税理士松尾ブログ
インボイスが不要な経費
2023-07-18
インボイス制度がこの秋からスタートし、インボイス番号の記載された領収書や請求書によってやり取りすることになります。
しかし例外的に、領収書や請求書にインボイス番号がなくても、その分の消費税を控除できるものがあります。
役員や従業員に支払う日当もまた、この例外規定に含まれています。
日当とはそもそも、
「旅費、宿泊費に含まれていない出張中の少額の諸雑費(食事代や通信費など)の支出に係る実費の弁償」としての性質を有します。
規程により全従事員を通じて公平性が確保されており、支給金額が実費弁償として相当の金額である限りにおいて所得税は非課税、法人税においても損金算入が可能です。
それに加えて消費税においても、、インボイス制度のスタート後も、その日当の額に含まれる消費税相当が、インボイス番号がなくても控除可能となっています。
各人ごとの日当の管理が大変ですし、あくまで実費弁償ですので多額の金額設定は期待できませんが、それでも積み重なることで税制面でもメリットが大きく、検討の価値ありだと考えております。
インボイスや電子帳簿保存と実務に大きく影響する改正を迎えるせいか、久々にセミナーが続きました。
あおばオンラインセミナーでは「税制改正対応。電子帳簿保存法」と題して
・R6.1以降の電子帳簿保存法の全体像
・中小企業でも手を付けやすいジャンル
・強制されるもの(電子取引保存)
・電子取引保存はなぜ強制されるのか?
・税務調査と電子取引保存法
といった内容をお伝えさせて頂きました。
随分と前の税制改正で電子取引保存が登場して以来、中小企業の実務を考えるとまだまだハードルが高かった電子帳簿保存法ですが、令和5年度の税制改正でようやく使える分野が出てきたな、との感触を持ったことから、企画をしてみました。
フリーアナウンサーの清水健さんのスタジオ(each stage)をお借りし、最後には清水さんからのご質問も交えて和気あいあいと。
そして和気あいあいと、とはいかなかったのが「奈良県神道青年会」の神主さん方をお相手にした「禊鎮魂錬成研修会」。
事前のテーマは特に伝えられておらず、税理士さんにお話しいただくのは初めてですのでお任せします、とのことでした。
それがまた逆に難しく、しかも聴衆は普段は別世界の神主さん方、、、汗
確かセミナーの講師を始めて務めたのは27歳くらいだったと思いますが、そこから思い返してもなかなか引き付けるのに苦労したセミナーでした。
石上神宮さま、貴重な修練の機会を有難うございました!
電子保存が義務化?
2023-06-21
来年度予算の基本方針である「骨太の方針」が公表されています。
安全保障体制を構築しつつ、若年層が本格的に減少する2030年代に入るまでに、基本的には内需拡大(人への投資、労働市場改革、こども子育て・投資拡大・GXDXスタートアップ)を図り、一人あたり生産性を向上させる方向性のように感じます。
具体策として一番最初に登場するのが「三位一体の労働市場改革」。
「1」リ・スキリングによる能力向上支援
・・・企業経由が主体の学び直し支援策の過半を個人経由にする
「2」企業の実態に応じた職務給の導入
・・・事例集のとりまとめ
「3」成長分野への労働移動の円滑化
・・・自己都合退職の場合の要件緩和(会社都合退職の場合は触れられず、、、。)と、退職所得課税制度の見直し
退職所得課税については、勤続20年までは一年あたり40万円が非課税となり、21年目以降は一年あたり70万円が非課税となります。
例)勤続21年の場合
20年×40万円+1年×70万円=870万円までが非課税
長く勤務すれば非課税枠が大きくなるところが疑問視されているのだと推察しますが、当然、役員退職金の水準設定にも影響してきますので、今後どのように制度設計がされるのか、以前から注視しているところです。
その他、
・賃上げ税制や補助金の強化をさらに検討
・最低賃金1,000円達成後の最低賃金引上げの方針についても議論する
・週20時間未満労働者への雇用保険適用拡大を議論
・中小企業向けの省エネ補助金の検討
・継続的な事業省再構築、生産性向上、事業承継の支援
(事業再構築、ものづくり、IT導入、事業承継の各種補助金)
・社会保険の適用拡大検討と年収106万円の壁を超えた場合の手当
が掲げられています。
