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【所得税】年末調整② (改正)

.初 め に

 

毎年12月になると、各省庁からの税制改正の要望を受け、与党の税制調査会が中心となった翌年以降の税制改正

の方針がまとめられます。

これは法律改正のたたき台であり、12月に「税制改正大綱」として発表され、翌年1月召集の国会に提出され

審議を経て法律として成立するという流れになっています。

税制改正大綱は、時の政治情勢や経済構造の変化を反映するものです。

2018年度・2019年度の税制改正では、働き方の多様化を踏まえ「働き方改革」を後押しする観点から、

所得税課税の見直しが行われました。

所得税は家計に直結する税制であることから、所得税の急激な変動を避けるとともに、子育て世代に配慮し、

準備期間を十分に確保し、改正が令和21月から施行されています。

 

上記の改正のうち、令和2年度の年末調整に係る主な改正事項は次の通りです。

 

  1. 給与所得控除が一律10万円引き下げられました。
  2. 基礎控除額が一律10万円引き上げられました。
  3. 基礎控除を適用する場合「基礎控除申告書」の提出が必要となりました。
  4. 所得金額調整控除が創設されました
  5. ひとり親控除が創設されました。
  6. 令和2年10月から年末調整手続きの電子化がスタートしました。

 

年末調整の書類の様式についても上記の改正に伴い変更になっています。

給与所得者の年末調整では、通常は次の4つの書類をお勤め先に提出することになります。

①給与所得者の扶養控除等(異動)申告書  令和2年分・令和3年分

②給与所得者の基礎控除申告書(兼)給与所得者の配偶者控除等申告書(兼)

所得金額調整控除申告書 (昨年と大きく様式が変更になっています。)

③給与所得者の保険料控除申告書 (必要に応じて提出)

④住宅借入金等特別控除申告書  (必要に応じて提出)

. 令和2年 年末調整の改正事項

 

それでは改正事項について確認していきましょう。

 

  1. 給与所得控除の改正

 

※給与所得控除額が10万円減額になりました。

※さらに、上限が220万から195万円に引き下げられました。

給与所得の金額は、給与収入から給与所得控除額を差し引いて算出します。

会社員には個人事業者と異なり、原則的に必要経費などの収入から控除できるものがありません。

そのため、必要経費に代わるものとして給与収入から差引くことができる「給与所得控除」が

認められています。

所得税の計算では、給与収入から給与所得控除を差し引いた「給与所得額」を基礎として所得税の金額を

算出するため、給与所得控除が減額になると所得税の増税につながることになります。

  2.基礎控除の改正

 

給与所得控除・公的年金等控除の一部を基礎控除に振り替えることにより、フリーランスや起業、在宅で仕事を

請け負う子育て中の女性など、様々な形で働く人を応援することができ、働き方改革の後押しになるよう

基礎控除額が引き上げられました。

※合計所得金額が2400万円以下の場合、基礎控除額が10万円増額されました。

※合計所得金額が2400万円以下の場合基礎控除は48万円ですが、2400万円を超えると段階的に減額になり、

2500万円を超えると基礎控除が適用されなくなります。

※基礎控除の適用を受けるには給与の支払者に提出してください。

※公的年金控除についても原則10万円引き下げられました。

給与所得と年金所得の双方を有する者については、合計20万円の引下げとなります。

そのため、給与所得と公的年金所得の両方がある方には別枠の所得金額調整控除の適用がありますが、

こちらは確定申告が必要となりますので、ここでは割愛させていただきます。

基礎控除は生活保障的意味合いから設けられていますが、所得が高いほど税負担の軽減額が大きくなります。

生活に十分余裕のある者には措置する必要はないという考えに基づいたものです。

   3.所得金額調整控除の創設

1 「得控除額10万円の減額」と2 「基礎控除額10万円増額」の改正により、給与収入が850万円以下の

給与所得者の税負担には変化がありません。

しかし、給与等の収入金額850万円超の高所得者になると、給与所得控除額が減るため税負担が増加することと

なりました。

≪例えば給与収入が860万円の場合≫

改正前  基礎控除38万円+給与所得控除206万円=244万円

改正後  基礎控除48万円+給与所得控除195万円=243万円

そこで、23歳未満の扶養親族がいる子育て世帯や、特別障害者を扶養する世帯については、負担軽減のため

所得金額調整控除が適用されることとなりました。

【制度の概要】

給与収入が850万円を超える場合の是正措置

(収入金額※ △ 850万円) × 10% = 15万円(上限)

※収入金額1,000万円超の場合は1,000万円

※その年の給与の収入金額が850万円を超える所得者で、次の①②③のいずれかを満たす場合適用されます。

①納税者本人が特別障害者に該当する人

②年齢23歳未満の扶養親族を有する人

③特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有する人

★注意事項

共働きの世帯で、扶養親族に該当する23歳未満の子がいる場合、扶養控除とは異なり、

本人と配偶者の双方で所得金額調整控除の適用を受けることができます。

   4.ひとり親控除の創設

全てのひとり親家庭に対して公平な税制を実現する観点から、「婚姻歴の有無による不公平」と

「男性のひとり親と女性のひとり親の間の不公平」を解消するために、創設されました。

※所得者本人が現に婚姻をしていない人又は配偶者の生死が明らかでない人で、

次の①②③のいずれにも該当する人

①その人と生計を一にする子を有すること。

②合計所得金額が500万円以下であること。

③その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認めれる人がいないこと。

★注意事項

「事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人」とは住民票に、続柄が「世帯主の未届の夫又は妻」

である旨の記載がある場合をいいます。

 

【昨年との違い】

  <イメージ>

   特別の寡婦、寡夫控除        →  ひとり親控除

  ・控除額の変更     27万円    →    35万円

  ・所得要件の追加   所得要件なし → 所得金額500万円以下

  ・事実婚者       控除可   →    控除不可

 

. 年末調整の電子化について

 

令和210月以降の年末調整においては、従来の書面で添付していた生命保険料控除証明書に替えて、

生命保険会社から交付を受けた控除証明書のデータを添付して提出することができるようになりました。

(2020年度末時点では、一部の保険会社に限られます。)

これに伴い国税庁は無償で年末調整ソフトの提供を開始しています。

 

年末調整手続きの電子化により次の業務の省力化が期待できます

※控除額の検算が不要(給与支払者)

※年末調整関係書類の保管コストの削減(給与支払者)

※控除証明書の転記・控除額の計算が不要(従業員)

