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【法人税】売上の計上はどのタイミングですべき?パートⅡ

今回、国土交通省より、経営審査事項の改正の概要が提示されました。

いくつかの項目の改正がなされていますが、ざっくり言うと

「従業員への教育・技術向上の取り組みを積極的に行った会社はさらに評価します」

ということなのだと思います。

 

 

経営審査事項のランク・点数については決算の際に意識される方も多いですし、決算予想の段階から会計事務所としても意識するところではあります。その中では決算期までにどの現場が完了し、どれが未完成なのかということも考えていかなければいけません。

今回は前回に引き続き「売上の計上時期」ですが、その中でも建設業の売上計上時期をテーマとしていきます。

 

 

 

建設業の場合、工事の規模によりますが、着工から完成・引き渡しが長期になるケースが多く、決算を跨ぐケースも少なくありません。(場合によっては数期に跨るものもあるかと・・・)

 

そのため売上の計上時期によっては利益・納税・決算書及び資金繰りに与える影響が大きいため、売上計上時期は税務上、明確に定められており、税務調査があった際も計上時期・計上基準はチェックされるポイントになります。

 

建設業の売上高の計上時期と

前のコラムでもありましたが、法人税法上、売上の計上時期は「引渡日」となります。

建設業における引渡日とはそのまま現場・完成物を施工主に引き渡した日となります。

 

ただし、建設業の場合、一部引き渡しであったり、工事が長期間になるため他の業種とは異なり基準がいくつか存在します。

 

工事完成基準(法基通2-1-5)

こちらは一番わかりやすいものとなります。上記に記載した現場・完成物を施工主に引き渡した日をもって売上に計上する考え方がこちらになります。

他にも作業が完了した日、相手方の検収が完了した日、相手方が使用を開始した日等、工事内容・契約内容に応じて、引渡日として合理的と認められる日であることと、その基準で継続的に収益計上していることが重要となります。

 

部分完成基準(法基通2-1-1の4)

工事の中には全てが完成していなくても、段階に応じて工事代金の一部を支払う契約又は慣習がある場合など、工事の一部が完成した段階で売上に計上しなくてはなりません。

例としては以下の2点があります。

 

  • 一つの契約により同種の建設工事等を多量に請け負ったような場合で、その引渡量に従い工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合

 

  • 1個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引き渡した都度、その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合

 

ただしここで注意が必要なのは部分完成と出来高請求とは違うという点です。

完成基準はあくまで完成引き渡しが完了していることが要件となります。部分完成とは全体の一部の完成が完了し、かつ相手方にその部分の検収・引き渡しが完了していることを指します。

出来高請求は現在の進捗分までを請求するものであって、完成引渡しがあるわけではありません。

出来高請求という中には実際に完成した部分までを引き渡しているものもあるかと思いますので、言葉で分けるのではなく、実態を確認したうえで、区分する必要があります。

 

工事進行基準(法法64-1、法令129)

こちらは工事の売上高・売上原価をその事業年度終了時における工事の進捗割合に応じて計上する方法です。

基本的には上記の2つがメインとなりますが、次の全ての要件に該当するような長期大規模工事は工事進行基準を強制的に適用しなければなりません。

  • 工事期間が1年以上
  • 工事の請負金額が10億円以上
  • 請負金額の1/2以上が完成後1年以上後に支払われるものでない

(完成から1年以内には請負金額の1/2超は入金されていること)

 

経営者の感覚の中には工事進行基準が実態とあっているのでは?と思う方もいらっしゃるかと思います。

(入金になっているのに売上ではない、工事事の未成工事支出金を算出するのは大変だ等)

ただ、進捗割合を出すのは経営者・現場監督の方の感覚上では分かりやすいかもしれませんが、会計上・税務上においては客観的なものがないと判断が難しく、一般的には以下の計算式を用いて計算します。

 

工事進捗度の計算式(原価比例法)

〇 工事進捗度 = 決算日までに発生した工事原価 ÷ 工事原価総額

〇 当期の完成工事高 = 工事収益総額 × 工事進捗度


 

*工事の進捗度を算出する際の基礎になるのが原価であり、

決算時までに発生した工事原価と工事原価総額で割った数値を進捗度とします。

 

 

工事進行基準は工事完成基準と異なり、工事原価総額の見積もりが大きく影響しますし、

その際には見積もりの確実性、精度の高さが非常に重要となります。

 

 

 

書類の整備を進めましょう!(最もお伝えしたいポイント!)

上記で説明しました工事完成基準にしても工事進行基準にしても書類の整理が重要になります。どの工事にどれだけの原価が投入されているか?見積もりと比較してどうか?等、事実を証明するもの(会計・税務との整合性)として下記の書類は整理しておく必要があります。

 

  • 売上等の書類(請負契約書や引き渡しを証明できる書類)

→ 計上時期の把握、会計の計上時期に誤りがないかを確認するため

 

  • 工事台帳(工事ごとに材料・外注先との取引の流れ・その工事にかかった原価を管理する)

 

→ 工事ごとの原価・工事の進行状況の把握し、利益を意識しながら予算管理を行うため

 

業種問わず、売上の計上時期とは非常に重要なものです。建設業であれば計上時期を誤れば、工事一つで数千万、数億円と売上が変わってきます。工事ごとの実態を把握し、それを補うものとして書類の整備を進める必要があります。

 

 

1回目・2回目と売上の計上基準についてお伝えしてきましたが、次回は「法人税法上の費用(損金)」の考え方についてです!

 

 

なお、税務判断は事例ごとに個別具体的に行う必要がございます。
本記事に掲載されている情報を基にご自身でご判断、処理された事項につきましては、

弊社では責任を負いかねますので、ご了承くださいませ。

不明点等ございましたら税理士法人あおばまでお問合せくださいませ。

 

 


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