税理士松尾ブログ
根付きすぎて、根付いていることすら気付かないこと。
2019-09-25
テーマ:税理士@松尾
学生の頃、村上龍氏の「イン・ザ・ミソスープ」という小説を読んだことがあり、
淡々と進む物語の途中から突然、凄絶な展開が繰り広げられ、
まるで映画館で映画を見ているような錯覚で食い入るようにその先を読み続けた記憶があります。
(体験だけが先行して話の内容はよく覚えていませんが。。。)
それに似た感情をよみがえらせてくれた、この書籍。
淡々と遺跡の説明が進むと思いきや、
終盤につれて著者の豊かな感情が繰り広げられます。
一日に2回読み返したのも久しぶりの経験でした。
私のイメージでは、
・縄文イコール土器。
・稲作文化の浸透とともに滅びた。
それくらいの知識しかない中、
・縄文人も稲作をおこなっていた
・稲作により「余剰」が生まれ、中国大陸では争いが絶えなくなっていることを縄文人は知っていた
・よって稲作を受け入れるかどうかの葛藤があった
・政治と祭祀に特化したヤマト王権は縄文回帰の拠点であった
・江戸時代もまた、縄文回帰が原点
1万年もの間、各方面から渡来人を受け入れ、
和の精神をはぐぐんだ下地があってこその今日。
私たちはもっと「日本的経営」に自信を持たねばならないな、
と改めて感じます。
「Win-Win」とよくいいますが、
「Win-Win」すなわち「損得」だけだと、
悪いことをしようとしている人に武器を渡しても、そこだけみれば「Win-Win」になっちゃう。
近江商人が三方良しといいましたがまさにその通りで、
「Win-Win」プラス「理念」「価値観」が大切。
稲作は人々を劇的に豊かにするのは分かってはいるものの、
それをやってどうなるのか?
大いなる葛藤の元、結果的には稲作を受け入れたわけですが、
それでも「和」の精神、多神教の精神は今も強く根付いています。
根付きすぎて
当たり前になりすぎて
根付いていることすら忘れてしまっている。
どの企業にも、
当たり前に思っていることにこそ、実は価値があるのだと思います。
経営者とともに行くシンガポールツアー
2019-09-22
テーマ:セミナー報告
税理士法人あおばの関連会社として
「一般社団法人フライト」
という会社を運営しています。
事業内容は大きく2つで、
・経営のセカンドオピニオン
そして
・中小企業の海外活用
です。
「海外活用」という言葉を用いているのは
「海外進出」と区別するためです。
海外進出は華やかですが、
特に中小企業にとってはリスクとコストが最も高く、
最終段階で考えるものと捉えています。
(もちろん海外進出の際は、現地の信頼できる士業のご紹介もしています。)
海外活用の軸足はあくまで国内(地方)で、
技術やノウハウを輸出するイメージです。
その(一社)フライトの恒例行事となった
「経営者とともに行くシンガポールツアー」。
F1の近づくシンガポールへ、
今回は4名の経営者とともに
9/12から9/14の道程で行って参りました。
テーマは「士業を通じた出会い」。
・シンガポール国内で飲食店を20店舗以上展開する奈良出身社長
・シンガポールでの資産運用(この方も奈良県民)
・シンガポールと奈良をつなぐインバウンド事業ミーティング
・車で90分で物価も人件費も1/3。ジョホールバルの活用方法を現地士業から
・現地介護施設への日本のサービス移転の可能性
・不動産事情と物件視察、日本のリタイア組への案内可能性を探る
・お子様向け1〜2週間の短期留学制度のご案内
・ジョホールバル現地士業とお食事
・マリーナベイ周辺を散策しつつ、IRの本質的要素を現地専門家から解説
(参加者の営む事業によって毎回アレンジしています。)
これらすべて「士業」を通じた人脈でご紹介することで、
ビジネスの基本である「信頼性」を担保しています。
そしてただビジネスライクに昼間ミーティングするだけではなく、
出来るだけ夕食も共にし、昼間のお話をさらに深堀りできるようにしています。
そしてシンガポールはすごいよね、
で終わることのないように、
で、奈良はどうするの?