※控除証明書データを紛失しても再取得が容易(従業員)

しかし、年末調整の電子化に向けては、従業員が使用する控除申告書作成ソフトの選定を検討し、従業員へ周知

することが必要になってきます。(控除証明書データの取得等にはマイナポータルとの連携を利用する等)

給与支払者の準備としては、所轄税務署長宛に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による

供の承認申請書」を提出し承認を受ける必要があります。

令和3年度からの年末調整手続きの電子化に対応するには、今から準備することが必要です。

なお、税務判断は事例ごとに個別具体的に行う必要がございます。詳細は顧問税理士や担当者とご相談下さい。

また、本記事に掲載されている情報を基にご自身でご判断、処理された事項については弊社では責任を

負いかねますので、ご了承ください。

 

【所得税】年末調整 基礎編

近頃テレビのCMなどでマイナポイントのニュースを見かけるようになりましたね。マイナンバーカードを持っていればキャッシュレス決済で25%相当のポイントがもらえるということで、マイナンバーカードの申請をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。かくいう私もその口ですが、このマイナンバーカードがあれば、今年の年末調整の書類作成が楽になるということをご存知でしょうか?

平成30年の税制改正で年末調整手続きの電子化が決定し、令和2年10月以降の年末調整関係事務から適用されます。生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン減税にかかる書類などは、これまでは郵便で保険会社などから送られてきていた書面を会社に提出していましたが、これからは保険会社などが対応していれば電子データでもらうことができるようになりました。さらに、このデータは、マイナンバーカードがあればマイナポータル連携でまとめて取得できるようになるのです。そしてその電子データは電子データのまま会社に提出もできます。

※地震保険料控除証明書とマイナポータルの連携は2020年は見送られました。

但し、マイナンバーカードがあれば、と書きましたが、あってもなくても国税庁のHPからダウンロードした年末調整アプリを使ってパソコンやスマホで年末調整の書類は作成できます。印刷すれば会社に紙で提出できますし、会社が認めていれば電子データで会社に提出できます。また、一度入力すれば、来年からは同じことは入力しなくてもいいので、年末調整がもっと楽になりそうです。

でも、毎年、年末になるとややこしい書類を書く代わりに、源泉所得税が還付されてお小遣いをもらったような気分になっていますが、なぜもらえる(たまには払う)のでしょうか?
それは、源泉徴収義務者(給料や報酬などの支払をする者(所法6))は、給料などを支払う際、その給料の金額などに応じて定められている所得税の額を計算し、その所得税額を差し引いて(源泉徴収)、一定の期日までにその源泉徴収した所得税を国に納付する義務があり(所法183①)、さらに、その年最後に給与等の支払をする時に源泉所得税の精算を行って過不足を調整するように法律で定められているからです。

ということで、その精算時期が近づいてきましたので、年末調整についてまとめました。

 

Q1 年末調整とは何ですか?

A1 給与等から差し引かれている源泉所得税の精算手続きのことです。

 

毎月の給料・賞与など(以後給与)から差し引かれている所得税及び復興特別所得税(以後、所得税等)は源泉徴収税額表に基づいているため、その所得税等の年間合計額と、給与等の年間合計額から求められた1年間に納めるべき所得税等は必ずしも一致しません。その差額を精算するために給与の支払をする者が行う手続を年末調整といいます。過不足があるときは、その超過額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収すべき所得税に充当(還付)し、その不足額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収してその徴収の日の属する月の翌月十日までに国に納付しなければならないとされています(所法190)。

 

1年間に納めるべき所得税及び復興特別所得税 その1年間に給与から源泉徴収した所得税及び復興特別所得税の合計額 ・・・ 徴収

 

1年間に納めるべき所得税及び復興特別所得税 その1年間に給与から源泉徴収した所得税及び復興特別所得税の合計額 ・・・ 還付

 

給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいいます。(所法28①)
給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額(複数ある場合は合計額)から給与所得控除額を控除した金額です。(所法28②)

給与所得の金額=給与収入の合計金額―給与所得控除額

 

給与所得控除額は令和2年からは次の算式により求めます。(所法28③)

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,625,000円まで 550,000円
1,625,001円から 1,800,000円まで 収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から 3,600,000円まで 収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から 6,600,000円まで 収入金額×20%+440,000円
6,600,001円から 8,500,000円まで 収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上 1,950,000円(上限)

 

Q2 年末調整はいつ行いますか?

A2 その年の1月1日から12月31日までの間に支払うべき給与が確定した時。一般的には12月に支払う給与の額を計算するときに行います。

 

但し、年末調整後、その年の 12 月 31 日までの間において、配偶者の合計所得金額の見積額に異動が生じ配偶者特別控除額が変わる場合や、扶養対象者が変更した場合、保険料控除証明書を追加したいなど、年末調整による年税額が減少または増加することとなる場合、翌年の1月31日までにその異動があったことについて給与所得者からその異動に関する申出があったときは、年末調整の再計算の方法でその減少または増加することとなる税額を還付または徴収してもよいこととされています。
したがって、法律で定められた期限である翌年1月31日までは何度でも年末調整の再調整を行うことは可能ですが、一般的にはその年分の「給与所得の源泉徴収票」を給与等の支払者が作成し交付した後は、年末調整ではなく従業員が確定申告をすることが多いです。

 

Q3 年末調整は誰が対象ですか?

A3 12月末と年の途中で対象者が異なります。

 

<12月末に行う年末調整の対象者>
次の①から④のすべてに該当する人は12月末に行う年末調整の対象者となります。
①居住者(「居住者」とは、日本国内に住所があるか又は現在まで引き続いて1年以上居所がある個人)で
「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人
②その年の最後の給与の支払いを受けた人
③給与等の総額が年間2,000万円以下の人
④災害減免法の規定によりその年の給与に対する所得税等について徴収猶予や還付を受けていない人

<年の途中で行う年末調整の対象者>
次の⑤から⑧のいずれかに該当する人は最後の給与の支払の時に年末調整をします。
⑤海外支店等に転勤したことにより非居住者となった人
⑥死亡によって退職した人
⑦著しい心身の障害のために退職した人(退職した後に再就職し給与を受け取る見込みのある人は除く)
⑧12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人

※「非居住者」とは「居住者」以外の個人です。「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。次のいずれかに該当する場合はその者は、国内に住所を有しない者と推定されます。

  • その者が国外において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること
  • その者が外国の国籍を有し又は外国の法令によりその外国に永住する許可を受けており、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有しないことその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が再び国内に帰り、主として国内に居住するものと推測するに足りる事実がないこと

 

Q4 年末調整に必要なものは何ですか?

