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ミニマム法人税と税務調査

2022-06-06

テーマ: セミナー報告税理士@松尾

 

昨年OECD加盟各国間で「ミニマム法人税(国際的な最低法人税率の導入)」に関する合意があったことから、中長期的には法人税率が上昇傾向にあると考えられます。

 

私ども税理士法人あおばが所在する奈良県のような地方においては特に、雇用を支えているのは中小企業であり、その中小企業を経営の3本柱である「人づくり・客づくり・財務」のうちの財務面からサポートさせて頂くのが最大のミッションと考えて私どもも事業展開しています。

 



 

ミニマム法人税の流れや私どもの基本的考えをふまえ、中小企業が有効活用すべき制度として

「企業型選択制確定拠出年金」という制度があります

 

個人で入るイデコとは違って会社が就業規則等を改訂して導入するもので、

・役員も加入でき、

・掛金は会社の損金で、かつ所得税の課税対象にならず、

・社会保険料の節減にもなる

というものです。

 

また、会社の借入を個人保証しているケースがほとんどだと思いますが、確定拠出年金の受給権は差し押さえが禁止されており、公的保証のない経営者にとって隠れた、そして大きなメリットといえます。

 



 

もちろん60歳まで引き出せないなどデメリットはありますが、それを上回るメリットがあると判断しており、当社でも導入しています。

会社としては「枠」を用意するのみで、そのあとは「選択制」ですので役員及び従業員の加入判断に任せることになります。

損金性や社会保険料の節減効果があり、経営者・従業員の退職金積立に資するにも関わらず中小企業には周知がほとんどされていないのが現実です。

 

先日、まずはオンラインセミナーにて制度を周知させて頂きました。

 

スタジオをお借りしているフリーアナウンサーの清水健様にもセミナーの最後に登場いただき、聞き手の立場から素朴な疑問をいただき、和気あいあいと開催することが出来ました。

 

セミナーの様子

 

あおばオンラインセミナー、今後も有用と確信する情報を発信していきます。

 



 

また経営環境の一つとしてwithコロナが本格化する中で、税務調査をはじめとして税務当局との接触も増えてきています。

 

こちらも、税理士法人あおばとしては税務調査対策ありきではなく、まずは「経営を守る」ことを最重要視し、それを実現するために「内部統制」の効いた組織づくりを最大論点にお客様と日々接しています。

結果として税務調査で右往左往しない強い会社となります

 

最初から不正を疑うわけではなく、

・人は誰しも間違えるもの

・どんな人も体調を崩すこともある

・自分は体調万全でも家庭事情によって仕事が第一じゃなくなる時期も当然ある

そういった事態にも対応でき、かつ「粗利益」「在庫」「資金見通し」など財務上の重要な指標をタイムリーに経営者が適切に把握できる仕組みを総合して「内部統制」と考えています。

中小企業のなかでも規模の大小に関わらず考えておくべきテーマになります。



 

先日、法人の税務調査の立会時に調査官と交わした会話の中で、「現在、印紙の非違の指摘が少ない状況で、良く見てくるようにと言われてるんですよね」というような発言がありました。

こちらからすると知らんがな、という話なんですが、確かに過去に結んだ契約書にまでチェックが及んでいないことは可能性として考えられます。

 

そもそもこれだけネットでの取引や申請が普及している中で、時代遅れの税金であることは確かなのですが、しかしそれでも印紙税収は毎年1兆円ほどであり、貴重な安定収入になっていることも事実です。

 

実務的には印紙税で言うところの「請負に関する契約書」に該当するかどうか、というのが多くのケースでは最初の論点になります。

 

印紙税が必要かどうかの判断においては、取引相手と交わす書類のタイトルはさほど関係ありません。

例えば当社においてもお客様と「委任契約書」を交わしますが、請負に関する契約書として印紙を貼っています。

そこでの記載が月々の顧問報酬のみであれば、委任契約ですので印紙税の課税対象外ですが、顧問報酬の記載の他に「決算」の記載もあることが通常ですので、請負の要素も含んでいることになり、タイトルは委任契約書ですが印紙税が必要となります。

 

いずれにせよ法人税の調査とは言え、印紙税やさらには源泉所得税も含めて網羅的にチェックされる傾向にありますし、印紙の貼り付けがなかった場合のペナルティも過去複数年度となると大きくなるので普段から気を付けてチェックしてければと思います。

 



 

日も長くなり、夕刻などには自宅の周りを散歩するのが気持ちいい季節。

しかし確実に空き家の増加をヒシヒシと感じます。

 

また、子供のころはここは○○屋さんだったな、もう商売やめちゃったんだな、というのを目にすることも。

そしてその目線の先にはコンビニや大手回転すしチェーンの看板。

 

やはり、地域に根付く中小企業はその地域の風景そのものであり、それがなくなると日本の地方は同質化してしまいます。

地産地消ではなく地産外商。

軸足をそのままに、常に研鑽を続け、中小企業を真にサポートできる、より良きチーム(会社)づくりを進めていきたいと思います。

(二上山と崇神天皇陵)

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円安はいつまで続くか?