という視点で「出会い」を活かすべくツアーを組んでいます。
マリーナベイ周辺を散策する時間帯もありますが、
マーライオンではなく、
「関西でこれから起きようとしていること」をテーマに
こういうIRの本質的なところを視察します。
本業に活かす要素ばかりなのでツアー料金も全額損金でOK^^
これから人口の増えない関西。
どうやって次代につなぐか。
どうやって中小企業もコミットするか。
出会いから生まれる気づきをこれからもご提供していくつもりです。
「ミント」に出演させて頂いたのはいいのですが。。。
2019-09-18
テーマ:セミナー報告
軽減税率について解説してほしい、
とのことで
毎日放送の「ミント」という番組に出演させて頂きました。
学べば学ぶほどにその異様さが浮かび上がるのが軽減税率の世界。
原則は
・お酒以外の飲食料品の譲渡
・定期購読の新聞
が軽減税率(8%)の対象になります。
しかし、それを現実社会に落とし込むと、
・定期購読の紙の新聞は8%
・コンビニで紙の新聞を買うと10%
・電子版は10%
と異様なことに。
今回話題に上がった「おせち」をめぐっては、
・ガンダムおせちは8%
・ミニオンおせちは10%
・くまモンおせちは8%
と???の有り様です。
それぞれキャラクター柄の重箱に入れられた1万円以上する高額商品で、
同じ「おせち」なのに適用される税率が違うのでさっそく混乱を招いているそうです。
何が違うかというと、
ポイントは、ミニオンおせちには「保冷バッグ」がついていること。
「おせち」という食品と、「保冷バッグ」という食品以外のものが
セットで売られている(一体資産)というとらえ方となり、
純粋に食品じゃないよね、ということで10%が適用になります。
「一体資産」となれば、
・税抜対価が1万円以下
・食品に係る部分の占める割合が3分の2以上
の2つの要件を満たさない限り、10%となります。
(2つの要件を満たせば8%)
先ほどの10%のおせちのケースでは、
・おせち+保冷バッグのセットで20,000円だとすると、
⇒税込み22,000円(10%)
仮にこれを、
・おせち19,000円、保冷バッグ1,000円と別建て表示していると
⇒税込み21,620円(保冷バッグのみ10%で21,620円)
と税抜きでは同じ20,000円でも、消費者にはお得になります。
・セット販売にしているか
・セット価格かどうか
がポイントになります。
その他、
「軽減税率はいつまで?」
というご質問もありますが、
軽減税率はキャッシュバック制度とは違い、恒久措置です。
最終的には個別ケースごとに判断するしかなく、
特に10,000円をこえる飲食品の高額商品の
扱いがある方は十分な注意が必要です。
いま使えるお金はどれくらい?って時のよりどころ
2019-08-28
テーマ:決算書の見かた
先日、
「松尾さん、こんど真剣に財務の相談をしたいんだけど。。。」
というご連絡を頂きました。
「え?真剣ってなに?今までも結構話してきたけど、、、」
と思いつつ実際にお話しを聞いてみました。
要は、
自分(社長)としては今いったいいくら使えるのかを知りたいのに
経理から上がってくる情報を聞いても、いろいろ数字を並べられて
結局分からない!ということでした。
試算表をもとに
今のところ利益はこれだけしか出ていなくて、
でも減価償却はこれだけ計上しているからどうで、
減価償却は最近買った資産が定率法だから今期は多めに計上されていて、うんぬん。
要は損益計算書(P/L)の情報ばかりが経営者のところに上がってきているようです。
これは、われわれ税理士事務所のご指導不足。
経理部門はただ単に情報を処理する部門ではなく、
情報を発信する部門でなくてはなりません。
処理ではなく、発信。
その発信の仕方を私どもの方でご案内し切れていなかったと反省。
