引年月日

③取引内容

④税抜き金額または税込み金額を税率ごとに合計した金額

⑤④に対する消費税額および適用税率

⑥請求書の受領者の氏名又は名称


 

 

具体的なイメージとしては下記の通りです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

①の適格請求書発行事業者の氏名又は名称は、「屋号」によって記載しても大丈夫です。

参照Q&A(問44)

 

 

⑤の消費税額は

・税抜き金額×10/100(8/100)

・税込み金額×10/110(8/108)

のいずれかで計算し、複数の商品について一つの商品ごとに端数処理をすることはNGです。

あくまで税率ごとに合算をしてから、その合計額に対して消費税額を求めます。

(端数処理は切捨て、切上げ、四捨五入などは任意です。)

参照Q&A(問46)

 

上記の記載事項がきちんと網羅されているか、が重要ですので、

・様式に制約はありませんし、

・手書きで作成しても問題ありませんし、

・納品書や請求書の複数の書類で記載事項を満たしていれば問題ありません。

参照Q&A(問26)

参照Q&A(問45)

 

 

また現実には、すべての取引で請求書や領収書があるわけではありません

 

そもそも領収書が発行されないケース>

 

交通機関は?

⇒3万円未満であれば帳簿への記載のみでOK

 

自販機での買い物は?

⇒3万円未満であれば帳簿への記載のみでOK

 

従業員への通勤手当は?

⇒帳簿への記載のみでOK

 

⇒その他、インボイスの交付が免除されるケース(問32)

 

 

適格簡易請求書(簡易インボイス)で可能なケース>

 

中古車屋さんが個人から買い取るときは?

⇒その個人のインボイス登録番号記載がなくても領収書と帳簿への記載のみでOK

 

不動産業者が個人から建物を買う場合は?

⇒その個人のインボイス登録番号記載がなくても領収書と帳簿への記載のみでOK

 

この適格簡易請求書とは、不特定多数を取引先とする事業を想定されているもので、記載事項は下記の通りとなります。


①適格請求書発行事業者の氏名又は名称と登録番号

②取引年月日

③取引内容

④税抜き金額または税込み金額を税率ごとに合計した金額

⑤④に対する消費税額または適用税率


 

適格請求書との違いでいえば、

⑥であった相手先の氏名等は、不特定多数のため記載が省略できるほか、

⑤において

・適格請求書では消費税額および適用税率

となっているのに対して

・適格簡易請求書では消費税額または適用税率

となっています。

 

したがって、適格簡易請求書では、

・消費税額だけ

・消費税率だけ

・消費税額と消費税率の両方

のいずれかの記載方法となります。

 

具体的には次のようなイメージです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相手先の氏名・名称を記載する必要がないので、

ほとんどの場合は既存の請求書なり領収書に登録番号を記載すれば対応できるのではないでしょうか?

 

適格簡易請求書を発行できる業種は下記の通りです。

参照Q&A(問24)

 

 

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インボイス導入ガイド④~課税事業者がやるべきこと~

2021-08-19

テーマ:消費税

 

すでに課税事業者(消費税の納税義務がある事業者)である場合は、自社がインボイス発行事業者に登録することのデメリットはないでしょう。

(発行する請求書や領収書にインボイス発行事業者の登録番号を記載できるようにシステムを改修する等の必要はあります。)

 

 

課税事業者にとってのインボイス制度のポイントとしては「免税事業者への発注」にあり、

その理由としては


・消費税の納税時には、受け取った消費税から支払った消費税を控除したい

・支払った消費税を控除するためにはインボイス(適格請求書)が要る

・インボイスは課税事業者(消費税を納める必要のある事業者)しか発行できない

・発注先の免税事業者が課税事業者を「あえて」選択してくれるか分からない

・もし選択してくれなかったら、わが社にとっては損(控除できるものが少なくなるので納税額が増える)。


 

という点にあります。

 

 

したがって課税事業者にとってまずやるべきことは、


・支払先のうちに、インボイス発行事業者にならなさそうな支払先が該当ないかどうか

・該当あるとすればインボイス発行事業者になるように促す

という点にあると思います。


 

 

どういうケースに注意すべきかと例を挙げますと、


・一人親方と言われる小規模な外注先が多いケース

・委託先に小規模な取引先が多いケース

・外注としての内職さんへの依頼が多いケース

・飲食店など交際費が多いケース


となります。

 

インボイス発行事業者になることを促すということは、その取引先さんに対して消費税の課税事業者となることを促すことを意味します

 

その他、

盲点としては、例えば法人で、事業所を社長個人から借りていて社長個人に家賃を支払っているケースです。

 