その他、奈良県において「物価高騰対策」の流れで、賃金を引き上げた企業に対し「従業員数×5万円助成」の補正予算が提出されています。
県の資料では対象となる賃上げの時期について明示はありませんが、奈良新聞の記事によると「9月から来年2月までの間に基本給や時間給を1.7%以上引き上げた」場合とのことです。
やはり経営者としては社会保険の被用者拡大が気になるところ。
しかし、社会保険の加入よりも「手取り」を重視するニーズもあることは確かです。
例えば法人成りにともない、
・「給与扱いのものを外注扱いにしてほしい」という従業員側からの要望を受ける
・「外注扱いにしているけれど従業員と待遇はさほど変わらない」
というケースも依然として多いのではないかと推察します。
「給与か外注か」で税務面の手続や負担もかなり変わります。
そのような中、参照したい地裁判決(高裁でも敗訴)があります。
<背景>
・社保加入になるなら外注にして欲しいと従業員から申し出あり
・雇用保険から抜ける
・本人から請求書を発行してもらうようにした
・本人は「給与所得」ではなく「事業所得」として確定申告
<外注扱いとした後の実態>
・日当は変わらず
・翌月末払いのサイトも従業員時代と同様
・本人はその会社以外からの請負はしていない(専属)
・従業員時代と同様「寸志」も不定期に請求して受け取っていた
・簡易な道具以外は会社側にて支給
・本人の都合がつかない時は会社側が別の外注先を探す
・仕事が完成の対価ではなく日当として報酬を請求できる
要は、外注としての形式は整えていたものの、従業員時代と全く実態が変わっていないということで「外注費ではなく給与」とされ、結果、会社側において、
・消費税の納税負担が増え、
・源泉徴収もれ
を指摘されています。
インボイス制度も始まるため、外注扱いへの変更の頻度としては減少するのかもしれませんが、会社側としてはメリハリのある実態に即した運用が求められます。
最後に電子帳簿保存関係。
電子帳簿保存について、ソフトの紹介など各種の情報を毎日のように目にするようになっています。
「電子保存が義務化」の部分だけを強調したサイトも見かけるようになりました。
電子保存が義務化されることは間違った情報ではないのですが、義務化されるのはあくまで「電子取引の保存」についてのみであって、それ以外は任意適用になります。
そして適用を決めるに際しては必ず、
・使用ツールの費用対効果
・税務調査への対応方法
が関係してきます。
中小企業にとっては、義務化される部分は最小の費用若しくは費用をかけずに粛々と対応し、それ以外の項目については慎重に電子保存対応をしていくべきと考えています。
今一度、電子帳簿保存法が要請している保存要件について情報を整理すべく、オンラインセミナーを開催させて頂くこととしました。
7月5日16時から40分間で、
・電子帳簿保存法の4つのジャンル
・導入を決めるための判断基準
・税務調査と電子帳簿保存
・一番導入しやすいジャンル
・電子インボイスと電子取引
といった点について情報を共有し、自社にとって最適な電子帳簿保存法対応を考える機会として頂ければと考えております。
お客様向けメールマガジンにて申込みフォームをご案内しておりますので、ご都合許せばご参加ください。
賃上げへの優遇施策。補助金助成金と税制措置。
2023-06-09
テーマ:経営を守る情報
コロナ禍でスタートした事業再構築補助金も、早や第10回。
応募締め切り:6/30の18時まで
採択発表 :8月下旬〜9月上旬
とされています。
弊社も認定支援機関としてサポートさせて頂いており、これまで採択結果が公表されてる第8回こそ採択がなかったものの、それ以前の各回で採択事案を出すことが出来ています。
ただ、応募案件としては段々と窓口が狭くなっているのも事実。
第10回の応募枠には8つの類型があり、それぞれの概要は下記の通りです。
<成長枠>
・賃上げ(事業終了時点で事業場内最低賃金が+45円,給与総額+6%)による補助率引き上げ措置あり
・取り組む事業の市場規模が10%以上拡大する事業、業種に属している
・事業終了後3〜5年で給与総額を年率2%以上増加させる
<グリーン成長枠>
・グリーン成長戦略実行計画14分野の課題解決に資する取り組みが対象
・賃上げによる補助率引き上げ措置あり
・中小企業の補助金額が最大1憶円と大きい