損益計算書(P/L)はいわば成績表で、
期間が過ぎればリセットされるものです。
流れ星のごとく、たとえ利益が出た期があっても、通り過ぎて消えてなくなります。
一過性の成績表ではなく
財布の中身(貸借対照表(B/S))を見なくてはなりません。
➀総資産をみて会社の全財産をつかみ、
②その資産のうち現金・換金性の高い財産をつかみ、
➂反対に、負債のうちすぐ払わないといけない負債をつかみ、
➂そこでようやく損益計算書を見て固定費(人間でいえば生活費)をつかみ
投資可能額を割り出します。
そこから融資に頼らないといけない金額も見える化できます。
BS⇒PLの順でみましょう、ということで事なきを得ました。
他にセカンドオピニオンで受件したケースであったのは、
部門別管理をしているケース。
10個ほどの部門に分けて部門別管理をされています。
売上を部門別に分け、
原価を部門別に分け、
人件費も固定費も(見た目は)きれいに部門別に分けて
部門別の利益を表示されていました。
で、各部門の責任者から不満が噴出しているケース。
人件費や固定費の分け方に公明正大さがないのが原因です。
いや、「公明正大に」部門別に経費を割り振ることは不可能です。
というより細かく分けだすとキリがありません。
人に関し、その企業様は、ある部門専属の人間はわずかで、
一日のうちこの部門の仕事もし、他の部門の仕事もし、、といった具合。
経理としては相当労力をかけて部門別に仕分けしているものの効果は少ない、
という非生産的な結果となっていました。
で、今期からは人件費と固定費は部門別管理をやめることとしました。
売上から原価を差し引いた「粗利益」をまずは管理していく方針です。
会社によってテーマはさまざま。
解決には「数字」が必要です。
数字の読み方と使い方の重要性がますます増している感があります。
マネジメントレポートが自動出力される機能を備えた
会計ソフトがどんどん増えています。
見た目はグラフできれいでも、きれいでおしゃれなだけでは意味がありません。
そこから「シグナル」を見つけ出す定期的な財務ミーティングこそ重要です。
AIには「一緒に考える」ということはできませんから。
ソフトバンクG 納税ゼロの波紋
2019-08-21
テーマ:経営を守る情報
「ソフトバンクG 納税ゼロの波紋」
という記事が日経に載っていました。
⇒記事
海外子会社からの配当については95%が非課税(益金不算入)となる制度を利用してのものですが、
これは何も法のスキマを縫うようなことではなく実務的にも出てくることです。
制度の目的は日本国内への資金還流です。
トランプ大統領も、アメリカ国内への資金還流を意図して就任時の税制改正でこれを導入しました。
いわゆるレパトリ減税といわれるもので、
それまでは
・アメリカ国内に還流させたらアメリカ国内所得と合算して課税
・でも還流させていなければ非課税
というものを改正し、
・アメリカ国外からの配当は100%非課税
・しかし配当(還流)させていないものに対しても例えば現金には15.5%で課税する
という改正を加えたもの。
効果は大きかったようです。
⇒記事
ソフトバンクもこの制度で還流を受け、
今回はそこに経済合理性にもとづいた組織再編行為も重なった結果のことだと思われます。
国外で儲けを出し、国外で再投資をする限り、
企業業績がいくら良くても、日本国内でその豊かさをなかなか実感できない、。
これは近年ずっと言われ続けていることですね。
外で稼いだものをいかに国内に還流させ、
その資金でもって国内へ投資し、再び外へ売る。
よく言う
地産地消(地元のものを地元が消費する)も大切ですが、
地域経済を考えると、
地産外商(地元のものを外に売る)ことや、
地消地産(地元で消費されているものを地域外に頼るのではなく地元でしっかり生産する)ことも、