この場合は、

・社長個人が課税事業者を選択してインボイス発行事業者になるか、

・社長個人に支払っていた家賃に係る消費税については自社において控除することを断念する、

の2択になります。

 

後者を選択したとしても、「インボイス発行事業者以外からの仕入れに係る経過措置」として

・R8.9.30までの支払い分は、その消費税相当の80%

・R11.9.30までの支払い分は、その消費税相当の50%

を控除することは可能です。

 

ただ、あくまで経過措置ですし控除できない部分も発生します。

したがって、インボイス発行事業者への登録をいくら促しても登録されないケースへの対応としては、


・その事業者への支払いに係る消費税は、納税額から控除しないとあきらめる

・インボイスを発行できる事業者へと取引を見直す

・消費税相当を支払わない(下請法で問題となる可能性あり)


となると考えられます。

 

その他、自社が発行するインボイスには何を書けばいいかは下記よりお願い致します。

参照⇒インボイスには何を書けばいいの?

 

8%の軽減税率が混在する場合の端数処理は「税率ごとの合計」で計算するのも実務上の留意点になるかと思います。

参照⇒適格請求書に記載する消費税額等の端数処理(問46)

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インボイス導入ガイド③~免税事業者がやるべきこと~

2021-08-19

テーマ:消費税

免税事業者(消費税を納める必要のない事業者)にとってインボイスとは、

兎にも角にも「消費税を納める事業者になることを自ら選択するかどうか」という点にあります。

 

免税事業者はインボイスの発行事業者(適格請求書発行事業者)への登録申請自体ができないというのがその理由です。

 

 

選択の判断基準としては、


ご自身の事業において

・販売先(顧客)が一般の生活者のみであり、

・自分が発行した請求書や領収書が事業活動に使われる(会社で経費精算時に使われる、等)ことはない

のであれば、あえて課税事業者(消費税を納める事業者)を選択してインボイス発行事業者に登録する必要はないことになります。


 

 

しかし、それ以外の場合は、消費税を納める事業者を選択するということは消費税相当の増税となりますので、

やるべきこととしては、


・年間通しておよそ「預かっている消費税がいくら」で「支払っている消費税がいくら」かを計算して納税額を把握して備える

・課税事業者の選択とともに簡易課税制度の選択を合わせて検討する

ことが必要となります。


 

 

簡易課税制度とは、「支払っている消費税がいくら」という部分について、実際の金額によるのではなく、売上の金額に応じて簡易的な割合で計算が可能、という制度です。

簡易的な割合とは、下記の通り業種ごとに「みなし仕入率」として定められています。飲食業は「第4種」事業です。

 

 

 

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm

 

特にみなし仕入れ率の低い「飲食業、運輸業、サービス業、不動産業」は、もともと経費があまりかからない事業ですので、簡易課税制度を選択した方が有利になるケースがほとんどかと思います。

 

 

あるサービス業者が売上900万円であるとすれば、

・預かった消費税は90万円、

・支払った消費税は90万円の50%(みなし仕入率)である45万円

・したがって、納税額は90万円マイナス45万円で45万円

というのが簡易課税制度による場合の納税額計算のイメージになります。

 

 

また、登録申請をしたからといってすぐにインボイスを発行できるわけではなく、

・R5.10.1のスタートからインボイス発行事業者となるためにはR5.3.31までに登録申請書を、

・その後は課税事業者になろうとする年の初日の1か月前までに登録申請書を

税務署長に提出することとなります。

 

 

インボイスの登録事業者となりインボイスを発行するとなれば、その記載事項とか新たな論点は出てきますが、免税事業者にとってはまずは冒頭の「消費税を納める事業者になることを自ら選択するかどうか」の検討に集約されるのではないかと思います。

 

参照⇒インボイスには何を書けばいいの?

 

8%の軽減税率が混在する場合の端数処理は「税率ごとの合計」で計算するのも実務上の留意点になるかと思います。

参照⇒適格請求書に記載する消費税額等の端数処理(問46)

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インボイス導入ガイド②~対応しなければどうなるの?~

2021-08-19

テーマ:消費税

 

インボイスとは


消費税を納める義務のある事業者にとっては、

仕入先も消費税を納めていることの証明書であり、

その証明書の保存が必要。

 

消費税を納める義務のない事業者については、

販売先を考慮して、自らがインボイスを発行する事業者となるかどうかの検討する必要がある。

その機会となる制度。


という位置づけとなります。

 

 

具体的にはこのような、とくに右下の①の登録番号が記載された「適格請求書」を発行することとなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インボイス(適格請求書)は、その発行事業者として国税庁に登録された事業者しか発行することが出来ません。

記載すべき事項が定められているだけで、決まった様式はありません。

 

 

登録は義務なの?