・事業終了後3〜5年で給与総額を年率2%以上増加させる
<卒業促進枠>
・補助事業を通じ、3〜5年で中小企業の規模から卒業すること
・グリーン成長枠と同様の大きな補助上限
<大規模賃金引上げ枠>
・成長枠またはグリーン成長枠と同時に申請することによる上乗せ枠
・成長枠またはグリーン成長枠の事業終了後3〜5年で事業場内最低賃金を+45円引き上げ、従業員数も年率平均1.5%以上増員すること
<産業構造転換枠>
・今回の第10回では業界団体のみ申請受付け
・現在の事業の市場規模が10%以上縮小する業種業態に属し、それとは別の新規事業を実施すること
<最低賃金枠>
・売上減少要件あり
・2021/10〜2022/8までの間で3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が10%以上いること
<物価高騰対策・回復再生応援枠>
・売上減少要件あり
・原油価格、物価高騰等の影響を受けている
<サプライチェーン強靭化枠>
・海外で製造する部品等の国内回帰を進めるための枠
※その他、各類型ともに事業計画において付加価値が一定額以上向上する表現が求められます。
※それぞれの枠の前提条件に当てはまるようであれば、公募要項にて補助額を確認しましょう。
中小企業にとっては公募要項P17に記載されている「物価高騰対策・回復再生応援枠」がメインになるような気がします。
その他、優遇施策、特に賃上げに対するものという観点からは、
・ものづくり補助金(給与支給総額が年率6%超など大規模な賃上げの場合の補助額上乗せ)
・業務改善助成金(引き上げる人数に応じて設備投資への助成金上限が増加)
があります。
特に業務改善助成金は「助成金」ですので、要件さえ満たせば必ず助成されます。
(逆に「補助金」は要件を満たしていても採択されるかどうか、というハードルがあります。)
まずは業務改善助成金の前提条件となる「事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内であること」に該当するかどうかの確認をし、さらに今後、賃上げと設備投資の両方をお考えの際はチェックすべき制度と言えます。
税制面では、
・賃上げ促進税制
・先端設備導入に係る固定資産税の軽減措置
があります。
いずれも税制改正によって内容変更があり、現行は下記の通りです。
<賃上げ促進税制>
雇用者への給与の支給額の増加率が
・1.5%アップ
⇒増加額の15%を税額控除
・2.5%アップ
⇒控除率を15%上乗せ(30%の税額控除)
・さらに教育訓練費の対前年比10%以上増
⇒控除率を10%上乗せ(40%の税額控除)
という概要です。
⇒イメージ
※その事業年度の法人税額の20%が控除上限
<先端設備導入に係る固定資産税の軽減措置>
・その設備投資により労働生産性が年率3%以上向上する計画を
・認定支援機関が確認し
・さらに市町村が認定すれば
・償却資産税を3年間1/2に
・さらに1.5%以上の賃上げ表明をすれば最大5年間1/3に
軽減する、という概要です。
⇒イメージ
※計画が達成できなかったとしても罰則等はありません。
税制面のいずれの措置も税額から直接控除できるため効果は補助金助成金と全く同じですし、実務的な感覚から言っても負担軽減額は大きくなります。
尚、賃上げ促進税制は税務申告時のいわば事後処理にて適用が可能ですが、固定資産税の軽減措置に関しては、市町村の認定を「設備取得前」に取らなければならないため、認定支援機関への事前の声掛けが重要です。
晴れた休日の朝は
2023-06-04
テーマ:まつおの畑作日記
摘みたてを軽く洗ってお湯を注ぐだけのハーブティー。
6月初旬。大雨の後。
発芽したトウモロコシを定植。
何となく不安なので防虫ネットをして完成。
作業が終わって感慨にふけっていると、
「トウモロコシはもっと密集して植えないとアカンで~」とお叱りを受けるという、、、汗
電子帳簿保存法対応のポイント@中小企業
2023-05-23
テーマ:経営を守る情報
電子インボイス
電子帳簿保存
テレビコマーシャルを含め、経理面での電子化にまつわる情報を目にしない日はありません。
人手不足もあいまって、相当の事業規模を有する大手企業にとって経理面でのIT活用は避けては通れないことと思います。
一方の中小企業は?