これから人口の減るこの国では大切になるな、と考えるきっかけとなった一件でした。
節税の王道は税率の○○
2019-08-18
テーマ:経営を守る情報
今月に入り、
今年ご相談が増えたテーマってなにかな、と振り返っていますと、
やはり
・事業承継(とくに株の移転)
・法人成り(個人事業を法人へ改変)
が挙げられます。
中でも株の移転に関しては
ほぼ毎日と言っていいほど話題に上ります。
株の移転とは必ずしも「節税」とイコールではなく、
まず取り組むこととしては
・税務上の株価の確認
・自身の相続シミュレーション
・名義株の整理
・株券発行会社でないかどうかの確認
・生前贈与の方向性(相続税と贈与税、どちらで払う方がいいか)
このあたりを整理してから「節税」というテーマが出てきます。
節税の王道は
「少ない金額を長期間で」
というのが大原則です。
そしてもう一つ、
「税率の固定」
という原理原則もございます。
例えば株を会社で買い取れば、
配当と同じで扱われ役員報酬と一括で累進課税の対象となり、
所得に応じて税率が上がります。
つまり、税率が固定されません。
しかし例えば
相続後に会社にて買い取る場合は、
要件を満たせば配当ではなく譲渡として所得税等が20.42%で固定されます。
その他にも(一長一短ありますが)
相続時精算課税制度で贈与税率を20%で固定することや、
法人税も税率はほぼ固定化されているといえますので、
グループ体制を見つめなおした結果、
株式や財産を法人に持たせ、
さらにホールディング化も視野に入れることもしばしばです。
その法人をめぐっては、
売上がだんだん増えてきたから、とか消費税があがるから、
という理由で急いで個人事業を法人にしたいというケースも少なからずありました。
私どもで対応させて頂くケースでは、
1年以上前から法人成りを検討するケースが多く、
必ず社会保険や役員報酬の事前シミュレーションをおこないます。
結果として社会保険料や事務的な負担に耐えられず、
法人を休眠させて個人に戻る、ということのないようにしなければなりません。
事業承継にしても法人成りにしても、
法人ができる、ということは別人格が出来るということであり、
自分の分身なり子供が出来るのと同じイメージです。
その分身なり子供に将来どうなってほしいのか、という想いをもとに、
事業承継や法人成りのご一族にとっての選択肢を検討していければと思っています。
第100回あおばセミナー
2019-08-04
テーマ:セミナー報告
平成16年4月。3つの税理士事務所が合併してできた「税理士法人あおば」。
創設から15年目。
平成20年に私も加入し、その平成20年からコツコツと継続してきた「あおばセミナー」。
次回がちょうど100回目。
9月7日、日航ホテル奈良で一つの節目として記念講演会を企画しています。
人間は「生きている」そのこと自体に価値があるのと同じように、
地域経済を支える地域企業も「生きている」「存在している」そのこと自体に価値があると
考え企画をしています。
第一部
一般社団法人国際教養振興協会(http://www.icpa.jp/)代表理事の東條英利様による、
「日本人の可能性」について
東條英機元首相の直系ひ孫として生を受けたがゆえに、その血筋から様々な経験をなされ、
今や神社研究の第一人者となられ、海外でも日本人の可能性を語り続けておられる方です。
「生きている」「日本人として生きている」ことの可能性を語って頂きます。
第二部
株式会社シャノン(https://www.shanon.co.jp/)代表取締役社長の中村健一郎様による、
「経営者として生きる」こと
高校時代の同級生で奈良県民。
大学時代に「シャイン、オン(Shine On)」略して「シャノン」や!