A4 以下の書類とその証拠が必要になります。

  • 給与所得者の扶養控除等申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書
  • 給与所得者の配偶者控除等申告書
  • 所得金額調整控除申告書
  • 住宅借入金等特別控除申告書
  • 前職の給与所得の源泉徴収票

 

イ 給与所得者の扶養控除等申告書

給与所得について、毎月の給与や賞与の税額計算の際と年末調整の際とに<扶養控除><障害者控除><寡婦控除>または<ひとり親控除><勤労学生控除>を受けるための申告書。控除対象配偶者、扶養親族、障害者の有無などを記載し、毎年最初の給与等の支払を受ける日の前日までに全員提出。記載内容に異動が生じたときは、異動申告書を提出(所法194、所規73)。
二か所以上から給与等の支払を受ける場合には、主たる給与等の支払者に対しての提出 (所法195)

ポイント

年末調整の際、給与支払者から翌年分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書が配られる場合がありますが、これは翌年の給与等の源泉所得税の計算に用いられるものです。今年の年末調整は今年分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の記載に基づいて行われますので、年初に提出した当該申告書の内容が今年の12月31日時点の状況と異なっていたら、書き直して再提出してください。

 

<扶養控除>
扶養控除の対象(扶養親族)は、生計を一にする年齢 16 歳以上の親族(里子や養護老人を含み、配偶者、青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除く)のうち、合計所得金額が 48 万円(給与所得だけの場合は、給与の収入金額が 103万円)以下の人です。

控除の種類 控除額
扶養控除 一般の控除対象扶養親族 38万円
特定扶養親族
(扶養親族のうち、その年12月31日時点の年齢が19歳以上23歳未満の人)
63万円
老人扶養親族
(扶養親族のうち、その年12月31日時点の年齢が70歳以上の人)
48万円
同居老親等 58万円

 

<障害者控除>
納税者自身、同一生計配偶者又は扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを障害者控除といいます。なお、障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます。なお、障害の度合や同居しているかどうかで控除額が異なります。

ポイント

所得税法上の障害者は、障害者手帳の交付を受けている者だけでなく、介護が必要な者で市町村長等が認定した者(申請により障害者控除対象者認定書の交付を受けた者)も対象となります。その場合は障害者控除対象者認定書のコピーを添付します。
認定書は毎年取得が必要です。また取得には時間がかかるので、毎年夏頃に市役所に申請されるといいです。
初めて障害者控除対象者認定書の交付を申請された時、介護認定の時期により過去分も入手できる場合があります。その場合5年以内なら確定申告(既に確定申告されている方は更正の請求)をされると、所得税が還付される場合があります。

 

<寡婦控除>
①夫と離婚した後婚姻をしておらず扶養親族がいる人
または
②夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人
が対象です。どちらも合計所得金額が500万円以下であることが条件です。控除額は27万円です。

 

<ひとり親控除>
令和2年度から新設されました。その代わり寡夫控除は廃止されました。
婚姻をしていないこと又は配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち、次の三つの要件の全てに当てはまる人です。
①その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと。
②生計を一にする子がいること。この場合の子は、その年分の総所得金額等が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
③合計所得金額が500万円以下であること。
控除額は35万円です。

 

<勤労学生控除>
勤労学生とは給与所得等を有する者のうち、合計所得金額が75万円以下で、合計所得金額のうち給与所得等以外の所得の合計額が10万円以下の者です。控除額は27万円です。

 

ロ 給与所得者の保険料控除申告書

年末調整の際に<社会保険料控除><小規模企業共済等掛金控除><生命保険料控除><地震保険料控除>を受けるための申告書で、給与所得者の支払った社会保険料、小規模企業共済等掛金、生命保険料、介護保険料、個人年金保険料及び地震保険料を記載し、その年最後の給与等の支払を受ける日の前日までに提出(所法196)。 合わせて証拠の提出もしくは提示します。

<社会保険料控除>
社会保険料とは健康保険料や年金保険料等のことです。支払った全額が控除されます。

ポイント

納税者本人分だけでなく生計を一にしている※者の分を支払った時も控除の対象となります。例えば、
・仕送りをしている子の国民年金保険料
・配偶者の年収が130万円以上あるため自分の健康保険の扶養に入ることができないため国民健康保険に加入している場合、その国民健康保険料
・同居して生計を共にしている親の高齢者医療保険料
は控除の対象となります。ただし、年金から控除されている介護保険料等は直接支払ったことにはならないので対象とはなりません。
※「生計を一にしている」とは日常の生活の資を共にすることをいいます。
会社員、公務員などが勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているときや、日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているときは、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

 

<小規模企業共済等掛金控除>
小規模企業共済の他に企業型DCやiDeCo、国民年金基金なども対象です。掛金全額が控除されます。

ポイント

納税者本人が生計を一にしている者の分を支払っても控除の対象とはなりません。

 

<生命保険料控除>
納税者が生命保険料、介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合控除されます。契約開始時期と年間保険料によって控除額が異なります。今から契約した場合、それぞれ年間の保険料が8万円以上で控除額がそれぞれ4万円となります。控除額の限度額は合わせて12万円です。契約者が家族でも納税者本人が支払った場合は控除の対象となりますが、保険の受取人によっては受取時に贈与税や相続税の対象となる場合があります。

ポイント

生命保険料や個人年金保険料は「新」と「旧」に注意してください。
また、生命保険料控除証明書には「〇〇年〇月まで保険料払込額」と「月払・半年払で12月まで保険料を払いこみいただいた場合の額」が記載されています。申告書に記入するのは12月までの額で、さらに年間保険料から配当金を引いた額です。
生命保険料控除証明書には「申告額」と書かれて太線で囲まれています。

ただ、保険料控除が多くて税金が安くなるからといっても控除額に限度があるので、掛け過ぎるのは・・・

 

<地震保険料控除>
地震保険料もしくは旧長期損害保険料を支払った場合控除されます。控除最高額は5万円です。

 

控除の種類 控除額
社会保険料控除 支払った保険料の全額
小規模企業共済等
掛金控除
支払った掛金の全額
生命保険料控除 保険等の種類 旧契約 新契約 両方がある場合
一般の生命保険料 最高5万円 最高4万円 最高4万円
個人年金保険料 最高5万円 最高4万円 最高4万円
介護医療保険料 最高4万円
合計適用限度額 最高12万円
地震保険料控除 地震保険料
のみの場合
最高5万円
旧長期損害保険料
のみの場合
最高1万5千円
両方がある場合 最高5万円