弊社で今年からサービス提供を開始し始めている「経理合理化&経理代行」も着実にご利用いただく企業様が増えています。
従業員規模が50名を超える企業もありますが、一方で、従業員様がお一人のみ、といった企業様もご活用頂いています。
・経費精算の手間が減った
・試算表が翌月にまとまるようになった
・経理担当者の急用や体調不良にも対応できるようになった
といった効果があります。
この「電子化」という世界は、中小企業の場合、「取引」の分野と「保存」の分野に分けた方が良いのではと感じています。
経費精算を例にした場合、
経費を使い、それを会社で精算するという「取引」があり、
その取引の領収書を「保存」する、
というふたつの局面があります。
預金との連携機能のある会計ソフトや経費精算アプリなどが普及し始めていますが、その事後処理とでもいうべき書類の「保存」の面では費用に見合う効果を見いだせず、まだまだハードルが高いのが実情です。
「保存」の面は電子帳簿保存法にてルールが決められています。
ジャンルは4つになります。
1,帳簿の電子保存・・・元帳、仕訳帳、仕入帳などの主に「帳」のつくものが対象
2,書類の電子保存・・・紙で発行した請求書、納品書等の元データ(Excelなど)が対象
3,スキャナ保存・・・紙で受領、発行した請求書、納品書等が対象
4,電子取引の保存・・・電子で(メールやダウンロード形式で)受領、発行した請求書、領収書が対象
それぞれのジャンルで適合するための要件が求められており、全て満たせばペーパーレスを実現できます。
実務的には、「1」は帳簿の話ですので日常からボリュームがかさんで困っているケースは多くはないと思います。
やはりまずは「2」「3」が対応を図りたいジャンルであり、「4」は来年1月より対応が義務となります。
その対応面でキーになるのは「検索要件」で、
ア:日付、金額、取引先を検索できる
イ:日付と金額は範囲指定して検索ができる
ウ:AAかつBBというような組み合わせ検索ができる
という3つの要件を満たす必要があります。
ここが単純にスキャナでPDF保管、では対応したことにならない大きなハードルになります。
もっとも、検索要件を満たしていなくても電子帳簿保存法に対応できるコースもありますが、
「税務調査時にダウンロードの求めに応じる」ことが条件となっています。
税務調査に関しては、どんな資料を署に持って帰っているか弊社で把握できなくなるため、現場で完結させる(資料を持って帰ってもらわない)ことを原則としていますので、ダウンロードの求めに応じる、というのは違和感があります。署に戻ってもう一度調査が出来ることになる訳ですし、、、。
したがって中小企業にとっては、今のところは経理DXの「保存」の面は様子見(検索要件を満たせるリーズナブルなソフト、アプリの登場を待つ)とし、
その手前の「取引」の面において、
・電子帳簿保存法対応の会計ソフトを使う
・とにかく手書きをなくす
・とにかく現金で動く頻度をなくす
・プリペイド式カードを導入する
・経費精算アプリを使う
・それらの連携させる
という形で活用を図ることが先だと考えております。
お客様向けのセミナー資料も出来上がってきました。
またご案内申し上げます。
税務調査に強い体質をつくるには?