2022-05-30

テーマ: 事業承継経営を守る情報

強烈な円安と資源高が続いています。

 

原油価格・物価高騰等総合緊急対策として予備費が1,000憶円計上され、事業再構築補助金において緊急対策枠が設けられることになっています。

 

・今年1月以降のいずれかの月の売上高(又は付加価値額)が、

・2019年~2021年の同月と比較して

・10%(付加価値額の場合15%)以上減少

 

している場合には、今公募中の「6次」公募においては加点措置して優先採択、「7次」以降においては特別枠が設けられます。

資料

 



 

中小企業にはどうしても輸出よりも輸入環境の方が大きく影響する場合が多く、そうすると当然ながら円安は不利に働きます。

 

そうなるとこの円安はいつまで続く?と考えた場合、先日財務省から発表のあった令和3年度の「経常収支(海外との取引についての収支)」を参照すると概要としては次の通りです。

 

・輸出85兆(25.1%増)、輸入87兆(35.0%増加)などを経て

⇒貿易収支が6.4兆のマイナス

 

・海外から受け取る利子配当である、

⇒一次所得収支が21.5兆のプラス

 

・その他、

⇒二次所得収支が2.5兆のマイナス

 

ということで差し引き経常収支が12.6兆円のプラス。

 

 

円安や資源高に伴う輸入の増加があり、報道ではどこか円安で大変だ~、という部分にスポットが当たっている感がありますが、反対に輸出も大幅に増加しており、何よりも巨額の「一次所得収支」でもって収支がプラスになっていることが分かります。

資料

 

一次所得収支は円安がプラスに働きますので、となると国全体としては円安を是認せざるを得ず、今しばらくは円安水準は続く可能性が高いように推察されます。

 



 

中小企業には厳しい環境が続くことが想定されます。

価格体系や内製化の検証は引き続き重要ですし、「数値目標」と「行動目標」の予実管理もより一層重要となるものと思われます。

 

先日も「いつまでも厳しい厳しいと言ってられないので、はじめて本格的に経営計画を作ってみます」というお客様もございましたが、素晴らしいことだと心底思います。

 

また、事業承継の現場においても、事業承継のうちとりわけ「株の承継」の部分はなかなか進まないのか以前までの傾向でした。

しかし、コロナ禍以降の環境により、事業承継のうち株式承継も徐々に進みつつありますし、提携企業からお客様のご紹介を頂く案件にしても、事業承継で総合的にアドバイスできる方を探している、といったケースが大部分を占めます。

 

どのような案件であれ、「目的(想い)」があって手段がありますので、その順番を取り違えないよう、渡す側のご年齢や健康状態にもよりますがまずは5年程度の計画を立案させて頂いています。

 

やはり、書かざるものは実現しませんので、経営でも事業承継でもまずは見える化することが大切で、経営の3本柱は「人づくり・客づくり・財務」ですので、計画には財務の視点を入れることも不可欠です。

 

税理士に聞く事業承継、事業承継とは社長交代ではなく株の承継【シミケンこれ聞く】

 

何から始めればいい?税理士に聞く、事業を引き継ぐ方法。

 

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インボイスがないから消費税を払わない、はNGか?

2022-05-16

テーマ: セミナー報告消費税

 

今年に入り、

・税制改正に盛り込まれなかったけれども水面下での重要な動き

・withコロナの財務戦略

・パワハラ、残業上限規制など労務の改正

・大きく変わる!個人情報保護法の改正

とオンラインセミナーをやって参りました。

 

次回(R4.6.4)は「中小企業でも使える確定拠出型年金」ということで、

・損金で役員や従業員の退職金積立てをする

・福利厚生を向上させる

・採用環境や定着率をあげる

といった効果があるものの、「とある事情」で中小企業にあまり案内されていないものになります。

 

お客様限定となりますが、メルマガやLINE@でご案内させて頂いておりますアドレスからお申込み下さい。

 

 

(もちろん、確定拠出型年金制度は税理士法人あおばでも導入済みです。)



 

インボイス制度が来年より開始されますが、多くの企業にとっての論点は

「免税事業者(消費税を納める義務のない事業者)との取引」にあると思います。

 

受け取った請求書にインボイス番号が記載されていなければ、たとえ消費税相当を払ったとしても、払った側で納税時に控除できません。

 

したがって、インボイスのない請求書や領収書がやり取りされた場合には

・発注側で、インボイス番号が記載されていないので消費税相当を支払わない

・受注側で、インボイス番号を発行できないので消費税相当をもらわない

のいずれかになります。

 

発注側において、インボイス番号がないから消費税相当を払わない、とした場合は少し留意が必要です。

 



 

参照資料1

 

この資料の一つ目のケースでは「それ、下請法違反です!」とはっきり書かれてしまっていますが、これは

・消費税込みでの事前の合意があって

・一方的に

消費税相当を払わなかった場合、と解するべきではないかと思います。

 



 

また、建設業においても、消費税を支払わないとした場合に、免税事業者である下請業者のおいて原価割れをしてしまうようだと「建設業法違反」となる、と明示されています。

 

参照資料2

 

消費税が支払われなかったら原価割れしてしまう場合は、そもそも不当に低い下請代金としてダメ、ということでしょう。

 



 

上記以外でも、取引の相手先がインボイスを発行しない免税事業者のままであることを理由に取引停止等を一方的に決定しまうと独占禁止法違反のおそれがある、とのこと。

 

税法以外にもいろいろと法律が入り乱れてきますが、実務的にはインボイス番号がなかったら消費税を払わないと決めている場合であっても、相手先との間で、「インボイス制度開始前」または「取引開始前」にインボイス番号を発行しない場合の取引条件の事前協議と合意が重要と言えます

 

その他のインボイスに関するブログはこちらにまとめています。

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