 

ハ 給与所得者の基礎控除申告書

年末調整の際に<基礎控除>を受けるための申告書で、給与所得者のその年の見積合計所得金額等を記載し、その年最後の給与等の支払を受ける日の日までに提出(所法195の3)。

ポイント

これを提出しなければ、基礎控除を受けることができません。 『扶』 と 『基・配・所』は必ず提出しましょう。
給与収入以外の所得がある場合は、その金額も記入する必要があります。給与支払者に知られたくなければ、確定申告してください。(給与・退職所得以外に20万円以上の所得があれば確定申告が必要です。)その際、「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」で「「自分で納付」のチェックボックスに丸を記入することをお忘れなく。

 

<基礎控除>
令和2年分

個人の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超 2,450万円以下 32万円
2,450万円超 2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

 

ニ 給与所得者の配偶者控除等申告書

年末調整の際に<配偶者控除><配偶者特別控除>を受けるための申告書で、給与所得者とその配偶者のその年の見積合計所得金額と見積合計所得金額に応じて計算された配偶者控除又は配偶者特別控除額等を記載し、その年最後の給与等の支払を受ける日の前日までに提出(所法195の2)。

<配偶者控除>

控除を受ける納税者本人の合計所得金額 控除額
一般の控除対象配偶者 老人控除対象配偶者
(その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人)
900万円以下 38万円 48万円
900万円超 950万円以下 26万円 32万円
950万円超 1,000万円以下 13万円 16万円

 

<配偶者特別控除>
令和2年分

控除を受ける納税者本人の合計所得金額
900万円以下 900万円超
950万円以下
950万円超
1,000万円以下









48万円超 95万円以下 38万円 26万円 13万円
95万円超 100万円以下 36万円 24万円 12万円
100万円超 105万円以下 31万円 21万円 11万円
105万円超 110万円以下 26万円 18万円 9万円
110万円超 115万円以下 21万円 14万円 7万円
115万円超 120万円以下 16万円 11万円 6万円
120万円超 125万円以下 11万円 8万円 4万円
125万円超 130万円以下 6万円 4万円 2万円
130万円超 133万円以下 3万円 2万円 1万円

 

ポイント

控除額を計算するために本人と配偶者の正確な所得金額が必要となります。本人の給与収入は見込額が多少間違っていても正確な額を給与支払者は当然知っていますが、配偶者の分は給与支払者にはわからないので、配偶者からちゃんと教えてもらってください。配偶者に給与収入以外の所得がある場合は、その金額も記入する必要があります。
なお、給与収入見込を算出するために毎月の給与明細書及び賞与明細書を見る時は、支給額に課税合計欄がある場合はそちらを見てください。通勤手当など給与には所得税が非課税になるものがあります。課税合計欄がなければ総支給額から通勤手当を引いてください。
配偶者の合計所得が記入時点の見込と異なっていて控除額が変わりそうなら、再度提出してください。

 

ホ 所得金額調整控除申告書

年末調整の際に<所得金額調整控除>を受けるための申告書で、該当する要件などを記載し、その年最後の給与等の支払を受ける日の前日までに提出(措法41の3の4)。詳しくは次回ご説明します。

ハ、ニ、ホは一枚の書類になっています。

ポイント

配偶者の合計所得金額(見積額)が133万円超の場合は配偶者控除等申告書を記入する必要はありませんが、給与支払者には記入不要か申告不要かか判断ができないので、書いていただくと確認の手間が省けます。

 

へ 住宅借入金等特別控除申告書

年末調整の際に<住宅借入金等特別控除>を受けるための申告書。最初の年分について確定申告すれば、その翌年分以降の年分(控除期間内に限られる)については、税務署から送られてきた該当する年の申告書をその年最後の給与等の支払を受ける日の前日までに提出(措法41の3の4)。

 

ト 前職の給与所得の源泉徴収票

退職して別の会社に入社した場合、退職した会社の給与所得の源泉徴収票をその年最後の給与等の支払を受ける日の前日までに提出。

 

いかがでしょうか。

次回は令和2年から改正になった点を解説いたします。

ポイント

今年住宅ローンを借りた人、医療費控除を受けたい人、寄付金控除を受けたい人(ふるさと納税をしたけどワンストップ特例制度の適用をしなかった人、ふるさと納税を6か所以上行ってワンストップ特例制度が適用されない人を含む)、雑損控除を受けたい人は、確定申告が必要です。

 

なお、税務判断は事例ごとに個別具体的に行う必要がございます。詳細は顧問税理士や担当者とご相談下さい。
また、本記事に掲載されている情報を基にご自身でご判断、処理された事項については弊社では責任を負いかねますので、ご了承ください。

 

~参考サイト~
国税庁
『年末調整がよくわかるページ』
よくある税の質問『所得税』

【法人税】圧縮記帳について

「持ち家は負債だ」金持ち父さん貧乏父さんの著者であるロバートキヨサキ氏は資産を「あなたのポケットに

お金をいれてくれる」ものと定義しています。

この定義に当てはめると持ち家は住宅ローンの返済、修繕費という形でお金を奪っていくため、

「持ち家は負債」という結論に辿り着きます。

圧縮記帳の話をする前に念頭において欲しい前提があります。会社の貸借対照表に載っている土地、

建物、車両、備品などの資産は「やがて費用になるもの」と考えて下さい。

これらの資産は売上に貢献するため、「資産は費用だよ」と考えることに抵抗があるかとは思いますが・・・。

 

☆ヘッドライン☆

【1】圧縮記帳とは

  1. 課税されると困る事態
  2. 課税したくない利益
  3. 圧縮記帳は課税の繰延べ措置

【2】会計処理(仕訳)

  1. 補助金など入金時
  2. 固定資産の購入時
  3. 決算時
  4. 資産滅失時
  5. 資産売却時

【3】積立金方式

【4】消費税

 

 

 

1.    圧縮記帳とは

圧縮記帳の物語はまず利益が生まれるところから始まります。

利益は課税される運命から通常逃れることはできません。しかし、あらゆる事情で課税をされると困る事態が

生じます。

そこで、その利益と相殺できる損失を作り、課税を回避させる方法を作りました。この損失が圧縮損であり、

この回避させる方法を圧縮記帳といいます。(後で説明しますが、課税の回避は単年度だけです)