2023-05-09
テーマ:経営を守る情報
経営者の皆様とお話ししていますと、税務調査が増えているらしいね、といったお声かけを頂くことが増えたように感じます。
当然、コロナ蔓延の最中においても調査は実施されていましたが、今年に入って増えていることは確かです。
着眼点としては、
・現金が動くという側面から「資産の下取り」関係のチェック
・個人との境目の観点から「ネット販売」関係のチェック
・反復継続するという側面から「源泉徴収」「印紙関係」のチェック
が重点的になされているように思います。
また、マイナンバーで税務調査は厳しくなるの?というお問い合わせも、、、。
そもそもマイナンバーは憲法13条のプライバシー権を違法に侵害しているとして、マイナンバーの利用差し止めを求めた訴訟が各地で起こされていました。
しかし先日、最高裁において請求が棄却されています。(2023年3月)
その内容は、番号利用法は、
・情報管理の効率化
・情報利用の効率化
・情報連携の迅速化
を実現することによって、
・行政運営の効率化
・給付と負担の公平性
・国民の利便性向上
を図ることを目的とするものであり、正当な行政目的を持っていると指摘しています。
私の過去のセミナー資料を見返すと、平成27年ごろにマイナンバーセミナーを複数回開催させて頂いており、その時にも「マイナンバーで税務調査も厳しくなるのでは?」というご質問をいただくことが多かったように記憶しています。
その度に、そんなことはなく、現時点でもマイナンバーがなくても情報の裏付け行為は厳格に行われており、粛々と事業に邁進しましょう、とお答えしておりました。
企業側としては過度に税務調査を意識する必要はなく、何よりも「内部統制」の体制を構築し続ける不断の努力が必要です。
結果として税務調査対応も格段に強くなります。
内部統制とは不正の起きにくい体制作りはもちろん、
・間違いが起きないように
・異変があってもすぐに気が付けるように
組織を整えていくことにあります。
その内部統制のキモは、
・管理(現金や預金そのものや残高の管理)
・決裁(請求してor払っていいものかどうかの判断)
・記帳(決済後の現預金の動きを付ける)
の機能(担当者)を分ける、という点にあります。
しかし人的資源の限られた中小企業には、3者を分けるのには限界があり兼任せざるを得ないのが通常ですので、定期的にチェックが入る仕組みで対応していかざるを得ません。
自社は管理と決裁に集中し、記帳はアウトソーシングするケースも徐々にですが増えています。
企業にとっての税理士の位置づけも変わっていくでしょう。
内部統制の構築は企業をとりまくあらゆるリスクの管理であり、ハッキリ言ってキリのない世界ですが、不断の企業努力を続けることで金融機関が個人保証を外すかどうかの判断の際にも必ず役に立つはずです。
弊社も税務会計や資金繰り改善のご支援のみではなく、中小企業が内部統制を確立するにあたってのパートナーシップをご提供できるよう注力していかなければならないと考えております。
畑を花壇へ
2023-04-23
テーマ:まつおの畑作日記
畑のうち、産土神(伊射奈岐神社)への参道に面した部分は、人通りもあるので花壇にすることにしました。
昨年の秋から植え付けをし、ようやくいま、なかなかの開花状況。
良い花壇できたねえ、と通りすがりの方に言ってもらえる幸せ。
コロナ禍以降、近くを通る、日本最古の道である山の辺の道をハイキングする人が増えていたところ、近頃は海外の方もチラホラ。
気長に、花壇も着々とパワーアップさせていきます。
採れたてレタスもいただきます(笑)
どうする奈良。どうする日本。
2023-04-21
先日は「後継者塾」でした。
金曜日の午後と土曜日の一日を使い、これからの経営を担う後継者の皆様とクローズドでの濃い研修が出来ました。
(何か熱心に喋っています汗)
スケジュールはこんな感じ。
4/14 13:00~15:00 社会保険労務士 中川 悦(労務)
4/14 15:30~17:30 弁護士 相川 祐一朗(法務)
4/15 10:00~12:00 弁理士 崎山 博教(特許商標)
(昼食)
4/15 13:00~15:00 税理士 松尾 潤(税務)
4/15 15:30~17:30 税理士 松尾 潤(財務)
皆さまお疲れ様でした!