任意です

ただ、発注側(仕事を依頼して消費税を払う側)としては適格な請求書や領収書を発行してくれる事業者やお店と取引したいでしょうから、その点は必ずおさえる必要があります。

(登録していない事業者との取引は、発注側にとって消費税の納税額が増えることになります。)


 

 

登録しなかったらどうなるの?


インボイスを発行しない事業者に仕事を発注した場合、インボイスを発行しない事業者に仕事を発注したというだけの理由で、発注側(仕事の依頼側)の消費税負担が増加します。

とすれば、発注側としては

・消費税の負担増を受け入れてでも仕事を引き続き発注する

・消費税部分は払わない

・仕事の発注自体を取りやめて、別のインボイス発行事業者に依頼する

のいずれかの対応となると思います。


 

 

登録したらどうなるの?


法人であれば、アルファベットの「T」と法人番号とがセットになった「登録番号」が国税庁から付与されます。

その後、発行する請求書や領収書に登録番号も記載した状態で相手に交付します。

登録番号は「課税事業者(消費税を納める事業者)」にしか付与されませんので、いま消費税を納める必要がない事業者が「登録番号」を取得するとすれば、決算時に新たに消費税を納める必要が発生します。

いま消費税を既に納めているのであれば、登録番号を記載した状態で請求書や領収書を発行できる準備をしておけばいいだけです。


 

いま消費税を納めているか、いまは納めていないか、によって対処方法が変わりますので、この点は別で記載します。

インボイス導入ガイド④~課税事業者がやるべきこと~

インボイス導入ガイド③~免税事業者がやるべきこと~

 

登録自体は任意だが、登録しなかった場合にどう自身と発注側にとってどういう影響があるか、をここではまず把握して頂ければと思います。

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インボイス導入ガイド①~インボイスって何?~

2021-08-19

テーマ:消費税

いわゆるインボイス制度が令和5年10月から、

インボイスを発行できる事業者への登録手続きが令和3年10月から、

スタートします。

 

インボイス(適格請求書)とは


事業者間の取引」に影響し、「登録番号など所定の項目を記載した請求書(or領収書)」のことを指します。


 

この所定の事項を記載したインボイスをお客様、販売先に交付することとなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそも事業者が税務署に納める消費税は

・売上とともに入金となる消費税から

・支出とともに支払った消費税を、

・差し引く

ことで計算します。

 

・売上100円+消費税10円

・仕入80円 -消費税8円

・納税額は10円-8円で2円を納税

というイメージ。

 

8円を差し引くことを「仕入税額控除」といいます。

 

で、インボイスが導入されると何が変わるのか?ですが、


令和5年10月以降は、この8円を差し引くときに「適格請求書(インボイス)」の保存が義務付けられます。


 

保存していないと8円を差し引くことが出来ないということは、

言い換えれば、

仕入先が適切なインボイスを発行してあげないといけない、ということになります。

 

インボイスは消費税の納税義務者でないと発行できません。

すなわち、消費税が免除される事業者は発行できません。

 

だからこそ、

今は消費税を納めなくてもいい事業者(免税事業者)でも、

インボイスを発行できるように、あえて「消費税を納める事業者を選択する」必要が出てくることが想定されます。

 

したがって、インボイスが導入されるまでにやるべきことをまとめますと、


消費税を納める義務のある事業者については、

仕入先をはじめとした支払先に、インボイスの発行が難しそうな取引先はいないかの検証、

該当あれば、インボイスの発行事業者となることを促すことが必要です。

 

消費税を納める義務のない事業者については、

自身の販売先をイメージして、自身がインボイスの発行事業者となるかどうかを検証することが必要です。

で、もしインボイスの発行事業者となる(つまり消費税を納める事業者となる)必要があれば、あえて消費税を納める事業者となることを選択する届出書を提出し、その後は消費税を納めている事業者と同じように、自分自身の仕入先の検証をおこなうこととなります。


 

あくまでインボイス制度は「事業者間取引」に影響するものですので、小売業のように販売先が個人ばかりの場合はインボイス発行を考えなくてもいいケースもあると思います。

 

しかし、小売店で個人で購入したものを、その個人が会社で経費精算するとした場合には事業者間取引となりますので、インボイスが発行されていた方が(購入者にとって)望ましいと思います。

 

例えば、消費税を納めていない飲食店で個人客が飲食を済ませて領収書をもらい、その個人が会社で経費精算をするとしたら、精算をする会社側としてはインボイス記載されていない!と指摘するケースがほとんどかと思います。当然、その領収書に消費税が記載されていたとしても、その消費税は差し引く(仕入税額控除)ことができません。

 

 

また、例えば、

中古車屋さんは個人からの仕入れが多いので、個人からインボイスなんて入手できませんが、、、

 

例えば、

不動産屋さんのように、個人から物件を購入して転売するときも同じ。

その個人のひとは、事業をしていないので、インボイスなんて発行できるはずがありませんが、、、

 

なんてこともあると思います。

 

その中古車屋さんや不動産屋さんは、仕入れの時の消費税を差し引くことはできないの?