1.     課税されると困る事態

課税されても困らないケースを考えると、困るケースがすっきりします。

①利益がお金として現金で残っているケース

②利益がないケース

この二つのケースは困りません。①のケースは税金が課税されても現金で支払えば済む話ですし、

②のケースは利益がないので、税金がかからないからです。そして通常はこの2つのケースの間にいます。

困るのは利益が現金で残っていないのに課税されるケースです。稼いだ現金をすべて建物や土地の購入に充てた

場合、納税資金がなく困ってしまいます。

困るケースは他にも、稼いだお金をすべて貸してしまったとか、投資有価証券に換えてしまったとか、売掛金と

なっておりまだ回収できていない、などのケースがありますが、これは企業努力で回避できたでしょうから

救済措置はありません。

ここで、建物や土地の購入も同じでしょ?と思った方、その通りです。通常、建物や土地も企業が計画的に購入

します。課税済利益の蓄えや借入金を活用し、困る事態を避けるはずです。

圧縮記帳は利益が生まれるところから始まる、この言葉を思い出して下さい。

 

2.     課税したくない利益

課税したくない利益には次のものがあります。

①固定資産の取得又は改良に充てるための国庫補助金等の交付を受ける場合の利益

②所有固定資産の滅失又は損壊により保険金等の支払いを受ける場合の利益

③交換により生じた差益金

④土地収用法等の規定に基づき収用等され、補償金等を取得する場合の利益

⑤特定資産の買換えにより生じた譲渡益

など・・・この他にもありますが、マニアックなので割愛します。

 

1の国庫補助金を例に挙げると、国がわざわざ補助金を出して、取得することを応援しているのにその補助金に

課税すると課税分の資金が足らず取得できなくなり、交付目的を阻害してしまいます。このような事態を避ける

ため、圧縮記帳を行うのです。

 

ちなみに①-③は法人税法に規定され、④-⑤は措置法で規定されています。何か違うの?と思われるかも

しれませんが、ほとんど変わりません。圧縮損の計算方法や特別償却の適用を受けられるかどうかが

変わります。

法人税法の圧縮記帳は特別償却の適用も受けることができます。

3.     圧縮記帳は課税の繰延べ措置

今までのことをまとめると

国庫補助金などを受け取るとその受け取ったお金は益金として課税がされるため、補助金などを固定資産の購入

に全額充てると納税資金が不足してしまうことになります。この事態を避ける方法として圧縮損という損金を

作ることを認めており、この処理を圧縮記帳といいます。

つまり、補助金などを貰っておいて固定資産を取得しなかった場合や、そもそも補助金などを貰っていない

場合は圧縮記帳の論点になりません。(固定資産を後日取得する予定のときは「特別勘定の設定」という処理を

行いますが、ここでは割愛します。)

 

そして、課税を逃れたという表現をしましたが、実は完璧には逃れていません。逃れたのは固定資産を購入した

期だけで、逃してもらった利益はいつか課税されます。

これを課税の繰延べといいます。いつか課税されるなら、繰り延べても意味がなさそうに見えますが、購入した

固定資産が稼働して売上に貢献するようになると納税資金を生み出してくれるのでキャッシュを生み出す

時間稼ぎをするという意味で課税の繰延べは有用です。また、未来は何があるか分かりません。

単純な例として、1,000万円の土地を補助金300万円貰って購入し、その後その土地を1,200万円で売却したと

想定してみましょう。そして、その中途で何らかのトラブルが発生し、赤字になってしまったとします。

4年間の合計の利益はどちらも700万円ですが、圧縮記帳の方は課税済み利益が300万円少なくなっています。

青色欠損金は未来の利益と相殺されますが、相殺できる期限が決められています。期限までに使えなかった

場合は利益と相殺できる機会を失い300万円に課税されている税金分を取り戻せなくなります。

課税の繰延べの有用性が分かって頂けたでしょうか。

 

 

2.    会計処理(仕訳)

ここでは国庫補助金等に対する圧縮記帳を例に挙げて会計処理を見ていきましょう。

基本的な取引の流れは次の通りです。

 

1.   補助金など入金時

(現金預金) ×××                                   (国庫補助金等受贈益) ×××

補助金の返還不要が確定していないときは仮受金としておき、確定したときに利益に計上します。消費税は

不課税取引になります。

 

2.     固定資産の購入時

(固定資産) ×××                                   (現金預金) ×××

固定資産が土地であれば非課税仕入れ、それ以外であれば課税仕入れとなります。

 

3.      決算時

直接減額方式

(固定資産圧縮損) ×××                         (固定資産) ×××

 

積立金方式

(繰越剰余金) ×××                                (固定資産圧縮積立金) ×××

どちらの方式であっても消費税は不課税取引になります。

 

4.    資産滅失時

直接減額方式

(固定資産除却損)×××                            (固定資産)×××(減額後の金額)

 

積立金方式

(固定資産除却損) ×××                         (固定資産)×××(減額前の金額)

(固定資産圧縮積立金) ×××                  (繰越剰余金) ×××

どちらの方式であっても消費税は不課税取引になります。

 

5.      資産売却時

方式共通仕訳

①(現金預金) ××× (固定資産売却益・損) ×××

土地は非課税売上、それ以外は課税売上となります。

 

直接減額方式

②(固定資産売却益・損)××× (固定資産)×××(減額後の金額)

 

積立金方式

③(固定資産売却益・損) ×××            (固定資産)×××(減額前の金額)

④(固定資産圧縮積立金) ×××              (繰越剰余金) ×××

 

どちらの方式であっても消費税は不課税取引になります。

 

税効果会計を使っている方で積立金方式を選択する場合は圧縮額に法定実効税率を乗じた金額を繰延税金負債

として計上する必要がありますが、ここでは割愛しております。

 

また、積立金方式は利益剰余金を加減算しますので、一見株主総会の決議事項に含まれそうですが、

会社計算規則1532項にて不要であると規定されています。株主総会の決議を省略できますので、

実務上は決算手続きに含めて処理することになります。

 

3.    積立金方式

さらっと直接減額方式とか積立金方式という仕訳を記載しましたが、改めて説明します。

次の文章は法人税法42条の条文です。国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入について書いて

あります。読み飛ばして大丈夫です。

 