(参加者の声)
最近は実務をこなすことや考えることに時間を取られ
インプットの時間が不足していたので、重要なことを
集中して学べたのは大変助かりました。新たな気づきや
再確認できたことも多く、とても有意義でした。
しかしきれいな会場を借り、スタッフを使い、他士業の
先生への謝礼、それになにより準備にかかった膨大な
時間を想像すると大赤字ですよねー。笑
松尾さんの愛を感じます。本当にありがとうございます!
また、先日の奈良新聞さんとの取材記事も紙面になりました。
テーマは「どうする奈良 どうなる日本」。
私なんぞには畏れ多いテーマですが、実際にこの4月に「親族外承継」を実現されたお客様とともに実例をお話しし、いつも協業させて頂いている「奈良県事業引継ぎ支援センター」さんにも登場して頂きました。
士業、承継者、後継者、公的サポート、いろいろな立場から経験談や思っていることを語ることで、企業経営者にとって分かりやすい紙面になっているような気がします。
(一般の読者の方にはご興味があるか分かりませんが、、、。)
その対談の中で、まず私の方から口火を切らせて頂いたのは「人手不足」について。
個人的には「少子高齢化」よりも問題なのは「都市一極集中」だと思っています。
地方にとっては人手不足がより一層早く進むことになりますし、地方に居ながらでも海外ともいくらでもつながる事は出来ます。
制度面からの支援策の概要は下記の通り。
1,所得拡大促進税制
・法人はR4.4.1~R6.3.31までの間にスタートする事業年度
・個人はR5年度とR6年度
においては、
・役員を除きパートアルバイトを含む給与額が
・前年度と比べて
・1.5%増加していれば
増加額の15%が控除される。
また、増加割合が2.5%以上であればさらに15%の上乗せ、研修を受けさせる費用など教育訓練費が前年比10%上増加していれば10%の上乗せがあり、最大40%の控除率となる。
(その年度の法人税もしくは所得税の2割が控除上限)
2,事業再構築補助金
大規模な賃上げ(補助対象事業終了時点で、「事業場内最低賃金+45 円」「給与支給総額+6%」の達成)の場合には補助率の引き上げと補助額の上乗せ
3,ものづくり補助金
給与支給総額が年率6%超など大規模な賃上げの場合の補助額上乗せ
4,業務改善助成金
引き上げる人数に応じて設備投資への助成金上限が増加
⇒概要
「2」と「3」は補助金ですので、申請をして採択されてはじめて補助対象となるものです。
「4」は助成金ですので、要件さえ満たせば必ず助成されます。
したがってまずは前提条件となる「事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内であること」に該当するかどうかの確認をし、さらに今後、賃上げと設備投資の両方をお考えの際はチェックすべき制度と言えます。
承継計画の提出期限まで1年を切りました。
2023-04-06
先日は奈良新聞社さまの取材でした。
また今月の中旬には記事が掲載されると思います。
テーマは「ポストコロナの県内中小企業」といったものでしたが、士業の立場からするとどうしても「事業承継」の話をしてしまう自分がいます。
実務でほぼ毎日事業承継のお話ですし、
・事業の承継は雇用を守ることであり、
・雇用を守ることは生活を守ることであり、
・地域を次代へつなぐことである、
と信じて実務にあたっています。
その事業承継関係で重要なものが「自社株贈与に係る納税猶予」制度になります。
納税負担なく自社株の生前贈与が実現できるものです。
⇒参考動画
前提条件として、
・令和6年3月末までに特例承継計画を提出
・令和9年12月末までに贈与実行
となっており、計画書提出期限まで1年を切りました。