ということでゼロから会社を立ち上げ、困難を切り抜け企業として生き続け、2017年ついに上場。
その経験談を語って頂きます。
第三部
講演会の後は記念パーティー。
私どもからは感謝の意を伝え、ご参加者にとっては素敵な出会いの場となればと思っています。
地方において企業は、その存在価値はとりわけ高いものがあります。
貴重な雇用の受け皿であり、まちの風景そのもの。
と同時に、いま日本の地方には大手チェーンが次々進出し、まちの風景が日本中どこでも同質化しつつあります。
その中でも自らの存在価値を再認識し、これからもともに歩む一つの節目にできればと思います。
15年歩んでこれた、100回開催してこれた、感謝をこめて。
すでに100名を超える皆さまにお申込みいただいていますが、
ご案内を差し上げていてお申し込みがまだの方はお早めにお申込みいただけますと幸いです。
MY LIFE vol.1
2019-07-31
テーマ:税理士@松尾
7月27日土曜日。
【普段近くにいる人にこそドラマがある】
ということで開催したイベント
MY LIFE
中学生・高校生・大学生・そして社会人にお越し頂きました。
スピーカーは3名でそれぞれ私が30代のころに頂いたご縁。
ホント、出会いで人生は変わるし
出会いで成長するものだと思います。
住職と社会福祉法人の理事長を兼務し、いまや世界を股にかけて
日本の教育プログラムを輸出されている上山さん。
奈良を愛し、市役所にご勤務されている吉本さん。
東大出身で親しみやすくスマートで、熱いハートの持ち主。
必ず生産者と腹を割って話しをし、
その上で天理の味を、東京は麻生十番で発信し続ける木村さん。
みんな単純にカッコイイ。
大好きな大人たち。
どんな思いで仕事をしているのか、
人生の転機はどこだったのか、
そして若者に伝えたいこと。
出会いで人生は変わりますが、
話を聞いたり、話をしたりしなければ、
「出会っている」ことには気づかない。
だから私たちは、
私たちがカッコイイと思っている大人と、
これから地域をになっていく子供たちとの
「出会いの場」として開催しました。
わざわざ都会に行かなくても、
都会から高いお金を払って人を呼び寄せなくても、
普段から地域に根付く人間にドラマがある。
土曜日の午前中の催し物でしたが、
朝っぱらから泣きそうになることしばしば。
本当に、お三方には感謝しかありません。
41歳経営者。
ヒマではない中、少しでもいいと思うことであればまずは行動。
そして継続が大切。
そんな想いで企画しました。
固定費削減の切り札か?
2019-07-21
テーマ:経営を守る情報
奈良県内の税理士・弁護士などの士業の先生方にお集まりいただいている
「奈良ASPO」。
急な呼びかけでしたが、お集まりを頂き、
「選択制確定拠出型年金」についてのミニ研修会を開きました。
給与の手取はほとんど変わらず、
節税でき。
社会保険料も節減でき、
運用益も非課税で、
受取時の退職所得として税制優遇。
メリットが圧倒的に多いにもかかわらず、
少なくとも従業員数100人以下の中小企業にはまったく浸透していないこの制度。
役員であれ従業員であれ、冷静になって給与明細を見ると、
天引き額の多くを占める「厚生年金保険料」。
基本的には掛けた金額を将来にわたって受け取る制度ですが、
現役世代の人間からすると、これだけ天引きされるのであれば自分で運用したい。
と思うのも当然のことと思います。
また、社会保険料は法人と折半して支払うため、
昨今の厳しい経営環境において社会保険料の負担は非常に大きいのも現実。
こういった状況に一助となるのが「選択制確定拠出型年金」であり、
メリットも非常に大きい。
・導入に手間がかかること。
(だいたい半年)
・60歳までは積み立てたものを引き出せないこと。
などとデメリットも当然あります。
しかし、メリットの方が圧倒的。
老後資金が2,000万円不足する云々の話題も後押しになるのかもしれません。
中小企業に浸透しないのは、
「推奨する人間がいないから」というのが大きな理由として挙げられます。
導入費用も非常に安く、企業にとってはこの点もメリットなのですが、
それは裏を返せば推奨側には
・手間がかかって
・フィーが安い
ということにもなります。
お客様と継続的な関係性を築いている「士業」が推奨をやりませんか?