「経理したときは」と書かれているのが見えますか?これはつまり、補助金を貰い、それを使って固定資産を

購入するだけではなく、圧縮記帳を使います、と意思表示することが必要だということです。意思表示は

直接減額方式(帳簿価額を損金経理により減額する方法)か積立金方式(確定した決算において積立金として

積み立てる方法)で経理することによって示します。

 

方式の違いは損益計算書と貸借対照表どちらにも影響がありますが、下の図は貸借対照表を取り上げています。

分かりやすいよう極端な例示にしています。補助金900万円で土地1,000万円を購入したと仮定した例示です。

土地はやがて費用となるものと考えると左の貸借対照表は正しい会社の姿を表現できています。

あと費用にできるのは100万円だからです。しかし、会社の持つ土地の価値を正しく表現できているのは右の

貸借対照表です。

この土地は1,000万円前後の値段で売却できるからです。単年でリセットされてしまう損益計算書とは違い、

貸借対照表は常に残り続けます。会社の本当の姿を把握しておきたいときに積立金方式は有用です。

逆に補助金による利益が圧縮損によって相殺される直接減額方式は、単年度の正確な利益を把握するという

意味で有用です。

どちらを選ぶかは会社の選択に委ねられています。

 

 

 

4.    消費税

圧縮記帳とは論点がずれますが、「圧縮記帳 消費税」というワードで検索されることが多いため、

取り上げておきます。

なお、各時点の消費税の課税区分は会計処理(仕訳)の章に記載しております。

 

補助金を貰って固定資産を購入した後、補助金交付先から消費税分の返還をしてくれと連絡があり、

慌てるケースがあります。

上の図は550万円の機械を購入し、110万円の補助金を受け入れていると仮定したときの図です。補助金の

受入について消費税は課税されませんが、機械を購入した時に払う消費税は仕入税額控除の適用を受けるため、

50万円を消費税の納付額から引くことが出来ます。

消費税を納めていない事業者(免税事業者)や売上高から消費税を計算している事業者(簡易課税事業者)は

仕入税額控除を受ける事ができませんので、消費税分多く貰える事業者と貰えない事業者の二通りの事業者が

存在することになり不公平となってしまいます。

なので、後から返還してくれと言われる事態が発生します。

 

ただし、あまりに返還の報告が漏れるため、最近は消費税を減額した補助金を申請することが多く

なっています。

ものづくり補助金などは消費税を減額して申請します。後から返還を要求される事は少なくなっているかと

思いますが、逆に、免税事業者の方や簡易課税事業者の方が誤って消費税分を減額して申請してしまうことも

あるかと思います。

念のため交付要綱を確認されることをお勧めします。

 

 

こちらの記事が少しでもお役に立つことができれば幸いです。

なお、税務判断は事例ごとに個別具体的に行う必要がございます。詳細は顧問税理士や担当者とご相談下さい。

また、本記事に掲載されている情報を基にご自身でご判断、処理された事項については弊社では責任を負いかねますので、ご了承くださいませ。

 

【法人税】減価償却費の方法②

♢減価償却の方法について

 

今回も引続き減価償却についてのお話になります。

前回は一般的な減価償却についてのお話でしたが一定の条件を満たす減価償却資産については

一括で経費計上できる特例があったり、特定の機械装置等を取得して製造業・建築業等の一定の

事業用に使用したときに使える税制もあります。

その取得価格をもって区分し償却方法を選択することもできるので紹介します。

 

※一括償却資産

取得価格が10万円以上20万円未満の固定資産で個別に固定資産を管理せずに「一括」で取得価格の合計額を

使い始めた年から3年かけて償却できる資産。(年間上限なし)

償却費は取得価格合計×当期の月数÷36で計算します。(令1332

10万円以上20万円未満であるかどうかは通常機械なら1台または1基ごと、工具、器具及び備品については

1個、1組として社会通念上1つの効用を有すると認められる単位ごとで判定します。(基通7-1-11

 

※少額減価償却資産

取得価格が30万円未満の固定資産

 ・少額減価償却資産の特例

青色申告書を提出する中小企業者と個人事業主は取得価格が30万円未満の資産を令和4年3月31日までに取得し使い始めた年度に全額を経費計上年間上限300万円まで)出来る。

この特例を受けるためには、事業の用に供した事業年度において、少額減価償却資産の取得価格に相当する金額につき損金経理するとともに、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価格に関する明細書(別表167)を

添付して申告する必要があります。(措法675

この特例は取得価格が30万円未満である減価償却資産について適用がありますので、器具及び備品、機械          ・装置等の有形減価償却資産のほかソフトウェア、特許権、商標権等の無形減価償却資産も対象となり又、

所有権移転外リース取引に係る賃借人が取得したとされる資産や中古資産であっても対象となります。

注)青色申告については別の機会に詳しく解説致します。


 

 

 

◎取得価格によってどの様に経費計上するかの選択ができます。

通常の減価償却は耐用年数又は償却率を用い毎期一定額を計上します。

少額減価償却資産の取得価格の判定は税込経理であれば税込みで、税抜き経理であれば税抜き

にて判定します。

 

 

※中小企業者等が機械・トラック等を取得した場合の特別償却

・中小企業投資促進税制

    青色申告を提出する中小企業者等が令和3331日までに新品の機械装置、トラック、ソフトウェアなどを取得し又は製作して国内にある製造業、建設業などの指定事業の用に供した場合にその取得、使用した事業年度に特別償却(取得価格の30%を上乗せ減価償却費)又は税額控除(取得価格の7%を算出された税額から減額)をどちらか選択ができる税制です。

   適用法人は

特別償却の対象法人

       青色申告を提出する中小企業者等(資本金1億円以下、大会社の子会社でないこと、常時使用する従業員が1,000人(令和2年4月1日以後は500人)以下の個人事業)

税額控除の対象法人

上記の中小企業者等のうち資本金もしくは出資金の額が3,000万円以下の法人

 

指定事業は

製造業・建設業・農業・林業・漁業・水産養殖業・鉱業・採石業・砂利採取業・卸売業・道路貨物運送業

・倉庫業・港湾運送業・ガス業・小売業・料理店業その他飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブ

その他これらに類する事業を除きます。)・一般旅客自動車運送業・海洋運輸業及び沿海運輸業

・内航船舶貸渡業・旅行業・こん包業・郵便業・情報通信業・損害保険代理業・駐車場業・学術研究

・専門技術サービス業・宿泊業・洗濯・理容・美容・浴場業・その他の生活関連サービス業・映画業・教育

・学習支援業・医療・福祉業協同組合(他に分類されないもの)及びサービス業(他に分類されないもの)