実際の贈与実行は令和9年12月末までではありますが、
贈与実行時点で、
・後継者が代表者になっていてかつ3年以上役員である必要があり、
・承継者(渡す側)は代表者から退いている必要があり、
そういった人的側面を第一に、制度活用を検討していかなければなりません。
納税猶予制度を使うかどうかの前に、そもそも生前贈与には、
・暦年贈与(110万円までの非課税枠を使った贈与)
・相続時精算課税(2,500万円までの非課税枠を使った贈与)
の2通りの方式があります。
後者の精算課税は非課税枠が大きく、それを超えたとしても税率は一律20%ですので生前での税負担は少なくて済みますが、相続時に精算(生前贈与がなかったものとして再計算)されるため、
・値上がりする財産をお持ちのケース
・相続まであまり時間がないと見込まれるなど時間がないケース
・精算されたとしても相続税がかからないケース
に、精算課税制度をご提案をさせて頂くことが多くなります。
経営者にとっては、従前からある「暦年贈与」を主として、生前の財産移転並びに節税を図っていくことに変わりはありません。
年に一度、お孫さん名義の口座に振り込む、といったケースも多いと思いますが、税務上も有効に贈与を成立させるためには、「受贈者(もらった側)がそのお金を自由に使える状況」を担保しておかなければなりません。
その上で、節税の王道である「少ない金額を長い期間で」を意識しながら計画的に生前贈与を図っていきます。
実務上、「贈与する側が元気だから」生前贈与がまったく進まない、というケースもけっこう多くあります。
しかし反対に、意思が明確で元気だからこそ、会社に関連する財産(貸付金や株式)は特に、生前贈与の検討をスタートしておきたいところです。
検討の結果、「何もしない」というのも当然に有り得ることと思いますし、まずはとにかく早いタイミングからの検討着手が望まれます。
それがつまるところ経営の承継の重要な柱ですので。
話は変わりますが、事業承継を機に「経理の合理化」をお考えになるケースも多々あります。
代表者の交代とともに、ベテラン経理事務員さんからの引継ぎも開始されたり、急な退職や体調不良に備えたり、といったケースです。
会計ソフトやそれに伴い購入するパソコンに対して「IT導入補助金」がありますが、新たなスケジュールが公表されています。
単に会計ソフトの変更だけにとどまらず、「経理の合理化」の面から検討していくことが重要です。
実際、小口現金の精算の手間が減る、月次試算表の作成タイミングが早まる、経理事務への投下時間が減少する、といった効果が見られます。
私どもとしてはマネーフォワードさまと協業して合理化支援をさせて頂いていますが、
いま公表されているスケジュールからは、
<一次公募>
・4/25申請締切り
・6/1以降に発注
<二次公募>
・5/16申請締切り
・6/22以降に発注
<三次公募>
・6/2申請締切り
・7/12以降に発注
がという流れになります。(デジタル化基盤導入枠)
会計ソフトなどが対象の「デジタル化基盤導入枠」については、採択率が非常に高く、二次公募以降はまだ時間の余裕がありますので活用検討の価値ありかと。
決算が終わり次第会計ソフトを変更、と考えると、4月決算・5月決算の法人さまの場合は特に、補助金の交付決定と決算による切替のタイミングが良いのではないかと思われます。
気持ちのいい日曜日。
畑の通路に芝生を植えてみました。
今まで雑草で困っていましたが、青々とした芝生が雑草に打ち勝ってくれることを期待!
節税の境目
2023-03-15
テーマ:経営を守る情報
先日、節税保険をうたうなど過度な募集行為が問題となっていた生命保険会社に対して、業務改善命令が下りました。
「節税」が行き過ぎると「租税回避」となります。
その境目は?