ということで企画しました。
遅ればせながら、
税理士法人あおばでも導入手続き中です。
今日ご参加頂いた士業の方だけでも、
税理士2名
弁護士2名
社会保険労務士2名
不動産鑑定士1名
行政書士1名。
その後の懇親会も、やはり違う専門領域の士業同士でお話をしていると驚くこともしばしばで、
やはり、
お客様の「経営を守る」ために、士業の壁を「溶かす」コンセプトの奈良ASPO、
これからもお役立ちの道を追求し、輪を広げなければ、と感じた研修会でした。
法人の「必要保障」の考え方
2019-07-15
テーマ:経営を守る情報
法人保険をめぐる税制改正によって、
これからの法人保険は
・保障
・福利厚生プラン
・倒産防止共済
が主流となるのではないかとお伝えさせて頂きました。
⇒参考ブログ:いわゆる「節税保険」の取り扱いが決着
取扱い改正後も半額損金が維持される「福利厚生プラン」についてもパブコメにおいて「今後も引き続き注視する」とのことですし、
医療保険の名義書き換えプランも駆け込みが予想されるところです。
しかしまずは王道である「保障」目的の保険についての基本的な考え方をおさえる必要があります。
よく、「個人でもう入っているから」ということも言われます。
この点については
個人で入る死亡保障
⇒遺族のためのもの
法人で入る死亡保障
⇒会社のためのもの
と切り離して考なければなりません。
法人設立をお考えのご相談者さまに、
「会社は自分の子供がもう一人できるようなものです」と申し上げることがしばしばです。
「会社」という子供のための保険、
人間である自分の子供のための保険、
これを分けて考えるのは当然のことです。
「会社のための保障」という点を財務の視点からもう少し細かく分類すると、
・借入金や買掛金などの負債からキャッシュ量を差し引いたもの
・固定費の6〜12か月分
(上記2点は法人税の課税を加味する必要があります。)
・退職金資金
これらを今、会社で準備できていない部分を保障でカバーするのが基本的な考え方です。
この点は会社の
・損益計算書
・貸借対照表
・役員報酬の水準と在任年数
などから判断していくこととなります。
今回の改正を受けて、私のところにもさっそく様々な保険商品情報が舞い込みますが、
まずは今回の改正を機に保険本来の効用である保障が担保されているかどうかの確認が必要かと思います。
令和元年7月。再スタート。
2019-07-10
テーマ:税理士@松尾
毎年恒例の7月1日。
経営計画発表会。
奈良に戻って10年目。
税理士事務所に身を置いて20年目。
個人的にそういった節目にもあたる年。
委員会やユニット(課)を入れ替えて臨むこととしました。
経営計画発表会をし始めてから6年ほどが経つと思います。
その間、新しいお客様との出会いは200件近くになると思います。
とにかく
多面的に
長期的に
根本的に
専門知識を用いて考え、
それを、わが社独自の伝え方で分かりやすくご提供する。
そしてとにかく発信をする。
第二木曜日に設定して平成20年から始めた「あおばセミナー」だけでも99回目を迎えようとしています。
有難いことに培うことが出来てきた信頼と実績をもとに、
今年を節目として、3年でもなく5年でもなく、
4年計画の最初の年としました。
尊敬する、資産税専門税理士の三瀬からも計画発表。
全体的な発表は弊社第3代代表の南谷から。
会社規模はわが社とは比べ物にならないですが、
かのトヨタ自動車が今、これほどまでに危機感を募らせている根源は、
Maasやカーシェアリングが普及するとクルマ需要が劇的に減る、というところにあるように思います。
⇒参考ブログ:トヨタと向き合う
私どもの業界でも、かつては弥生会計を買収したライブドアが税理士法人を立ち上げたりと、
これからも激震がどこから来るか分かりません。
そんな時代を生き抜き雇用を守り、お客様とその地域に価値提供をし続けるために
選んだテーマは「進化」。
進化とは、
ステル
アラタメル
アタラシクスル
ことであると共有しました。
そこから出てきた期間である「4年」という時間軸。
くしくも、
税理士法人あおばの初代代表である池田が立ち上げに深くかかわった
近畿青年税理士連盟奈良支部も創立50周年。
光栄にも記念式典の司会をさせて頂くこととなり、
何かご縁と義理を感じ、こちらも全力で全うしてまいりました。
わたくしは池田と面識はございませんが、
同族関係で経営承継をしていない税理士法人あおばだからこそ分かる、