 

(注)不動産業・物品賃貸業(駐車場業を除く)・娯楽業(映画業を除く)等は対象になりません。

また性風俗関連特殊営業に該当する事業も対象になりません。

 

指定期間は

  平成1061日から令和3331日までに取得し又は製作し指定事業の用に供した日を含む事業年度

 

適用対象資産は

  この制度の対象となる資産は新品である以下の資産で指定期間内に取得又は製作して指定事業の用に               供したものです。

 

①機械及び装置で1台又は1基の取得価格が160万円以上のもの

②測定工具及び検査工具で製品の品質管理の向上等に資するもので1台又は1基の取得価格が120万円以上

のもの

③に準ずるものとして測定工具及び検査工具の取得価格の合計額が120万円以上であるもの(1台又は1基

の取得価格が30万円未満であるものを除く)

④ソフトウェアはその事業年度において事業の用に供したソフトウェアの取得価格の合計額が70万円以上

のもの

⑤車両及び運搬具のうち一定の貨物自動車(車両総重量5トン以上のもの)

 

注)所有権移転外リース取引に係る契約により取得した資産については税額控除の適用のみで

特別償却の選択はできません(措法466⑥)

 ◎では実際には特別償却と税額控除のどちらを選択したらイイのでしょうか。

上記の比較表のように特別償却するより税額控除を選択したほうが税額は少なくなります。

これは特別償却は資産取得初年度に多めに減価償却計上し対象となった資産の価値を早めに落としている

ことになり、翌事業年度からの減価償却費は減少します。つまり減価償却費の前倒しをしているだけで

トータルの償却額は結果同じになります。

税額控除についてはトータルの償却費は同じプラス初年度の税額控除を受けていることでメリットは大きく  なります。

ただ機械取得した初年度の利益が少なく機械取得価格の7%が税額控除しきれなかった場合、

1年だけ控除残額の繰越ができますが翌事業年度も利益が少なく税額控除しきれない場合などは逆転することも

あります。

注)特別償却は、限度額まで償却費を計上しなかった場合、その償却不足額を翌事業年度に繰り越すことが       できます。

 

・その他、「経営力向上計画を使った設備投資」については弊社 税理士松尾ブログの動画配信にて詳しく解説   していますのでそちらをご参照ください。  

ブログURL https://aoba-atm.com/archives/matsuo_blog/3027

※動画パスワードは弊社HPより別途お問合せください。

 

 

次回のテーマは『圧縮記帳』についてのお話です。圧縮記帳は国庫補助金を貰って資産を取得した

・収用等により資産を取得した際に利益を減らして課税の延期をしてもらう制度です。分かり易く

説明しますのでお楽しみに。

 

特別償却については上記のように時限的な取り扱いが非常に多く、適用要件も複雑でありますので設備投資などの際にはお問合せいただくようお願い致します。

なお、税務判断は事例ごとに個別具体的に行う必要がございます。詳細は顧問税理士や担当者とご相談下さい。また、本記事に掲載されている情報を基にご自身でご判断、処理された事項については弊社では責任を負いかねますので、ご了承くださいませ。

【法人税】減価償却費について

◇減価償却費について

 

あおばSTUDY―今回のテーマは、減価償却費についてです。

私自身も、顧問先の社長さんとのやりとりの中で、時々あるのが次のような会話です。

 

~決算期末を翌月に控えたある日の会話~

 

私 「社長さん、いよいよ来月末で、御社の第50期の決算となりますね。

今期は、コロナ禍の大変な中でもさほど売り上げが下がってないので、

前期並みの○○万円の利益を獲得できそうです。納税の段取りもありますので、

法人税等約○○万円の納税の心づもりをしておいて下さいね。」

 

社長さん 「そうや、おかげさまで従業員のみんなには、忙しい思いを

させたんやけど、去年並みの売り上げは、頑張ったつもり。

ありがたいありがたい…。

けれど、7月に会社の車がかなりポンコツになってたので、この際と

考え1台買い替えたのと、フロアーの応接セット入れ替えたんで、

利益はそんなに出ないと思ってたんやけど…。アカンかぁ~。」

 

私 「そうですよね、車が150万円、応接セットが80万円程掛かりましたよね。

でも、これらの固定資産の代金は、全額今期の経費にはならないんですよね。

減価償却費として数年に亘って経費にすることになるんです。」

 

……と、いうようなやりとりをするわけです。そこで、減価償却資産とは何?

減価償却費は、どう計算するの? を、見て行きましょう。

 

まず、減価償却資産とは

(法人税法2-23、法人税法施行令13

 

減価償却資産とは棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち

次に掲げるもの(事業の用に供していないもの及び時の経過によりその

価値の減少しないものを除く。)で償却をすべきものをいいます。

①建物及び附属設備 ②構築物 ③機械及び装置 ④車両及び運搬具

⑤工具 ⑥器具及び備品 ⑦鉱業権 ⑧その他一定のもの

 

 

つまりは、高額な固定資産を買ったら、事業に使った時から時の経過によって

価値が減ってくるので、何年かに亘って減価償却費として費用にしないと

いけないんです。逆に、事業に使っていない固定資産や、時間の経過で劣化しない

固定資産(例えば土地など)は、非減価償却資産となります。

いいかえれば、固定資産の取得価額を、使用可能期間の効用の消費分を費用化し、

それぞれの期間に配分する手続きが、減価償却費というわけです。

その目的は、適正な期間損益計算を行うためなんです。(期間損益計算は、

以前のSTUDYにも、出てきましたよね!)