と疑問に思います。

 

この場合、

・古物商、質屋又は宅建業を営む者が

・インボイス発行事業者でない者から

・棚卸資産を購入する取引

は「帳簿のみの保存(すなわちインボイス不要)」で仕入税額控除が認められます。

 

こういった「インボイスの交付が免除されるケース」は国税庁のQ&A(問32)でまとまっています。

 

 

いずれにせよ、インボイス(適格請求書)とは


消費税を納める義務のある事業者にとっては、

仕入先も消費税を納めていることの証明書であり、

その証明書の保存が必要。

 

消費税を納める義務のない事業者については、

販売先を考慮して、自らがインボイスを発行する事業者となるかどうかの検討する必要がある。

その機会となる制度。


となります。

 

そしてインボイスを発行する事業者になった場合の「登録番号」は、

・法人の場合は「T」+法人番号(13ケタ)

・個人事業の場合は「T」+数字(13ケタ)※マイナンバーは用いません

となり、国税庁のホームページ上で登録後速やかに公表される予定です。

マイナンバーと違って誰でも閲覧可能です。

 

素朴な疑問ですが、、、上記の通り登録番号はシンプルなものなので、

「本当は実在しない番号が記載されていたらどうするの?」と考えてしまいます。

 

しかし、その場合も、

「必要に応じ、国税庁のホームページ「適格請求書発行事業者公表サイト」(令和3年10月運用開始予定)で相手方が適格請求書発行事業者か否かを確認してください。」とありますので、基本的には自己責任で、ということとなっています。

(当然、本当はインボイスの登録をしておらず登録番号がないのにも関わらず、あたかも登録されあた番号であるかのように誤認されるような記載のある書類を交付した場合には罰則規定付きの禁止規定があります。)

参照Q&A (問76)

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事業再構築補助金3次公募スタート!

2021-08-07

テーマ:セミナー報告動画配信

7月30日は地元商工会さんと共催で「事業再構築補助金オンライン説明会ver.2」でした。

・採択結果の分析

・申請書に書くべきこと

をご説明させて頂きました。

 

 

そして説明会が終わり、ほどなくして事業再構築補助金の3次公募がスタートしています。

 

今回の公募から「最低賃金枠」が創設されたことが特徴で、今後予想される最低賃金の引き上げに備えて、2020年4月以降のいずれかの月の売上が前年または前々年同月比で30%以上減少、などの追加要件を満たせば、優先的に採択される枠となります。

 

最低賃金の引上げを既定路線として、業況の厳しい企業への採択を優先させるという趣旨となるかと思います。

この他にも新たな枠が創設されたり、徐々に制度が複雑化してきた感がありますが、骨格は変わりません。

 

その骨格の一つとして中小企業庁からは「顧客規模」の分析(要は市場分析)が8割がた甘い、と提示があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(セミナーテキストより抜粋)

 

 

そういった中小企業庁からの指摘もふまえつつも、

 

・コロナの具体的な影響

・今のビジネスモデルのままでは厳しい理由

・今の事業から捨てる、減らす、やめる、何か

・新たな取り組み

・新たな取り組みのターゲットとなる顧客規模

・新たな取り組みに立ちはだかる課題と解決方法

・スケジュールと収支計画

 

このあたりの骨格を効率的に記載し、引き続き認定支援機関としてのフォローをしていければと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

普段は見ない海に沈む夕陽を見ながら、

夕陽は落ちてからの方が断然キレイ、と今更ながら気づいた松尾でした。

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決算書はどこから見るか?

2021-07-12

テーマ:事業承継動画配信決算書の見かた

先日は地元での田植え体験会のお手伝い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地域の子供達には最高の教育体験です。

 

この後、秋冬にかけては

・稲刈り体験

・田んぼの運動会

そして

「しめ縄づくり」へと続きます。

 

地域の先輩方に交じってお手伝いが出来て幸せです。

 

 

そして税務。

 

フリーアナウンサーの清水健さまとの動画をふたつ。

 

決算書はどこから見るか?

事業承継とは株の承継

 

事業承継は、まず「後継者選定」にスポットが当たりがちですが、

税理士の立場からはむしろ株に始まり株に終わります

 

そして株式の承継と決算書は完全にリンクします。

 

今後、動画でもう少し掘り下げていきたいと思っています。

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