「お客様の経営を守る」という精神性。
進化。
変わるもの。
変わらないもの。
変えてはならないもの。
令和元年7月。
再スタート。
節税保険?の取り扱いが決着
2019-07-03
テーマ:経営を守る情報
いわゆる節税保険は節税にならない、
ということを昨年ブログにアップしました。
そして先週の金曜日(6月28日)、
・解約返戻率が高くて
・損金性も高い、
節税保険(?)の今後の取り扱いが決着しました。
・解約返戻率ピークが50%超70%以下の商品
⇒一定期間、40/100を資産計上(60%損金)
・解約返戻率ピークが70%超85%以下の商品
⇒一定期間、60/100を資産計上(40%損金)
・解約返戻率ピークが85%超の商品
⇒最低でも10年間は、ピーク返戻率の90/100を資産計上(損金性ほとんどなし)
となります。
適用は7月8日以降の契約が対象ですので既契約には影響はありません。
また、すでに保険各社は販売をストップしているので駆け込み販売もほとんどないかと思います。
そしてもう一つの論点であったのは、
短期払いのがん保険。
これは
・解約返戻金がなく
・短期間のうちに保険料払い込みを完了させた
・終身タイプがん保険
は、支払の都度損金算入できるという「例外的取扱い」のゆくえ。
短期のうちに払い込んでしまって(もちろん全額損金処理)、
個人へ契約者変更する(法人から個人へのプレゼント?)、というスキームが用いられてることがあります。
会社に損をさせる、という意味で会社の財務は痛めます。
で、これは10月8日以後の契約から、一被保険者あたり同種の年間保険料が30万円以下である場合に制限されました。
「一被保険者」あたりですので、保険会社を問わず被保険者の合計額で判断することになります。
ここを10月8日以後にしたのはまだ販売が続いているからでしょう。
したがってこれからの法人保険は、
・保障
・規定をつくって被保険者を各人にするなど手間はかかるけれど、今後も1/2まで損金にできる、いわゆる「福利厚生プラン」
・倒産防止共済
が主流となると思われます。
パブリックコメントでは、福利厚生プランについて「引き続き注視する」旨のコメントがありますので要注意。
個人的には、最近やはり「事業承継」関連で個人保険を活用するケースが増えてきています。
・生前贈与
・遺留分対策
がそれです。
あとは、今まで全損処理してきた保険の解約返戻金がピークになるタイミングで、
解約した時に発生してしまう「益金対策」に悩まされるケースも増えることが予想されます。
今までは、
ピーク時に解約し、その時に益金が発生してしまうのでまた全損の保険に入りなおす、
という延々と続くイタチごっこのようなケースもあったようですがそれは使えなくなります。
(入りなおすときには年齢が上がっているので条件は絶対に不利になります。)
損金をつくるとすれば、
設備投資の予定があるのでしたら「経営力向上計画で即時償却」が最も効果的かと。
ただし、令和3年3月31日までの設備投資には限られます。。。
いずれにしても「節税保険」という販売フレーズに左右されず、保険の本来の効用に着目した活用が根付く後押しにはなりそうです。
新・事業承継税制の動向
2019-06-30
テーマ:事業承継
相続や生前贈与による自社株の移転時、
その100%の納税が猶予される新・納税猶予制度。
私も昨年、多くのセミナーで講師をさせて頂きました。
昨年の平成30年分の適用は全国で522件だったようです。
そこで猶予されている税額の総額は約403憶円。
ということは一件当たり7,720万円の税額が猶予されている計算です。
納税が猶予されるのですから効果は絶大ですが、この制度を受けるための「権利」を得るには、
都道府県に特例承継計画の認定を受けていなければなりません。
期限は2023年3月31日(令和5年3月31日)まで。
今のところ、この認定申請は1,857件あるそうです。
そのうち実行に移されているのが522件ですので、「3分の2」はとりあえず計画だけは提出をして100%猶予される権利を確保しておき、
実行はまだ様子見、ということになります。
この計画はA4二枚のシンプルなもので、あくまで計画書なので贈与の実行までの間は後継者すら変えることが出来ます。
(セミナーtextより)
弊社でもこの「新・事業承継税制」のご提案をしているところは数社ございますが、いずれも税法以外のことを確認して頂いています。
それは、、、「遺留分」。