 

もう少し話を進めますよ。

 

次に、減価償却には押さえておくべき3つの要素があるんです。それは、

次の言葉です、覚えてくださいね。

 

①取得価額    ②耐用年数    ③残存価額

 

では、まず「取得価額」について

 

①取得価額 - 取得のために支出した購入代価と、その資産を

使用するまでに直接要した費用(不随費用)を合計した金額が、取得価額となる。

 

減価償却資産を、買った代価と使うためにかかった費用(運送代、据付費、試運転費など)

の合計が、減価償却の基になる取得価額となります。

 

次に、「耐用年数」について

 

②耐用年数 ― 固定資産の使用可能年数のことで、実務では、資産ごとの

耐用年数を税法上定めた、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に

従っている。

 

その固定資産が、使用することができると推定される期間ですが、実務の

決算では、上記の「耐用年数表」から、資産の種類や構造、用途を見て

年数を決めます。

 

最後に、「残存価額」について

 

③残存価額 - 耐用年数が過ぎ、使用できなくなった時点で、

なお残っているとみなされる有形固定資産の価額を金額で表したもの。

 

税法上の残存価額は、取得価額の10%(償却可能限度額は取得価額の5%まで)でしたが、

平成19年度の税制改正で、平成1941日以後に取得する減価償却資産については、

償却可能限度額および残存価額を廃止し、耐用年数経過時点で1円(備忘価額)まで

償却できるようになりました。ですから、除却したり売却しない限りは1円で残り続けます。

 

以上の「3つの要素」をふまえて、実際に減価償却費を計算しましょう。

(法人税法施行令48,482

まず、減価償却費の方法は、大きく分類して「定額法」と「定率法」があります。

(他にもありますが、この二つを理解すれば、実務ではほとんど解決できます。)

 

最初は、「定額法」から。

定額法は、毎期一定額を減価償却費として、費用にする方法です。

計算式は  年間減価償却費 = 取得価額 / 耐用年数

減価償却費の計算が、比較的簡単で、減価償却費が原則毎期一定です。

 

次に、「定率法」です。

定率法は、固定資産の未償却残高に一定率(=償却率)を乗じて減価償却費

を計算する方法です。

計算式は 年間減価償却費 = 未償却残高 × 償却率

                  (未償却残高 : 取得価額―減価償却費の累計額)

定率法は特徴として、耐用年数の初期に多くの減価償却費が算出され、経過年数

が進むにつれて、償却費も徐々に減少していくことになります。

 

早く費用に計上したいのであれば、「定率法」で計算したいですよね。でも、どちらで

計算するかは、自由に選べるわけではなく決められたルールがあるんです。それは、後半

でご説明することにして、「定額法」と「定率法」の実際の計算を比較して見てみましょう。

   以上の例を見れば、一目瞭然、定額法は、1年目から7年目まで10万円

減価償却費を計上し、耐用年数最終年8年目は、1円の備忘価額を残して

99,999円減価償却費を計上します。

定率法は、初年度は、20万円、2年目は15万円、どんどん減って、6年目は

少し複雑な計算をしますが、63,407円、7年目も63,407円、最終年8年目は、

備忘価額1円を残して、63,029円減価償却費を計上します。

特徴が、よくわかりますよね。

 

    余談ですが、現在の定率法は、200%定率法といい、定率法の償却率は

定額法の償却率×200% となっています。実は、平成243月以前は、

250%定率法で、定額法の償却率×250%だったのですが、それは、初めの

償却額が大きくなりすぎるようで、税制改正で200%に引き下げとなりました。

 

ここで、定額法と定率法、どちらか選択できるのなら、うちの会社に有利な方を

実施したいですよね。では、次にどの償却方法で計算するのか、見て行きましょう。

(法人税法施行令482515253

まず、「法定償却方法」が定められており、期限までに、償却方法を選定しなかった場合は、

「法定償却方法」で計算することになります。

 

選定の期限は、

①法人設立直後の申告の場合

「最初の法人税申告書提出期限」までに、納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

②それ以外の時期に、償却方法を変更するときは、事業年度開始の日の前日までに変更の申請書

を提出しなければなりません。

 

うちの会社は、どの償却方法を選択するのが、より良いのか、顧問税理士や担当者と相談

してみましょう!

 

そして、もっとも大事なのは、決算時に「減価償却費」を、ちゃんと経費処理することです。

つまり、その法人がその事業年度においてその償却費として損金経理した金額のうち、その法人

が選定した償却方法に基づき計算した償却限度額に達するまでの金額が減価償却費となります。

(法人税法311

 

業績が大きく落ち込んだ時、「今期は減価償却費の計上を見送る」という、意思決定をされた

会社もあるかも知れません。会計処理しなければ、減価償却費は、損金に出来ないんです。

ですから、決算の打合せ時には、今期の決算の減価償却費の計上額も、しっかり打合せ

しなければなりませんね。

 

最後に、減価償却資産に関連して、「繰延資産」についても、少しだけ見ておきたいと思います。

 

繰延資産とは、

・すでに代価の支払いが完了(または、支払い義務が確定)

・役務の提供を受けた

・その効果が将来にわたってもたらせる

具体的には、

 

①会社法上の繰延資産

・創立費 ・開業費 ・開発費 ・株式交付費 ・社債等発行費

 

②税法上の繰延資産

・施設の設置または改良に要する負担金

・資産を賃借するための権利金等

・役務の提供を受けるための権利金等

・広告宣伝用資産を贈与した費用

・その他自己が便益を受けるための費用

 

具体例を見れば、なんとなくどういうものか、思い浮かびますよね。要は、ある目的の

ために支払った経費の効果が、1年以上に及ぶため、収益に対応していない部分は、

今期費用にならないので繰り延べるということです。

では、繰延資産の償却は、どのようにするのでしょうか。

①の繰延資産は、「任意償却」なので、支出の効果の及ぶ期間で任意で償却できます。

②の繰延資産は、同じく効果の及ぶ期間で償却しますが、償却期間は通達で決まっています。

(法人税法基本通達 8-2-3

 

詳しい償却方法は、上記通達を確認してください。償却費の計上は「繰延資産償却」

という科目になります。

 

以上、今回は「減価償却」を中心に、見てきました。減価償却資産も繰延資産も、購入

した時、支出した時に、一括で費用にするのではなく(注)、価値の減少に応じて、効果の及

ぶ期間に応じて、費用計上します。そして法人税法による償却限度額の範囲内であれば、

損金経理を条件に、自由に償却額を決めることができるのです。

つまり「減価償却」の目的は、正しい期間損益計算をするためなのです。今期はいくら

利益を獲得できたか、正しい認識のために!!

次回の予告

(注)の部分で、「一括で費用にするのではなく」と書きましたが、次回は、逆に

一括で費用にしたり割増しで費用にする場合(「特別償却他」)のお話しとなります。

「エ~そんな方法あるの!」という声が聞こえてきました!

ややこしいことを分かりやすくをモットーにお伝えします。お楽しみに。

 

 

 

なお、税務判断は事例ごとに個別具体的に行う必要がございます。詳細は、顧問税理士や

担当者とご相談下さい。また、本記事に掲載されている情報を基にご自身でご判断、処理

された事項については、弊社では責任を負いかねますので、ご了承くださいませ。

 


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