となると、「経営方針と手段との一致」が認められるかどうかだと思います。
つまり、何らかの経営目的があって生命保険を活用するのではなく、目的が節税のみ、となっている状態となれば節税の度を超していることになります。
事業承継の実務においても、ホールディング化、借入による不動産購入など様々な手段がありますが、そこに経営方針との一致が認められるかが重要な論点です。
特に法人契約の生命保険に関しては、商品開発と国税庁とのイタチごっこが長年続いており、そうした背景もあって、商品設計段階から国税庁に事前照会をかけるなど、国税庁と金融庁とが更なる連携を図ることとされています。
⇒節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品への対応における国税庁との更なる連携強化について
法人契約の生命保険についてはとにかくシンプルに設計することが大切です。
契約時には記憶していても、戦略、日々の資金繰り、人事のことなど、経営に邁進していれば細かいことは忘れてしまいます。(少なくとも私は)
例えば、入院給付などの特約が付いているとして、仮に入院給付で保険金が会社に下りたとしても、それを個人へと還元する際には課税が伴います。
ゆえに、特約部分は個人への還元ではなく、その方が入院して居ない期間の運転資金対策として考える必要があります。
法人で生命保険に加入する目的は「保障」なのか「運転資金対策」なのかと明確に設定し、まずは原理原則通り「保障」の過不足を確認してシンプルに設計していかなければなりません。
実際に私どもが実務で携わる際には保障目的のものがほとんどで、その他は相続対策での一時払終身保険、といった具合です。
コロナで増えたことといえば、借入の他に「在庫」もあるように感じます。
【製造業の原材料在庫、3年で1.5倍 「持たざる経営」変化】
実際、こんな記事もありました。
記事にある製造業に限らず、幅広い業種で在庫量が増えている実感があります。
財務的には、現預金を増やし経営を守るためには「在庫と売掛を増やさない」というのがセオリーとしてありますが、現実には、販売機会を逃さない、サプライチェーンなど様々な事情から在庫量を増やさざるを得ない状況が生まれます。
その時の資金面の手当てとしては、「在庫の増加には短期資金で」という原理原則に立ち戻ることが重要だと思います。
短期資金の対照的な位置づけとして「長期資金」がありますが、長期資金とは「月々返済していくパターン」になります。
したがって、短期資金とは「長期資金以外のパターン」となりますが、具体的には当座借越や手形借入、資本性ローンなど、一定期間、返済を伴わない形での資金手当を指します。
在庫として眠っている資金を月々返済していくパターンで手当てしてしまうと、当然ながら手元資金を圧迫します。
在庫の増加局面では短期資金で手当てし、その後、在庫を販売して生まれた資金で短期資金の減少を図ることが重要です。
このことは在庫だけではなく、例えば医療・介護関係のように、制度上どうしても2か月後にしか入金がない業種の場合も、入金までの運転資金の手当ては長期資金よりも短期資金で手当てすることが望ましいと思われます。
そして、中小企業をめぐる「賃上げ」の波。
「次は中小企業の番」という風潮が強いのが非常に気になるところです。
いま稼働している原発の半数が関西電力管内ということもあってか、関西電力は電力の値上げ申請をしていないようですが、今後、他の地方で大幅な値上げ申請がなされていることを考えると、その風潮はますます強まるように思われます。
賃上げに関しては「所得拡大促進税制」ということで税制面からも手当てがなされています。
この制度は「税額控除」ですので、助成金・補助金のように「お金が入ってくる」のではなく、税金として「出ていくお金が減る」という形のため、手当されている実感がなかなか沸かないのも事実なのですが、効果としては助成金などと全く同様です。
税制改正があり、
・法人はR4.4.1〜R6.3.31までの間にスタートする事業年度
・個人はR5年度とR6年度
においては、
・役員を除きパートアルバイトを含む給与額が
・前年度と比べて
・1.5%増加していれば
増加額の15%が控除されます。
また、増加割合が2.5%以上であればさらに15%の上乗せ、研修を受けさせる費用など教育訓練費が前年比10%上増加していれば10%の上乗せがあり、最大40%の控除率となります。
その年度の法人税もしくは所得税の2割が控除上限というのがネックなのですが、適用できるときの効果は非常に大きいのも事実です。
法人税が発生する事業年度は人件費の増減に特に注意を払い、適用もれの内容に留意して頂ければと思います。
最後に「後継者塾」。
お陰様で募集開始から10日足らずで定員(5名)に達しました。
日頃から協業して頂いている士業(弁護士・弁理士・社会保険労務士)とともに、次代を担う「Next President」へ経営を守るための情報をお伝え出来ればと思っています。
マイ畑にも、春。
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