自社株も将来的な相続財産であることに変わらないので、自社株を一括して後継者に贈与することで、
結果として後継者以外の相続人さまの権利(遺留分)を犯してしまわないか、後々トラブルの引き金にならないか、
十分に留意をして頂いてから実行に移すようにしています。
また、一件当たりの猶予税額が約7,000万円であることからも分かるように、
この制度が本当に効果を発揮するのは、自社株が非常に高額になっているケースに限られます。
「税金がすべて猶予される」という部分だけが一人歩きし、これで何とかなる、と安心してしまっているケースも実務上ありました。
・この制度を受けるためには承継計画の認定が必要なこと。
・税法以外のこと(遺留分)にも気を配る必要があること
・制度が効果を発揮するケースは、意外と限られれた会社さんのみであること
・渡す側、後継者、両方にも条件があること
⇒後継者が役員にすらなっていないケースは論外
⇒登記上は株券発行会社の場合も変更が必要
(セミナーtextより)
まずは特例承継計画の提出による権利の確保と条件面の確認、そして自身にとって本当に効果があるのかの検証から始めていきましょう。
トヨタに「向き合う」
2019-06-26
テーマ:税理士@松尾
トヨタ自動車は数ある日本企業の中でも「一人勝ち」のイメージをもたれがちですが、
最近、その危機感に目を見張ります。
トヨタ社長「単独では生きていけない」 脱クルマ会社への未来戦略
社長に就任早々、
・リーマンショック
・プリウスの事故によるバッシング
・東日本大震災
などさまざまな逆境にもまれた豊田章男社長。
自作自演という情報もあったにせよ、プリウスの暴走事故に際してアメリカの公聴会に呼ばれた時には
何通りもシナリオを想定し、遺言まで書いたといいます。
その後も、北米統括本社をテキサス州はプレイノ市という小さな町に統合させたり
⇒私もいきました。(当時の様子)
CASEという概念の創出とソフトバンクとの新会社設立。
モビリティに関しては、内閣の最重要政策パッケージである「骨太の方針」でも最初にくる国家的な重要課題となります。
奈良の片田舎からではありますが、その動きにずっと注目をさせて頂いています。
何事も、たとえ10分でも「向き合う」ことが大切。
向き合わないと表面の奥に潜む本質に出会うことが出来ないから。
仕事でも、お客様の数字に「向き合う」時間をいかにつくるかを意識しています。
で、日曜日の昼間、トヨタ自動車並びに豊田章男社長に向き合ってみると、
豊田家ということでの表面的な華麗なイメージとは違い、
恐ろしくなるほどの「鋼の塊」でした。
民法の相続関連分野の改正スケジュール
2019-06-23
テーマ:事業承継
民法改正の中の「相続分野の改正」について、
7月から本格的に施行されます。
おおまかなスケジュールは次の通り。
2019年1月13日スタート(施行すみ)
自筆証書遺言に添付する財産目録は、パソコンなど自署じゃなくてもOK
2019年7月1日スタート
・預貯金仮払い制度
⇒参考記事
・遺言執行者の権限明確化
⇒参考記事
・遺留分侵害額の金銭債権への変更
⇒参考記事
・特別寄与分の創設
⇒参考記事
2020年4月スタート
・居住権の創設
⇒参考記事
2020年7月10日スタート
・法務局で自筆証書遺言書を保管する制度スタート
やはり、遺留分の改正が非常に大きく、
そもそも遺留分の対象となるのが相続開始前10年の生前贈与に限られることも非常に大きいように思います。
⇒参考記事
外部リンクは制度の概要を把握するためにおつかいください。
「経営者はまずは(自分の会社の)株式だけでも遺言を。」
私どもとして、事業承継の現場でよく申し上げることです。
遺言・遺留分の双方において改正がなされ、
事業承継にも大きく影響があります。
税務面においても、やはり節税の王道は生前贈与。
まずはご自身の現状分析(推定相続財産の把握と推定相続税をつかむ!)から。
相続税を払うのは自分ではなく残された人。
いざ数字に落とし込むと、ご自身のイメージとは違うかもしれません。
というか、実務上の感覚ベースでは、ご自身のイメージと違っているケースがほとんどです。
人は「ギャップ」があればそれを埋めようと行動に出ます。
目標と現実にギャップがあれば行動します。
イメージと現実にギャップがあれば行動します。
まずは現状認識こそが行動の原点です。
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